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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第二章:王の道、灰より始まる 第24話 風と血の終焉 ― 王と宰相、最後の衝突

王の剣は、国だけを斬るためにあるのではない。

失われゆく心を救うために振るわれる。

それが“意志の王”の剣。

■ 血渦宮《中心殿》


血帝の相となったガルスは、

帝国全土の“血脈”を束ねた存在だった。


その背には、

無数の血の翼が揺らぎ、

歴代皇帝の“血の影”がまとっている。


ガルスの声は重低音となり響く。


「アリア王。

   ここで帝国の未来を決めよう。」


アリアは剣を構え、

仲間たちを背に立つ。


風の光を帯びたその姿は、

もはや“少女”ではなく、

“王そのもの”だった。


■ 第一交錯 ― 血帝・千血穿 vs 風王・灰迅双界


ガルス


「血帝式・千血穿せんけっせん!!」


血の槍が百でも千でもなく、

もはや“雨”として降る。


アリア


「王式・灰迅双界かいじんそうかい!!」


風が二重の回転を起こし、

灰が光を纏って刃となる。


衝突――

宮が揺れ、床が砕け、

帝都の空に“光の波”が走った。


ミラ

「アリア様……! 魔力が限界を超えてます!!」


アルフレッド

「僕の支援も……追いつかない……!!」


ロウガ

「嬢ちゃん!! 無理すんな!!」


アリアは後ろを振り返らず、

ただ前の敵だけを見据えた。


(ここで倒れるわけには……いかない!!)


■ ガルスの“血帝の本質”


衝突の後、

ガルスはほとんど傷ついていなかった。


ガルス

「アリア王。

 風は美しいが……

 血帝の力を前には、ただの“空気”だ。」


アリア

「血で世界を縛るなんて……

 そんな未来、私は認めない!!」


ガルスは玉座に触れた。


赤黒い光が溢れ出す。


ガルス


「血帝とは、帝国の“罪と歴史”の集合体。

   私は帝国のすべてを背負った。

   だからお前より“王に近い”。」


アリアは目を見開く。


(帝国の罪……

 そのすべてを……この人は……?)


ガルスはさらに続ける。


「アリア。

   お前は“救う王”だ。

   私は“背負う王”だ。

   どちらが正しいか……ここで決めよう。」


アリアの胸が熱くなる。


(……この人は……

 本当に帝国を救おうとしていた……

 血という方法は間違っていたけれど……

 それでも……!)


■ エリオン、完全覚醒寸前


ガルスの血帝力がエリオンへ再び襲いかかった。


エリオン

「ぐあああああ……!!

 血片が……暴れて……!!」


ミラ

「ダメ!! 止まらない!!」


アルフレッド

「これ……

 エリオンの血片が“形を持とうとしてる”……!」


ロウガ

「おい!! まずいぞ!!

 エリオンが……!」


エリオンの背から黒灰の羽根が膨らむ。


アリア

「エリオン!! 戻って!!

 あなたは……血に支配される人じゃない!!」


エリオンは荒い息の中で言う。


「アリア……

 もし俺が……暴走したら……

 迷わず……俺を……」


アリア

「そんなことさせない!!!」


アリアはエリオンを抱きしめた。


風が二人を包む。


アリア

「あなたは私の“片翼”。

 私のそばで……生きていて。

 それだけで、十分なの。」


エリオンの血片が一瞬静まる。


アリアが続ける。


「エリオン。

 あなたの意志が、私を支えてくれた。

 だから私も……あなたの意志を守る!」


エリオンの瞳が震え、

涙が落ちた。


「アリア……

 お前が……俺を王にする……

 俺は……お前のために……生きる……!」


血片の光が弱まる。


ガルスの表情に焦りが走る。


(……この男……

 意志で血を抑えている……!?

 ありえん……!)


■ アリア、最後の覚悟


アリアは立ち上がり、

風を大きく吸い込んだ。


その瞳はもう迷っていない。


「私はもう迷わない。

  ガルス……

  あなたが抱え続けた“帝国の痛み”——

   私が終わらせる。」


ガルス

「できるものか!」


アリア

「できる!!

 意志で!!」


風が光を帯び、

“王の風”となる。


■ 王式最終技 ― 灰煌・王断命風はいこう・おうだんめいふう


アリアが剣を掲げた瞬間、

風が黄金灰色に輝き、

血渦宮全体が震えた。


ミラ

「まさか……アリア様……

 王式の……最終到達点……!?」


アルフレッド

「アリアの……“意志の魔法”の極致……!!」


エリオンはアリアの横で剣を構える。


「アリア……

 俺も一緒に戦う!!」


アリアは微笑む。


「ええ、隣にいて。」


ガルスは血翼を広げ叫ぶ。


「血帝式・血冠覇劫けっかんはごう!!」


大地を割るほどの血の奔流がアリアへ襲う。


アリアは叫ぶ。


「王式・灰煌――

   王断命風!!!!」


風と光が融合し、

“全てを断ち切る意志の刃”となって走る。


衝突した瞬間、

帝都の空が白く光り、

大地が震え、

血渦宮が悲鳴を上げた。


ガルス

「……これは……!?」


アリア

「あなたの“背負いすぎた痛み”を……

 私が断ち切る!!」


光と風が血を切り裂き、

ガルスの血翼が次々と砕けていく。


ガルスの足が地につく。


「ぐ……う……アリア……王……

 お前の……意志……

 これほどまでとは……」


風がガルスの胸を貫いた。


■ 決着


血翼が消え、

ガルスはゆっくり膝をついた。


アリアは剣を下ろし、

静かに彼へ歩み寄った。


ガルスはかすかな笑みを浮かべた。


「……見事だ。

   “意志の王”よ……

   私は……敗けた……」


アリアは彼の手をそっと握る。


「ガルス……

 あなたは帝国を救いたかった。

 血ではなく……

 本当は、誰かを守りたかったはずよ。」


ガルスの目に涙が浮かんだ。


「……私は……

 “王になれなかった者”だ……」


アリア

「いいえ。

 あなたは帝国を背負いすぎた。

 もう……降ろしていいのよ。」


ガルスの血の鎧が解け、

人間の姿へ戻っていく。


「……アリア……

 帝国を……頼む……」


アリア

「もちろん。」


ガルスは穏やかな表情で目を閉じた。


血渦宮が静かに崩れ始める。

第二章の大きな山場、

アリア vs ガルスの最終決戦の決着回でした。

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