表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/105

第四章:風災編 第38話 示す ― 風なき地での救済

問いに答える方法は、言葉だけではない。


むしろ、

言葉は最も疑われやすい。

王が示すべきものは、思想ではなく、結果だ。

風が存在しない場所で、人は救えるのか。

その問いに、アリアは“現実”で答えようとしていた。

帝国北方。

風遮断領域のさらに奥。


岩と乾いた土だけが広がる、

かつての鉱山集落跡。


ここには、

風も、

魔法も、

ほとんど届かない。


アリアは、

この場所を選んだ。


セレスタ

「正気か。」


セレスタ

「ここは、

 王にとって……

 最悪の場所だ。」


アリア

「……だから。」


アリア

「ここで……

 やる。」


集落には、

わずかな人々が残っていた。


老いた鉱夫。

病を抱えた家族。

行き場を失った者たち。


市民

「……王……?」


市民

「風が……

 ないぞ……?」


不安と疑念が、

視線に混じる。


アリアは、

外套を脱ぎ、

彼らと同じ地面に立った。


アリア

「……私は……

 風を……

 使えない。」


ざわめき。


アリア

「……でも……

 ここに……

 いる。」


アリア

「……一緒に……

 やろう。」


***


最初にしたことは、

祈りでも、

術式でもなかった。


水路の掘り直し。


崩れた井戸を、

皆で直す。


アリアは、

自ら石を運び、

土にまみれた。


ロウガ

「……王が……

 本気で……

 手伝ってる……。」


エリオン

「それが、

 彼女の答えだ。」


病人の家では、

薬草の選別。


風がないため、

乾燥は遅い。


だが、

皆で火を守り、

交代で見張る。


夜。


焚き火を囲み、

アリアは語った。


アリア

「……風は……

 奇跡じゃない。」


アリア

「……寄り添う……

 きっかけ。」


アリア

「……人が……

 人を……

 見捨てないための……

 理由。」


誰も、

反論しなかった。


***


数日後。


集落に、

“変化”が現れた。


水が、

安定して流れる。


病人の熱が、

下がり始める。


人々の顔に、

光が戻る。


市民

「……風が……

 なくても……

 生きていける……。」


アリアは、

首を振った。


アリア

「……違う。」


アリア

「……“生きさせ合ってる”。」


その時。


遠くの丘に、

黒衣の影が立っていた。


カイロス。


無言で、

すべてを見ている。


風は、

吹かない。


だが、

人の営みが、

確かにそこにあった。


アリアは、

丘を見上げる。


アリア

「……これが……

 答え。」


カイロスは、

何も言わず、

踵を返した。


その背に、

初めて、

迷いの色が宿っていた。

・風も魔法も使えない場所での救済。

・「力」に頼らない王の行動。

・共に働き、共に生きるという答え。

・カイロスが“現実”を目撃する瞬間。

が描かれました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ