第三章:影界戦火編 第11話 黒風覚醒 ― 影アリアと仲間の初対峙
人は影に呑まれると、
痛みも、優しさも、過去さえも歪む。
それでも“名を呼ぶ声”は、
必ずどこかに届いている。
■ 影王宮・玉座の間
暗黒の宮殿の中心。
そこにアリアは座っていた。
黒い風が静かに舞い、
白かった髪は灰黒に染まり、
瞳は紅の奥で影の光を揺らめかせている。
ノクスが玉座横で微笑む。
ノクス
『儀式は七割完了。
アリア、お前はもう半分“影の王”だ。』
アリアは目を伏せたまま、
何の反応も示さない。
■ ■ 仲間たち、玉座に到達
そして——
巨大な扉をロウガの拳が叩き割った。
轟音。
黒風が渦を巻く。
ロウガ
「嬢ちゃん!!
迎えに来たぜ!!」
アルフレッド
「アリア様!! 戻ってください!!」
エリオン
「アリアァァ!!」
アリアはゆっくりと顔を上げた。
その瞳は——
優しさを完全に失った、深い深い影の色。
アリア
「…………」
ノクスは楽しげに微笑む。
ノクス
『さあ、王よ。
“過去の影”と再会するがいい。』
■ ■ アリア、仲間を“認識しない”
ロウガが一歩踏み出す。
ロウガ
「嬢ちゃん……オレだ。
ロウガだ。
一緒に帝国歩いただろ……!」
アリアは静かにロウガを見た。
アリア
「……誰……?」
ロウガ
「……………………は?」
アルフレッドの顔が青ざめる。
アルフレッド
「アリア様……!
僕です、アルフレッドです……!!
覚えてますよね……!?」
アリア
「…………アル……?」
アルフレッド
「はい!!
そうです!!
アルフレッドです!!」
アリア
「……アル……
……“フレッド”という概念……?」
アルフレッド
「が、概念!?!?」
エリオンが震える声で呼んだ。
エリオン
「アリア……
俺だ。
エリオンだよ……
ずっと隣で戦ってきた……俺だ……!」
アリアは首を傾げた。
アリア
「……その名……
影界には存在しない……」
エリオンの表情が崩れ落ちる。
エリオン
「……アリア……
本当に……俺を……忘れたのか……?」
アリアは淡々と言った。
アリア
「あなたたちは……
もう“私の世界”にはいない。」
その一言が
仲間の胸を深くえぐった。
■ ■ 影王ノクスの“歪んだ愛”
ノクスはゆっくりアリアの肩に手を置き、
彼女の顎を軽く持ち上げた。
ノクス
『王よ。
光の名など忘れよ。
お前は影と共に生きる。
妾が世界となる。』
エリオンが激昂する。
エリオン
「アリアから手を離せぇッ!!」
ノクスは微笑み、アリアの頬を撫でた。
『可愛い王。
泣かぬように、妾が永遠に抱いてやろう。』
ロウガ
「……ぶっ殺すぞテメェ……!!」
アルフレッド
「アリア様を……返してください……!!」
しかしアリアは微動だにしない。
アリア
「……ノクス……
私の“過去”が……騒がしい……」
ノクス
『気にするな。
光を忘れ、影に心を預ければよい。』
■ ■ ルージュ、本性を解放
影の奥で笑い声が響いた。
ルージュ
「ふふ……可愛い茶番ね。
“仲間の声が届く”なんて、幻想だよ。」
影がルージュを包み、
彼女の姿が“戦闘形態”へ変わる。
鎖は蛇のように空を這い、
影の紋様が紅く輝いた。
ルージュ
《影使徒ルージュ・真形態》
ここからが、本気よ。
ロウガ
「……うお……
まじで強ぇやつの気配じゃねぇか……!」
アルフレッド
「エリオンさん……!
血片の抑制がギリギリです……!」
エリオン
「関係ない……アリアを取り戻す……
それだけだ……!」
ルージュ
「取り戻す?
あはは……無理だよ。
見なよ、この“黒風アリア”を。」
■ ■ 黒風アリア、初めての“拒絶”
アリアは立ち上がる。
その動きは、生気の欠片もない。
アリア
「……ノクス……
もうすぐ……儀式が終わる……」
ノクス
『ええ、美しい王。
あと三割で……完全に“影の王”となる。』
エリオンが震えながら近づく。
エリオン
「アリア……
戻ってきてくれ……
俺の声を……聞いてくれ……!」
アリアの影が揺れた。
そして彼女は——
ゆっくり、しかし確実に言葉を紡いだ。
「エリオン……?
……その名は……もう要らない。」
エリオン
「…………………………え?」
アリア
「私に呼ばれる資格は……もうない。」
エリオンの心が崩れた。
ロウガ
「嬢ちゃん……!!」
アルフレッド
「アリア様、それは……違う……!!」
アリアは涙も浮かべず、まるで冷たい機械のように言う。
「私は——
もうアリアじゃない。」
その瞬間、
黒風がアリアの周囲で荒れ狂い、
影王宮の床に亀裂が走った。
ノクスは満足そうに笑う。
ノクス
『さあ王よ……
最後の儀式へ進もう。
完全な“影の王”へ。』
影堕ちアリアと仲間たちがついに対峙する重要な回。
アリアが仲間の名前を“概念”として扱う
エリオンの心が崩れる
ノクスとアリアの“王の儀式”が進行
ルージュの真形態登場
アリアの“私はもうアリアじゃない”発言
ここから物語は完全にクライマックスへ向かいます。




