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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第四章:風災編 第27話 審問 ― 王は裁かれるか

王が剣を抜けば、血が流れる。

王が沈黙すれば、疑念が広がる。

では、

王が語れば何が起きるのか。

帝国は、力ではなく、言葉で王を測ろうとしていた。

それは礼儀か。

それとも、最も冷酷な戦いか。

皇城・高審問院。

白い石で造られた半円形の広間。


中央には、

椅子も檻もない。


ただ、

立つ場所だけがあった。


アリアは、

その中央に立っていた。


周囲を囲むのは、

帝国評議員。

学術院代表。

軍高官。

聖堂司祭。


そして、

一段高い席に、

皇帝ガルディアス。


ガルディアス

「始めよ。」


評議員

「風哭の王アリア。」


評議員

「貴殿は、

 帝国西方都市ヴァル=グラードにおいて、

 帝国管理下の風脈へ、

 無断で介入した。」


評議員

「この事実に、

 相違はあるか。」


アリア

「……ない。」


ざわめき。


評議員

「なぜ、

 帝国の許可を待たなかった。」


アリア

「待てば……

 街が、

 壊れていた。」


司祭

「それは推測だ。」


アリア

「……風が、

 泣いていた。」


司祭

「感情論だ。」


アリアは、

一瞬、

言葉を探した。


だが、

逃げなかった。


アリア

「……感情だよ。」


一同がざわつく。


アリア

「風が苦しんでるって、

 感じた。」


アリア

「それを無視したら……

 私は、

 王じゃなくなる。」


軍高官

「王とは、

 秩序の象徴だ。」


アリア

「……秩序が、

 人を殺すなら……

 私は、

 その秩序に従わない。」


空気が凍る。


ロウガが、

歯を食いしばる。


エリオンが、

静かに拳を握る。


評議員

「……つまり、

 帝国の法より、

 己の判断を優先したと?」


アリア

「……うん。」


評議員

「それは、

 反逆と取られかねない。」


その時。


ガルディアスが、

ゆっくりと立ち上がった。


ガルディアス

「問おう。」


ガルディアス

「もし、

 あの場で、

 帝国の判断を待ち、

 都市が崩れ、

 民が死んだなら。」


ガルディアス

「誰が、

 その責任を取る。」


沈黙。


誰も、

答えられない。


ガルディアス

「……風哭の王。」


アリアは、

皇帝を見上げた。


ガルディアス

「お前は、

 責任を取る覚悟で、

 風を動かしたか。」


アリア

「……取る。」


ガルディアス

「どうやって。」


アリア

「……必要なら、

 裁かれる。」


その言葉に、

ざわめきが大きくなる。


セレスタが、

一歩前に出た。


セレスタ

「陛下。」


セレスタ

「彼女は、

 権限を越えた。」


セレスタ

「だが、

 越えなければ、

 都市は失われていた。」


学術院代表

「事実として、

 被害は最小限に抑えられた。」


軍高官

「……兵の死者は、

 出ていない。」


司祭

「……神への冒涜では……

 なかった……のか……。」


ガルディアスは、

全員を見渡した。


ガルディアス

「結論を出そう。」


重い沈黙。


ガルディアス

「風哭の王アリア。」


ガルディアス

「今回の行動は、

 帝国法に照らせば、

 違反だ。」


アリアは、

静かに頷いた。


ガルディアス

「だが――

 帝国は、

 その違反によって、

 一つの都市を失わずに済んだ。」


ガルディアス

「よって。」


ガルディアス

「処罰は、

 行わない。」


ざわめきが、

爆発する。


ガルディアス

「代わりに。」


ガルディアス

「風哭の王を、

 “帝国特別協力者”として、

 正式に登録する。」


評議員

「な……!」


ガルディアス

「責任を取ると言ったな。」


アリア

「……うん。」


ガルディアス

「ならば、

 帝国の災害と戦乱の前線に立て。」


ガルディアス

「逃げ場はない。」


アリアは、

少しだけ笑った。


アリア

「……もともと、

 逃げる気はない。」


ガルディアスは、

満足そうに頷いた。


ガルディアス

「よい。」


ガルディアス

「審問は終わりだ。」


王は、

裁かれなかった。


だが、

自由でもなくなった。


風哭の王は、

帝国という巨大な流れの中へ、

正式に組み込まれたのだった。

・帝国による正式な審問。

・法と命の対立。

・アリアが責任を取る覚悟を示す。

・皇帝ガルディアスの判断。

・「無罪」ではなく「役割」を与えられる結末。

が描かれました。

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