第三章:影界戦火編 第16話 影王ノクス・真体 ― 王対王
本当の王は、
力で示すのではなく、
“意志”で在ることを示す。
しかし、
その意志が世を変える前には——
必ず巨大な影が立ち塞がる。
■ 影王宮・終焉の領域
宮殿の崩壊は加速し、
天井が裂け、影の雨が降り注ぐ。
アルフレッド
「宮殿の魔力構造が……完全に崩壊を始めています!!
このままだと影界そのものが……!」
ロウガ
「まずは嬢ちゃんを守る!!
影界がどうだろうが関係ねぇ!!」
エリオン
「アリア……
絶対……離れない……!」
アリアは振り返って微笑んだ。
アリア
「ありがとう。
でも——離れてはダメ。
ここから、もっと激しくなる。」
その言葉に、
仲間たちは覚悟を固めた。
■ ■ ノクス、真体解放
玉座の奥。
巨大な黒い“影の繭”が割れる。
ズズ……ンッ!!
禍々しい黒風が吹き荒れた。
ロウガ
「なんだあれ……!!」
エリオン
「影の密度が……異常だ……!」
アルフレッド
「魔力量が桁違いです……
アリア様が上位王なら、
ノクスは“影界そのもの”に近い存在……!!」
影の繭が完全に割れ、
そこから——
角と四枚の影翼を持つ女王の姿
が姿を現す。
瞳は三重の紅黒。
肌は影そのもの。
声は響くような双声。
ノクス(真体)
『王よ……
ようやく“対等”に立てるな。』
アリア
「……ノクス……
これが本性なのね。」
ノクス
『そうだ。
妾は影界を統べる“真の王”。
人の少女よ……
お前はこの姿の前でも尚、抗うか?』
アリア
「抗うためにここへ来た。」
ノクスの口元が微かに歪む。
『ならば始めよう。
——“王対王”を。』
■ ■ ルージュ、最後の足掻き
戦場の脇で、ルージュがまだ立ち上がる。
ルージュ
「アリア……
あなたが王になるなんて……
許さない……!!」
ロウガ
「しつけぇんだよ!!」
ロウガの拳が火花のように光り、
ルージュの顔面をぶん殴る。
バギィィィンッ!!
ルージュが壁面に叩きつけられた。
ロウガ
「嬢ちゃんの邪魔するな!!」
ルージュは血を拭いながら、
怨念を込めて呟いた。
ルージュ
「ノクス様……
私は……影となって……
王の敵を……!」
エリオンが剣を向ける。
エリオン
「ここで倒す。
アリアの未来のために。」
ルージュ
「ふふ……
あなたたち人間は……
影界で生きる意味さえ知らない……!」
■ ■ アリア、新王術《黒風光陣》 第二段階
アリアの足元で魔陣が変形を始めた。
アルフレッド
「魔力パターンが変動……!?
アリア様……さらに上へ……!」
エリオン
「アリア……!」
アリア
「今度は“守り”じゃない。
“王対王の刃”よ。」
ノクスが嗤う。
ノクス
『では見せてみよ、風の王。
妾の影を切り裂く力をな。』
アリアが手を掲げる。
「黒風光陣・第二段階——
《輝影翔刃》!」
光と影が一つとなり、
巨大な双刃の風が生成される。
ロウガ
「……すげぇ……!」
エリオン
「影と光……両方の力で……
“王の刃”を……!」
ノクスの瞳がわずかに揺らぐ。
ノクス
『それが……風の王の……答えか?』
アリア
「ええ。
どちらの王でもない、
“私だけの王”の形よ。」
■ ■ エリオン、限界を越える
戦場の端で、ルージュが暴走した影を解き放つ。
ルージュ
「ノクス様ァァァ!!
私の影で……この者たちを……!!」
影の槍がアルフレッドへ飛ぶ。
アルフレッド
「くっ……!!」
エリオンが裂帛の気合で飛び込んだ。
エリオン
「アル!! 下がれ!!」
アルフレッド
「エリオンさん!!」
エリオンの片翼が半透明に輝き、
血片を越えた“灰風の翼”を広げる。
アルフレッド
「血片の限界値……!!
もう完全にオーバー……!!」
エリオン
「アリアを……守るためなら……
こんな痛み……どうでもいい!!」
エリオンの剣が影を粉砕した。
ルージュ
「……そんな……人間が……どうして……!」
エリオン
「アリアが……
“仲間を信じて戦う王”だからだ!!」
■ ■ 王 vs 王 ― 激突
ノクスが影を凝縮させ、
巨大な影鎌を作り出した。
ノクス
『来い……
風の王!!』
アリアも双刃を構える。
アリア
「ノクス……
私は怖くない。
影も光も、仲間も……
全部抱いて進む!!」
ノクス
『愚かなる小娘……
その意志ごと斬り伏せてくれよう!!』
二つの王の力がぶつかり合う。
光と影の竜巻が戦場を飲み込み、
世界が裂けるような衝撃が走る。
ドガァァァァンッ!!
ロウガ
「嬢ちゃん!!」
エリオン
「アリアァァ!!」
アルフレッド
「二人とも……!!
この規模……“世界級”です!!」
その衝撃の中、
ノクスの魔力がさらに膨れ上がる。
ノクス
『王よ……!
妾の影を甘く見るな!!
——影界を覆う《絶影界》!!』
黒い霧が空を覆い、
影界全域を呑み込もうと広がっていく。
アリア
「……っ……!
これは……世界ごと……!」
アルフレッド
「ノクスの“世界魔術”!!
アリア様でも……!!」
エリオン
「アリア!!
俺たちが……支える!!」
ロウガ
「嬢ちゃん、任せとけ!!」
アリアは彼らを見て、
深く息を吸った。
アリア
「みんな……
ありがとう。」
そしてアリアは、
風をまとう足で地を踏みしめた。
「ここから先は——
王としての戦い。」
光と影の翼が大きく広がる。
影界編の“王対王”本格戦闘のスタート。
ノクスの“真体”
アリアの新王術《黒風光陣》第二段階
ルージュの最後の抵抗
エリオンの限界覚醒
ロウガの仲間を守る拳
そしてノクスの世界魔術《絶影界》発動
影界全土を呑む影の中で、
アリアがいよいよ“真の王”として立ち上がる回でした。




