表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/99

第四章:風災編 第31話 宣戦 ― 風を否定する国

風を否定するということは、世界の一部を否定するということだ。

それは、

自然への反逆であり、

同時に、恐れから生まれた選択でもある。

だが、

恐れはやがて、刃となる。

北の地で、その刃が、ついに姿を現した。

夜明け前。

帝国北方前線の空は、

異様なほど静かだった。


風が、

ない。


それは、

嵐の前触れではなかった。


“切り取られた”ような静寂。


アルフレッド

「……あり得ない……。

 この規模で、

 完全無風……。」


ゼフィール

「風脈が……

 意図的に遮断されている。」


ロウガ

「また……

 あの連中か。」


その時。

見張り兵の声が響いた。


「北方平原に、

 大規模部隊を確認!!」


霧の向こう。

整然と進む、

鉄の列。


旗は、

翻らない。


布ではない。

歯車を模した、

金属製の紋章。


セレスタ

「……風無き王国。」


その中央に、

黒鉄の戦車が進み出る。


風を切る音はない。

ただ、

地面を砕く振動だけが響く。


アリア

(……風が……

 怖がってる。)


戦車の上部が開き、

一人の男が姿を現した。


黒衣。

仮面。

そして、

風を拒む無音の気配。


「聞こえるか。

 風哭の王。」


声は、

風に乗らず、

直接、

頭に響いた。


アリア

「……あなたが……

 “王”……?」


「そうだ。」


「我が名は、

 カイロス。」


「風無き王国の王。」


空気が、

さらに冷える。


カイロス

「我々は、

 風に支配される世界を否定する。」


カイロス

「王とは、

 制御不能な力を

 持つべきではない。」


アリア

「……風は……

 支配するものじゃない。」


カイロス

「だから、

 消す。」


その言葉に、

帝国兵たちがざわめく。


カイロス

「風術。

 王風。

 精霊。

 すべて、

 争いの種だ。」


カイロス

「我が国は、

 それを捨てた。」


カイロス

「代わりに、

 命令と鉄だけを選んだ。」


アリア

「……それで……

 人は……

 泣かなくなった?」


カイロス

「泣く必要がない。」


その言葉に、

風哭の王風が、

低く震えた。


アリア

「……泣けないだけだよ。」


沈黙。


カイロス

「風哭の王。」


カイロス

「我々は、

 お前を排除する。」


カイロス

「それが、

 世界を安定させる

 最短だ。」


セレスタ

「……宣戦布告か。」


カイロス

「違う。」


カイロス

「これは、

 “是正”だ。」


戦車の後方で、

兵器が展開される。


風遮断砲。

対王風拘束機構。


アルフレッド

「……王対策……

 完全に……

 研究されている……。」


アリアは、

一歩、前に出た。


アリア

「……私は……

 あなたと……

 戦いたくない。」


カイロス

「ならば、

 王であることを

 やめろ。」


アリア

「……それは……

 できない。」


アリア

「風が……

 私を……

 離してくれない。」


カイロス

「ならば――」


男の声が、

冷たく響く。


カイロス

「次に会う時は、

 戦場だ。」


戦車が後退し、

鉄の軍勢が、

霧の中へ消えていく。


風は、

戻らなかった。


だが、

確かに――

戦争は始まった。


アリアは、

拳を握る。


アリア

「……セレスタ。」


セレスタ

「わかっている。」


セレスタ

「帝国は、

 もう……

 巻き込まれた。」


アリア

「……私も。」


その瞬間。


遠くで、

最初の砲撃音が、

響いた。


風を否定する国が、

世界に牙を剥いた音だった。

・風無き王国の正式登場。

・王カイロスの思想と目的。

・「制御不能な力を否定する王」という対立軸の明確化。

・宣戦に等しい接触。

・第四章が本格的な王対王戦争編へ突入。

が描かれました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ