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呪い
闇の部屋で、玲央は今夜も人の恐怖を眺め、恍惚に浸っていた。
密室で震える標的
逃げ惑う者の声
ファイルを指でなぞりながら、玲央は微笑む。
「面白い…もっと見せろ」
そして、今日の“遊び”が終わると、玲央は立ち上がり、黒田に指示を出す。
「今日の標的はすべて、君の手で処理しておけ」
黒田は無言で頷き、暗い倉庫へ向かう。
心の中では、妹を助けられた恩義が玲央への忠誠として働いている。
しかし、今日はひとつだけ――
処理を終えた標的の一人が、死の間際に黒田を見つめ、声を震わせる。
「……うっううう……おまえらを未来永劫呪ってやる…!」
黒田はわずかに眉をひそめる。
玲央はその瞬間を背後から見つめ、唇の端に薄い微笑を浮かべる。
人の恐怖、忠誠、恨み…すべてが遊び道具だと、静かに確信する。
闇の世界で、彼の狂気は止まることを知らない。
表情ひとつで命を操り、心理を支配し、死の瞬間まで楽しむ――
そして黒田は、その忠実な右腕として、すべてを実行していく。
どんなに残酷な行為も
妹の命よりは軽い……