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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第四章:風災編 第9話 第二段階:風の本質 ― 世界の胎動

風は、どこから生まれるのだろうか。


大陸を渡り、海を越え、

谷を抜けて吹き抜ける風――

だが、誰もその「最初の一息」を見たことはない。


古い伝承では、

風は世界そのものの“呼吸”とされている。

そして、その呼吸を正しく聴ける者だけが、

王として立つ資格を得るのだという。


アリアが抱える“三重の風”は、

その呼吸に干渉し始めていた。


それは祝福にも破滅にもなり得る。


今、アリアは風の源へと導かれてゆく。

審判者が姿を消した瞬間、

アリアの足元に渦を巻く風が現れた。


金白、銀、黒。

三色の風が交わり、円を描く。


エリオンが手を伸ばす。


「アリア!! 待て――!」


しかし――

アリアは風に飲み込まれ、

消えた。


ロウガ

「嬢ちゃん!!」


アルフレッド

「だ、だめです!

 風脈そのものが“隔離空間”を形成しています!!

 私たちは入れません!!」


ゼフィールは静かに目を閉じた。


「試練だ。

 王の領域へは、王しか入れない。」


エリオンは拳を震わせ、空を睨んだ。


「……頼む……無事でいてくれ……!」


***


アリアが目を開けると、

そこは“世界の底”だった。


空も地面もない。

ただ透明な風の海が、

ゆっくりと胎児が呼吸するように脈動している。


アリア

(ここが……風が生まれる場所……?)


風は優しく、

そしてどこか哀しげに揺れている。


その中に、審判者が立っていた。


仮面はすでに半分ほど剥がれ、

中にある顔は“風そのもの”のように形を定めていない。


審判者

『ここは“世界風脈の胎動”。

 人間も、魔族も、王族すら知らぬ、

 創世の残響。』


アリア

「どうして……私をここへ?」


審判者はゆるやかにアリアを見た。


『お前は三重の風を宿した。

 世界はそれを“異物”と見なす。

 ゆえに問いかける。』


風が震えた。


『お前は風を“愛しているか”。

 それとも、“支配したい”だけか。』


アリアは目を見開いた。


支配。

確かに、力を得たとき、

その誘惑はかすかに心を掠める。


だがアリアは答えた。


「私は……

 風を支配しようだなんて思ってない。

 風は“私そのもの”で……

 私が生きてきた証だから。」


審判者

『ならば問う。

 風が災いを呼ぶと知っても、

 それでも愛せるか?』


アリア

「……愛してる。」


審判者

『風が人を傷つけても?』


アリア

「それは……風じゃなくて、

 風を正しく導けなかった“私の責任”。

 だから私は、風を嫌わない。」


審判者の仮面がふっと揺れた。


『では最後に問う。

 お前は、風に“愛されている”と感じるか?』


アリアは胸に手を当てた。


影界の黒風。

母の暴風。

そして新しい金白の風。


どれも痛くて、

どれも心を裂いた。


でも――

そのすべてが自分を生かそうとしてくれた。


「……はい。

 私は風に愛されてる。

 それは……今の私が一番よく知ってる。

 痛みも、悲しみも、全部含めて。」


風が震えた。


まるで泣き出すように、

世界の風が一斉に揺れる。


審判者はゆっくりとアリアへ手を伸ばした。


『――合格だ。』


次の瞬間、

アリアの胸の中で“三重の風核”が同時に輝いた。


銀の風が優しく、

黒の風が深く、

金白の風が鮮やかに。


三つの風がひとつの光の輪となり、

アリアの身体を包み込む。


審判者の声が重く響く。


『第二段階、“風の本質”――

 お前は風を愛し、風に愛されている。

 よって……次の段階へ進む資格を与える。』


アリア

「次の……?」


審判者

『第三段階。

 “風王の心臓オリジン”。』


空間が割れた。

光がアリアを包む。


審判者

『真の王の核へ至れ。

 そこで初めて、お前は“王”となる。』


アリアはゆっくり頷き、

風の奥へと踏み出した。


彼女の旅路は――

風そのものの源へ向かおうとしていた。

アリアが風の源“世界の胎動”へ到達し、

第二段階の試練を突破する 回でした。


風の源=世界の呼吸

アリアが風への愛と責任を語る

審判者の最後の問い

三重の風が“ひとつの和音”に

第二段階試練合格


次回は「風王の心臓」へ


アリアの風は、

ただの力ではなく“存在”そのものへ近づいています。

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