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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第四章:風災編 第41話 風の行方 ― 王が残す選択

戦いの終わりは、勝利の宣言では訪れない。

それは、

誰かが去り、

誰かが残り、

そして――

選択が、静かに世界へ溶けていく時に訪れる。

王が残すものは、支配でも、恐怖でもない。

風の行方を、次の者に委ねるという、覚悟だった。

境界の塔を離れた後。

戦場は、

不思議な静けさに包まれていた。


砲声はなく、

号令もない。


ただ、

人々がそれぞれの場所へ戻っていく。


帝国軍前線。


セレスタ

「……全面衝突は、

 回避された。」


参謀

「風無き王国軍は、

 境界線の外へ後退しています。」


ロウガ

「勝った……

 わけじゃねぇな。」


エリオン

「だが、

 失ってもいない。」


アリアは、

少し離れた丘の上に立っていた。


風は、

まだ弱い。


だが、

完全な無音ではない。


アリア

(……戻ろうとしてる。)


その時。


帝国兵の一人が、

恐る恐る声をかけた。


「……王。」


アリアは振り返る。


「……これから……

 どうなるんですか。」


その問いは、

未来そのものだった。


アリアは、

少し考え、

答えた。


アリア

「……戦争は……

 すぐには……

 終わらない。」


兵の顔が、

曇る。


アリア

「……でも……

 “壊し合うだけの戦争”は……

 もう……

 できなくなった。」


兵は、

ゆっくりと頷いた。


***


帝都。


皇城の会議室。

皇帝ガルディアスは、

報告を聞き終えていた。


ガルディアス

「……対話で、

 戦線を止めたか。」


重臣

「前例は……

 ありません。」


ガルディアス

「前例は、

 作るものだ。」


皇帝は、

窓の外を見た。


ガルディアス

「風哭の王は、

 “征服者”ではない。」


ガルディアス

「……だが、

 帝国を……

 変えてしまった。」


***


風無き王国。


歯車の城。


カイロスは、

玉座に座り、

一人で考えていた。


戦争は、

まだ終わっていない。


だが、

引き返せないほど、

単純でもなくなった。


カイロス

「……風を……

 消すことだけが……

 答えでは……

 なかった……。」


彼は、

一枚の設計図を手に取る。


そこには、

風遮断機構と並び、

新たな書き込みがあった。


“人員救助用通路”


“居住区緊急退避構造”


“非戦闘員優先導線”


カイロス

「……王は……

 結果を……

 残す……。」


それは、

小さな変化。


だが、

確かな一歩だった。


***


夕暮れ。


前線の野営地。


アリアは、

焚き火の前で、

仲間たちと座っていた。


ロウガ

「……結局、

 あの王とは……

 どうなる。」


アリア

「……わからない。」


アリア

「……でも……

 “選び直す”余地は……

 残った。」


エリオン

「それで、

 十分なのか。」


アリア

「……十分じゃない。」


アリア

「……でも……

 “始まり”には……

 なる。」


その時。


夕風が、

焚き火の煙を、

そっと揺らした。


誰も、

言葉を発さない。


だが、

全員が、

同じことを感じていた。


風は、

王のものではない。


だが、

王の選択によって、

行き先は、

変わる。


風災編は、

ここで幕を下ろす。


戦争は、

続いている。


だが、

世界は――

少しだけ、

違う方向へ進み始めていた。

・王と王の戦争から、思想の対立へ。

・力の否定ではなく、共存という第三の道。

・アリアが「風を操る王」から「選択を残す王」へ成長。

・敵であるカイロスにも変化の芽が生まれる。

という物語を描いてきました。

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