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灰冠(はいかん)の大陸アルメリア  作者: たむ


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第二章:王の道、灰より始まる 第13話 帝国の反応 ― 黒翼の敗北と新たな狂気

王が勝ったという事実は、

それだけで世界を変えてしまう。

帝国は激しく揺れ、

闇の中では“第二の影”が目を覚ます。

■ 帝都セレスティア・宰相府


深夜。

宰相ガルス・ハーゲンは書類を破り捨て、机を叩きつけた。


「……カイウスが、敗れただと?」


報告に立つ帝国士官が震えながら答える。


「は、はい……!」

「焔翼部隊は壊滅。

 黒翼閣下は生存していますが、重体です。」


“黒翼のカイウス”――帝国最強の空騎兵。

その敗北は、帝国軍にとって“敗北”ではなく“衝撃”そのものだった。


ガルスの瞳が血走る。


「風の少女ごときが……黒焔を越えた?

 そんな馬鹿な……!」


拳を握り、血が滲む。


(あの娘……ただの反逆者ではない。

 帝国を揺るがす“希望そのもの”。

 ならば……滅ぼすしかない。)


ガルスは静かに命じた。


「血導師団・第二中隊。

  “血の子ら(ブラッドチャイルド)”を起動せよ。」


士官が蒼ざめた。


「し、しかし宰相……!

 “血の子ら”は失敗作の……!」


「構わぬ。

 “使い捨て”で充分だ。」


赤い光が宰相府の地下へ広がっていった――。


■ 皇帝の私室


報告を受けた皇帝カリオス三世は、

静かに窓辺で空を見つめていた。


月光の下、

彼の横には古い石板が置かれている。

そこには古代語でこう刻まれていた。


「王とは、意志で立つ者」

「血にあらず、民にあらず」


皇帝は呟く。


「アリア・ヴァルステッド……

 その名前が、帝国の運命を変えるとはな。」


側近が問う。


「陛下は……彼女を脅威とお考えなのですか?」


皇帝は目を閉じた。


「脅威ではない。

 “可能性”だ。」


側近が驚く。


「可能性……?」


「帝国が千年求め続けた“血ではない王”。

 彼女のような者こそ、本来の帝国が望んだ姿なのだ。」


皇帝の瞳に深い影が落ちる。


「だが、ガルスはそれを許さぬ。

 ……帝国は“二つに裂ける”だろう。」


そして最後に、静かに言った。


「アリアよ……

  お前がこの世界の“鍵”だ。」


■ 帝都・裏界区《深層街しんそうがい


帝都の地下深く、

陽が差さない迷路のような街がある。


そこで、ひとりの影が笑っていた。


黒い外套。

仮面の下から覗く紫の瞳――

この人物の名は “影牙えいがレムルス”。


「黒焔のカイウスが敗れた……

 面白くなってきたな。」


背後に集まる影たちがざわめく。


「レムルス様、帝国が弱体化しているのでは……?」


「ああ。

 だが、それこそ我々《渦影うえい》が動く好機だ。」


渦影――

帝国の闇に潜む非合法組織、魔導暗殺集団。

その存在すら“噂”でしか語られない。


レムルスは楽しげに言った。


「“風の王”アリア。

  君は……世界の秩序を壊せる。」


彼の声は低く、甘く、毒のようだった。


「帝国の王でも、獣王でもない。

 君こそ、世界の“中心”になれる。

 だが同時に――

 最大の獲物でもある。」


彼は空を見上げた。


「さて……

 “黒焔”の次は、我々《渦影》が出る番だ。」


■ 灰冠砦 ― 風揺れる夜


フェンリス領から戻ったアリアたちは、

砦に仮の凱旋を果たしていた。


だがアリアは、皆が眠った夜、

ひとり星のない空を見上げていた。


(黒焔の力……

 あれは帝国の“本気”だったはず。

 でも、まだ何かが動いている気がする……)


風がざわめいた。


エリオンが後ろから声をかける。


「眠れないか。」


アリアは振り返った。


「エリオン……

 帝国は、次に何をしてくると思う?」


エリオンは目を細める。


「俺が恐れているのは……

 “帝国だけじゃない”という点だ。」


「……どういうこと?」


「アリア、お前が空を奪い返したことで――

 “世界が動き出した”。

 帝国以外の影が、必ずお前を狙う。」


アリアは拳を握る。


「逃げる気はないわ。

 私は“王”だもの。」


エリオンは、少しだけ優しく笑った。


「だから心配なんだ。

 お前の背負うものは、もう国だけじゃない。」


アリアは風の中で呟いた。


(風が……警告している。

 “第二の影”が近づいている、と。)


その風は、夜の闇の中で不気味に揺れていた。

“黒翼の敗北”が帝国を大きく揺るがし、

ガルスが次なる禁忌の切り札「血の子ら」を起動。

そして帝国の外――

渦影うえい”という新勢力が動き始めました。


アリアの存在が、

“小国の反逆者”から

“世界の鍵”へと変わり始めています。

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