第三章:影界戦火編 第1話 闇より出づる風 ― 影界の兆し
光があれば影が生まれる。
王が立てば、必ず“影の王”もまた生まれる。
これは、世界のもう一つの顔に触れる物語。
■ 帝国南端・ヴァリス峠
帝都から南へ数日の道。
アリアたちは、帝国と南方大陸を隔てる“ヴァリス峠”へ到達した。
風は乾き、
空気は夜になると震えるほど冷たい。
ロウガ
「なんか……空気が腐ってやがる。
気味が悪いな。」
ミラ
「魔力の流れが通常と違います……
“負の魔素”……まるで闇が生きてるよう……。」
エリオンが静かに剣を抜く。
刃が闇の中で僅かに赤黒く光った。
アリア
「この感じ……。
レムルスの影術に似てる。でも……もっと深い。」
そこへ、通信魔導器からフェンリスの声。
フェンリス
『気をつけろアリア。
その峠は古来、“影界への門”と呼ばれる。
奴らは光を喰らう。』
アリア
「影界……
いよいよ始まるのね。」
■ ■ 不穏な襲撃
夜。
焚き火の光が不自然に揺らぎ、
風が止んだ。
アルフレッド
「……え……風が……消えた……?」
ロウガ
「嬢ちゃん、後ろッ!!」
アリアが振り向いた瞬間、
闇の中から“人型の影”がにじみ出た。
ミラ
「影喰!!
影界から漏れ出す魔生物!!」
アリアは即座に剣を構え、
灰風が爆ぜる。
「王式・灰閃!」
一閃で闇が裂ける——
だが、影はすぐに再生した。
エリオン
「斬っても死なねぇ……!?」
ミラ
「影界生物は“存在の記録”を持つんです!!
消すには……意志の力が必要です!!」
アリア
「意志……!」
アリアは胸の奥に灯る“王としての誓い”を思い出す。
「私は、この世界の痛みを癒すために戦う!!」
風が灰から光へ変わり、
影喰は完全に霧散した。
ロウガ
「……やっぱり嬢ちゃん、普通じゃねぇ……」
ミラ
「いえ……“人を超えても、人でいられる王”です。」
アリアは深く息を吐く。
「これは……“呼び声”。
影界が、私たちを試してる。」
エリオン
「じゃあ……レムルスじゃなく、もっと深い意思が?」
アリア
「……ええ。
本当の“敵”が動き始めてる。」
■ 帝都・同時刻
帝都の魔導観測塔。
老魔導士シェル
「……とうとう“門”が動き出したか。」
助手
「師匠……これが“影界門”……?」
シェルは遠い目で答えた。
「世界の崩壊の兆しでもあるが……
風の王が立つなら、それは希望の印にもなる。」
■ ■ フェンリスからの報告
翌朝。
通信魔導器が震えた。
フェンリス
『アリア。
南方で、レムルスの気配を捉えた。
奴は“影界”を使い、何かを呼んでいる。
古代兵器か……
あるいは“王の複製”だ。』
アリア
「王の複製……!?」
エリオン
「アリアの偽物……ってことか?」
ミラ
「まさか……影界が王をコピー……?」
アリア
「確かめに行くしかないわ。
“本物の王”が誰かを示すためにも。」
■ ■ 影界への道
峠を越えると南方荒野が広がった。
地平線には黒い霧が渦巻き、
“影界門”が開こうとしているのが見える。
ロウガ
「……あれが門かよ……
悪夢の入口みてぇだ……」
アルフレッド
「魔力反応……この世のものじゃない……!」
エリオンは剣を抜き、
アリアの隣に立つ。
「アリア……
隣は譲らないからな。」
アリアは微笑んだ。
「行くわ。
影界の中心へ。」
風が吹き、
外套が揺れる。
こうして——
第三章・影界戦火編が本格的に始まる。
帝国を離れ、アリアが世界の“闇”と対峙し始める導入回でした。
新敵勢力《影界》登場
影喰初出
エリオンとアリアの関係がさらに深化
フェンリスから“灰狼の盾”を継承
レムルスが“王の複製”を動かし始める
世界規模の戦いが始まる予兆




