第二章:王の道、灰より始まる 第23話 血帝の相《けっていのそう》 ― 宰相ガルス最終形態
王の敵は、外でも内でもない。
“揺るぎない覚悟を持った他者”だ。
血であれ意志であれ、
揺らぎなき心は強大な力を持つ。
■ 血渦宮《中心殿》
ガルスが叫び、
血翼は巨大な“血帝の紋”へと変質した。
赤黒い渦が天井を突き破り、
帝都全域へ血脈の線が伸びていく。
ミラが震えながら言った。
「これ……帝国中の血脈を……
ガルスが完全に支配しようとしてる……!」
アルフレッドが叫ぶ。
「こんなことになったら……
帝国の人たちの“血”そのものが……
ガルスに奪われて……死ぬ!!」
ロウガは拳を握りしめる。
「やべぇ……本当に帝国そのものを飲み込む気だ……!」
アリアは強く剣を握り直した。
「止めましょう。
ここで終わらせる。」
ガルスの姿はもう“人”とは呼べなかった。
複数の血翼、血の鎧、
背後には帝国の歴代皇帝の“血影”が重なっている。
ガルスの声は、もはや複数の声が混じり合ったようだった。
「アリア王……
血を否定したお前の覚悟……
試してやろう。」
■ ガルスの“血帝の能力”
ガルスが指を弾く。
パチン――
次の瞬間、
アリア、エリオン、ミラ、ロウガ、アルフレッド――
それぞれの“血”に衝撃が走った。
エリオンが膝をつき、呻く。
「ぐっ……!!
血が……!! 引きずられる……!!」
ミラも歯を食いしばる。
「血術の……強制支配!?
ガルスは……大陸に散る“帝国血脈”を利用して……
人の身体を遠隔で操れる……の……?」
アルフレッドが叫ぶ。
「僕の刻印も反応してる……!
身体が……勝手に……!」
アリアが前に出る。
「そうはさせない!!
風よ――!」
風が吹くが、
ガルスが手をかざすと血の膜がそれを吸収する。
ガルス
「風は“血”によって命を失う。
何度でも言おう、アリア。
血は、意志より上位だ。」
アリアの風が弱まる。
(……風が……殺される……!
どうすれば……!)
■ エリオン、血片の“真の姿”に触れる
その時――
ガルスの血帝力が、エリオンの胸の血片に直撃した。
エリオン
「ぐああああああああ!!」
アリア
「エリオン!!」
血片が暴走し、
エリオンの背に“黒灰の翼”が一瞬だけ広がった。
ミラ
「なに……!?
血片が……形を持ってる……!?」
アルフレッド
「エリオンの血……!
ガルスの血に引きずられるどころか……
逆に“反応し返してる”!!」
エリオンは苦しみながら叫ぶ。
「やめろ……!!
俺は……アリアの……
“片翼”なんだ……!!
ガルスのために……力を使わせるな……!!」
だがガルスは冷笑した。
「君は《灰冠計画》の副産物だ。
この血渦宮では……“本当の姿”を晒すだろう。」
エリオンの血片が再び光る。
アリアが咄嗟に抱きとめる。
「エリオン!!
あなたは意志でここにいる!!
血じゃないわ!!」
エリオンの瞳が揺れる。
「アリア……
俺は……お前のために……
ここに立つ……!
それだけは……揺らがない!!」
血片の光が少し弱まる。
ガルスの表情が僅かに揺れた。
(……この男……
血より強い意志を……?)
■ アリア、覚悟を叫ぶ
ガルスの血帝力が、
アリアへ向けて殺意の奔流を放つ。
しかしアリアは迷わなかった。
風を纏い、
エリオンの隣で剣を掲げる。
「ガルス!!
血も歴史も呪いも、
“意志で越えられる!!”」
ガルス
「綺麗事だ。」
アリア
「綺麗事で世界は救えない。
でも……“人の心”は救える!!
私はそのために王になった!!」
ガルスの血翼が大きく広がる。
「ならば証明しろ――
アリア・ヴァルステッド!!」
アリアの風が逆巻く。
「行くわ、ガルス!!
帝国を……終わらせるためじゃない!!
“生かすため”に戦う!!」
■ 決戦の幕開け
ガルスが叫ぶ。
「血帝式・千槍穿!!」
宮全体から、
何千もの血槍が一斉にアリア隊へ向けて放たれる。
アリアが叫ぶ。
「王式・灰風結界!!」
風の盾が仲間を守るが、
血槍はその風を喰い、次々に砕いていく。
ミラ
「魔力が……吸われてる!!」
ロウガ
「嬢ちゃん!! このままじゃ押し潰される!!」
アルフレッド
「僕の力で風を補強する……!!」
エリオン
「アリア……俺は……まだ戦える……!!」
アリアは剣を構え――
「次で決める!!
帝国の未来のために……!!」
ガルスの血翼が巨大化し、
本当の“血帝”の姿を晒す。
帝国史に刻まれる最終決戦が、
いま始まる。
ガルスがついに“血帝の相”へ到達し、
アリア隊は最大の危機に直面しました。
いよいよ第二章・帝国決戦編の 最終クライマックスへ。
「王よ。
世界が見守っている。」




