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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第四章:風災編 第30話 背後の影 ― 風を憎む王

思想は、

自然には生まれない。

誰かの恐れが、

誰かの怒りが、

誰かの損得と結びついた時、それは“形”を持つ。

風を憎む者たちは、ただの異端ではなかった。

その背後に、“王”がいる。

王が、王を否定するために動く。

それは、この戦記が、次の段階へ進む合図だった。

旋風が消えた後。

戦場には、

奇妙な静けさが残っていた。


兵たちは武器を下ろさず、

だが、

誰も動かなかった。


まるで、

“次の命令”を

風そのものが待っているようだった。


セレスタ

「捕縛した反風主義派を、

 こちらへ。」


兵に引き立てられ、

先ほどの男が連れてこられる。


男は、

まだ虚ろな目をしていた。


セレスタ

「名を。」


「……意味はない。」


ロウガ

「吐かせるか。」


アリア

「……待って。」


アリアは、

男の前に立った。


アリア

「……あなた、

 命令されてた。」


男の指が、

ぴくりと動く。


アリア

「風じゃない。

 人に。」


「……王に……。」


エリオン

「王?」


「……“真の王”だ……。」


空気が、

張り詰める。


セレスタ

「続けろ。」


「風は……

 制御できない……。

 だから……

 “消す”べきだと……。」


「……そう言った王が……

 いる……。」


アリアの胸に、

冷たいものが落ちた。


アリア

「……どこに。」


「北……。

 帝国の……

 外……。」


「……“風無き王国”……。」


ゼフィール

「……噂だけの存在だと思っていた。」


アルフレッド

「風術を完全に否定し、

 機構と兵力だけで国を築いた……

 伝説の国家……。」


ロウガ

「そんな連中が……

 裏で動いてたってのか。」


男は、

最後の力で、

笑った。


「……王が……

 王を……

 消す……。」


男は、

気を失った。


***


夜。

前線野営地。


焚き火の前で、

セレスタとアリアが向き合う。


セレスタ

「風無き王国の名が出るとはな。」


アリア

「……その王……

 風を……

 憎んでる。」


セレスタ

「そして、

 お前を。」


アリアは、

小さく頷いた。


アリア

「……同じ“王”なのに。」


セレスタ

「同じだからだ。」


セレスタ

「王は、

 他の王の存在を

 許せない。」


風が、

焚き火の煙を揺らした。


アリア

「……私は……

 戦いたくない。」


セレスタ

「だが、

 向こうは違う。」


セレスタ

「思想は、

 すでに兵になっている。」


アリアは、

焚き火を見つめた。


アリア

「……風は……

 泣いてる?」


セレスタ

「どうだ。」


アリア

「……怒ってる。」


アリア

「泣く前に……

 止めなきゃ……。」


その夜。


遠く、

北の空で、

風が不自然に途切れた。


誰かが、

意図的に、

風を殺したように。


アリアは、

立ち上がった。


アリア

「……来る。」


セレスタ

「何が。」


アリア

「……“風を憎む王”が。」


炎が、

一瞬、

揺れた。


そして、

帝国と王風の戦いは、

ついに――

“王同士の戦争”へと

姿を変え始めた。

・反風主義派の背後に“王”がいる事実。

・風無き王国という新勢力の登場。

・「王が王を否定する」構図の提示。

・アリアが初めて“別の王”を敵として意識。

・物語が思想戦・国家戦争フェーズへ移行。

が描かれました。

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