この日
短編です
朝ごはんも食べた、コーヒーも飲んだ、服装も決まった、メイクもばっちり。
いざ、出発。
少し早めに家を出たから、まずは最寄り駅を散策。最寄り駅に併設しているデパートに向かう。
時々地方の物産展を開いているから要チェックなんだ。今日は四国祭りとポスターが貼ってあった。迷わず催事場に向かう。
きっと広い空間なんだろうけど、今日は店がひしめき合っていて、人も多く、にぎわっている。みんな物産展好きだねぇ。私も好きだけど。
ふらふらと何を買うでもなく歩いて、夕飯にちょうどよさそうな、牛肉がこれでもかと乗った弁当を売っている店の前で立ち止まる。ジィっと見つめていると、店のおいちゃんが嬉しそうに声をかけてくれる。でもこの店は味見をくれないから、ココでは買わない、まだね。私なりの決め事だ。味見をくれた上に、美味しければ、買って帰るリストに入れるんだけど。
圧の強いおいちゃんに愛想笑いを返して、別の店を見て回っていると、あちらでは有名らしい柑橘を使ったケーキが目に留まった。今日はここのケーキを買っていくか。
いろいろな種類のミカンの乗ったケーキを一つ購入して、催事場を後にした。どうせ帰りにまたここに来るんだから、その時今日の夕飯を買って帰ろう。まだ売れ残っていたら、あのおいちゃんのところで買ってあげても、いいかな。味見くれなかったケド。
次に途中階に寄って、花束を見る。季節に合わせてまとめられた小さめの花束。赤系にするか、黄色系にするか迷ってしまう。今日は天気も良いし、黄色にしようかな。
黄色い花を集めた花束を一つ、購入した。
さて、時計を見ると、そろそろ良い頃だろう。デパートを出て、駅に向かう。
もう行きなれた場所だから、スマホで時間だけ調べて一番早い電車に乗り込んだ。
最寄り駅から一本で行けるのが有難い所だ。
駅から大体歩いて20分程度のところにある、墓地についた。中に入って、お坊さんに頭を下げる。迷わず目的の墓に到着。
「やっほ~」
静かに鎮座するお墓に声をかける。もちろん返事はない。
桶に水を汲んできて、軽く掃除。と言っても上から水をかけるだけの簡単な作業だ。今日はこれで勘弁してね。
水気を軽く払って、買ってきた花を生ける。
ケーキを箱ごと置いて、線香に火をつけて、両手を合わせる。線香の香り、結構好きなんだ。
「今日は最寄り駅で四国祭りやってるのよ。帰りに夕飯買っていくつもりしてるから、美味しいのが残ってるように祈ってて」
それだけ言って、私はみかんのケーキを頬張った。うーん、みかん甘い、クリームは少しチーズのような味がする。バランスが良い。皿もフォークもなくて手づかみでわしわしと食べる。これ結構行儀悪いな。まぁいいか。
「美味しかった」
さて、今日のミッションは完了だ。あとは夕飯を買って帰るだけ。
今度はイチゴの美味しい季節にしようかな。イチゴ好きだったし。デパートのイチゴフェアで美味しそうなケーキを見繕うのも悪くない。
——「じゃ、またねぇ~」——
あの日、あの時、あの場所で?みたいな。




