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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第三章:影界戦火編 第7話 影哭界 ― 涙を喰らう闇と、アリアの哀しみ

涙は弱さではない。

涙は、心が何かを守ろうとする時に流れる。

だが影界では——涙は“餌”となる。

■ 影界第四階層《影哭界》


深い黒霧を抜けた先。

世界は一転し、静かな湖畔に変わった。


しかし、その湖は

すべて“涙”でできていた。


ロウガ

「なんだよここ……湖が泣いてやがる……!」


ミラ

「……ここは《影哭界》。

 “涙の記憶”を具現化し、

 その悲しみを影界の力に変える階層……。」


アルフレッド

「ということは……

 僕たちの悲しみを喰われれば……影界が強くなる……?」


ミラは真剣な顔で頷く。


ミラ

「そして……最も涙を持つ者が狙われます。」


エリオンは即座にアリアの横へ立った。


エリオン

「アリア。

 絶対に……影界に泣かされるなよ。」


アリア

「泣きたくないけど……

 これは、そう簡単にいきそうにないわね。」


湖がふわりと光り、

アリアの足元に“影の涙”が滲み出す。


■ ■ アリアの“幼い日の記憶”


影の涙が床に広がり、

それはアリアの幼い頃の映像を映し出した。


小さなアリアが、

泣きながら王都の隅で座り込んでいる。


ミラ

「アリア様……これは……?」


アリア

「……覚えてる。

 母が亡くなって、

 何も言えずに泣き続けてた日……。」


幼いアリア

『……どうして……いなくなっちゃうの……?

 どうして……誰も……助けてくれないの……?』


エリオンが拳を握る。


エリオン

「アリア……

 こんなに小さかったのに……こんな悲しみを……」


影の湖はその涙を吸収し、黒く染まっていく。


ノクスの声が湖底から響いた。


ノクス


『……王よ。

   お前の最初の涙……

   妾が味わってやろう。』


アリアは一歩前に出る。


アリア

「私は……もう、あの日に戻らない。」


影が広がり、

幼いアリアの姿が大きくなっていく。


ミラ

「アリア様、気をつけて!!

 影哭界は記憶を再現するだけじゃありません……

 その記憶を“現在の悲しみ”に変えて襲ってきます!!」


ロウガ

「つまり……嬢ちゃんを泣かせるための罠ってことか……!」


アルフレッド

「アリア様の感情が揺れたら……!」


湖が激しく波打った。


■ ■ 影哭獣えいこくじゅう 出現


影哭界が悲しみを吸い、

巨大な“影の獣”となった。


泣き叫ぶような声を上げ、

アリアへ飛びかかる。


エリオン

「アリア!!

 避けろ——!」


アリア

「王式——

 灰煌・風壁守陣ふうへきしゅじん!」


風の盾が影哭獣を弾くが、

獣はすぐに再生する。


ミラ

「涙を吸って強くなってる……!!

 アリア様が悲しむほど……強化される……!」


ロウガ

「そんなバケモン、どうしろってんだよ……!」


アルフレッド

「アリア様の心が……

 この階層の“核”になってるんです……!」


アリアの胸に痛みが走る。


(私の涙が……影を強くしてる?

 じゃあ私が……悲しむほど……仲間が危険に……!)


影哭獣がアリアの幼い頃の声を真似始める。


『……誰も助けてくれない……

 アリアはひとりぼっち……』


アリアの瞳が揺れる。


■ ■ ミラの献身 ― 魔力限界


ミラが前へ飛び出し、

影哭獣に封印陣を叩き込む。


ミラ

「封陣・涙鏡封!!」


獣の動きが束の間止まる。


ロウガ

「ミラ!! 無茶すんな!!」


ミラ

「アリア様を泣かせるわけにはいきません!!

 この階層は……アリア様の“心”そのもの!!

 私が止めます!!」


だが次の瞬間、

影哭獣の爪がミラの胸を裂いた。


ミラ

「ぁ……!!」


アリア

「ミラッ!!」


ミラは吹き飛ばされ地面に倒れ、

胸元から血が溢れ出す。


アルフレッド

「ミラさん!! しっかり!!」


ミラ

「アリア様……泣かないで……

 泣いたら……この階層が……強く……」


アリアの目に涙が滲む。


影哭獣がそれを見逃すはずがなかった。


ノクス


『……そうだ。

   泣け、アリア。

   お前の涙は美しい。

   その涙で、妾はもっと強くなる。』


湖が黒く沸騰し、

影哭獣がさらに巨大化する。


■ ■ アリアの“最初の喪失”


アリアがミラの身体を抱き寄せる。


ミラ

「アリア様……

 私は……アリア様のためなら……

 何度でも……命を……」


アリア

「ダメ!!

 そんなこと言わないで!!

 あなたは……私の仲間よ!!」


ミラ

「……ええ……だから……守りたかった……

 アリア様の……涙を……」


影哭獣が、アリアの涙を狙って跳躍する。


エリオン

「アリア!! 下がれ!!」


アリア

「ミラを離したくない!!」


エリオン

「アリア——!!」


影哭獣の影が

ミラの身体を包み込み——


ミラ

「アリア様……笑って……ください……

 私は……」


影哭の光が爆ぜた。


ロウガ

「ミラァァァァァ!!」


ミラが光の粒となって

アリアの腕の中から消えた。


アリア

「……ミラ……?

 ミラ……ミラ……ッ!!」


その瞬間、アリアの涙が落ちた。

影哭界の闇が歓喜のように揺れ、

世界が黒く染まっていく。


ノクス


『——そうだ。

   王よ。

   これがお前の“喪失”。

   そして妾への供物だ。』


エリオンは叫ぶ。


エリオン

「ミラは……影に喰われた……!?

 アリア……泣いちゃだめだ!!

 影界にお前の涙が喰われる!!」


アリアは嗚咽を押し殺しながら、

震える手で顔を覆った。


アリア

「ミラ……返して……

 お願い……返してよ……!!」


影哭界全体が

アリアの涙に呼応して激しく震え始める——。

影界での最初の“喪失”の回です。


影界第四階層《影哭界》突入

アリアの幼少期の悲しみが露わに

影哭獣登場

ミラがアリアの涙を守るため負傷、そして——

影に喰われる(消失)


この“喪失”は第三章の重要な転機となり、

影界の支配者ノクスがアリアを本格的に狙い始めます。

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