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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第四章:風災編 第13話 風王の影 ― 帝国の動き

世界が変わる時、

必ず最初に気づくのは――

“権力者”と“戦場”だ。


王風の震動は、

大陸の上空を一瞬で駆け抜け、

各国の観測塔を震わせた。


それは祝福でも予兆でもなく――

“戦いの始まり”そのものだった。


アリアが王風を得たその瞬間。

帝国は、密かに牙を研ぎ始めていた。

帝国中央城の奥。

風脈観測塔アトラス・タワー


二十を超える術式円が淡く光り、

その中心には複雑な風の波形が映し出されていた。


観測官の誰もが息を呑む。


「この波形は……王風の誕生……

 間違いありません……!」


「だが数値がおかしい……

 王風といっても、これは……

 “風哭ふうこく”……

 過去の記録に存在しない……!」


「新王……いや、それ以上の何かが誕生した……!」


その混乱の中、

扉が鋭く開いた。


風を纏うような銀の軍装。

背に一対の白銀の羽飾り。

冷ややかな空の瞳。


帝国四将軍のひとり――

羽将軍はしょうぐんセレスタ・ヴァレリアが現れた。


「報告を簡潔に。」


観測官たちは慌てて跪く。


「セレスタ将軍!

 大陸東部にて――新王風の発生を確認しました!」


セレスタの瞳がわずかに揺れる。


「新王……。

 風の王家はすでに血統が絶えていたはずだが?」


「確認しましたが、

 王家の生き残りではありません。

 未知の三重風核から発生した“特異王風”……

 その名は“風哭ふうこく”と観測されました!」


セレスタは数秒沈黙し、

静かに指を鳴らした。


術式円に新しい波形が投影される。


まるで――

泣いているような波。

しかし、中心には微かな笑いの音色がある。


「……風哭の風。

 面白い風ね。」


観測長が震えながら言う。


「セレスタ将軍……

 我々はどう動くべきでしょうか……?」


セレスタは冷たい美しさを保ったまま、

静かに口を開いた。


「王風が生まれた以上、

 帝国が黙っている理由はない。」


「王が現れれば、

 風脈の主導権が揺らぐ。

 それは帝国の力そのものが揺らぐのと同じ。」


セレスタは背を向け、

白銀の羽飾りが風に揺れる。


「“風哭の王”の首を押さえる。

 ――生かすか殺すかは、まだ決めない。」


観測官

「ま、まさか討伐……ですか?」


セレスタ

「いいえ。

 王は殺すより、利用するほうが価値が高い。」


その声は静かだったが、

大陸を震わせる冷酷さがあった。


「準備を進めなさい。

 私は東部へ向かう。」


***


場面はトーレン村へ戻る。


アリアは丘からゆっくりと歩き、

仲間たちの前に立った。


風はまだ幼い声で鳴き、

まるでアリアの感情を映すように揺れていた。


エリオン

「……アリア、大丈夫か?

 本当に、変わったんだな……」


アリア

「うん。

 でも“変わった”だけじゃなくて……

 “戻ってきた”んだと思う。」


セレンが優しく頷く。


「アリア。

 これからどこへ向かうの?」


アリアは空を見上げた。

風がくすぐったそうに揺れる。


「風が教えてくれる。

 でも……まずは、

 “この風が向かい始めた先”へ行くよ。」


アルフレッド

「向かい始めた先……?」


ゼフィールは空の異様な気配に気づいた。


「あれは……帝国の風の動き?」


アリア

「うん。

 帝国が……動いた。

 “風哭の王風”を探してる。」


エリオン

「帝国が!?

 どうして……!」


アリアは静かに答える。


「王風は、世界の風脈の中心になる。

 それを“利用したい”と思う者は――必ず現れる。」


ロウガ

「まさか……嬢ちゃんを利用しようってのか!?」


アリアは微笑み、

しかしその瞳は鋭かった。


「利用される気はないよ。

 私は……

 私の風を“誰のものにもさせない”。」


ゼフィール

「帝国が来るのは時間の問題だ。

 アリア、どう動く?」


アリアは風を手で掬い、

その声を聞くように目を閉じた。


「……風が言ってる。

 “来る”って。

 とても強い風を連れた人が。」


エリオン

「来る……?誰が……?」


アリアは目を開けた。

その瞳が微かに震えた。


「――“羽”の風を持つ人。

 帝国の将軍……セレスタが。」


風が鋭く鳴った。


戦いの前兆だった。

アリアの王風誕生が帝国に伝わる

帝国四将軍“羽将軍セレスタ”が登場

彼女は王を利用するため東部へ出陣

トーレン村ではアリアが風の未来を語る

セレスタの接近をアリアが察知

次章への“戦記的な緊張”が高まる


という、

いよいよ政治と軍が大きく動き出した章となりました。


次回はセレスタとの“初接触”。

緊張感のある神回となります。

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