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人格形成
高校に入学した玲央は、すぐにクラスでも目立つ存在になった。
スポーツも学業も、すべてパーフェクト。
教師や同級生から「堂嶋君って本当にすごい」と尊敬される。
放課後、文化祭の準備中。
クラスメイトが意見をぶつけ合う中、玲央は静かに観察していた。
「誰が何にこだわるか…」
「誰はおだてれば動きやすいか…」
そして、自然な笑みを浮かべながら一言。
「じゃあ、舞台係は君、飾り付けは君、残りはみんなで分担しよう」
全員が納得し、作業はスムーズに進んだ。
教師も「完璧だ、さすが堂嶋君」と感心する。
だが、誰も見ていない角で、玲央はポケットから小さなノートを取り出した。
クラスメイトの性格や癖、秘密を書き込み、符号で整理している。
「ふふ…面白い」
楽しい、というよりも、思い通りに人を動かせる感覚が心地よい。
高校生になった玲央は、表の完璧さと裏の計算の両方を、少しずつ楽しみ始めていた。