第十八録:果てなき欲を見た人工知能 四節「顕に。」
──時間は少し戻り縁継と別れたウル一行。
こちらに残ったゴーレムは二体。
バズーカのゴーレムと戦斧を持つゴーレムのみ
バズーカ持ちは家屋の上で僕たちを見下ろす
前衛を張るのは戦斧を構えたゴーレム。
「さて!レミリア、ネローズは支援をお願いね!
ブランカはこのまま前衛で行くよ!」
「了解しましたわ」
「任せなさい」
「わかったー!!」
僕は皆に指示を出す、そして目の前のゴーレムに向かい槍を構える。
「ハハ!槍の試運転には丁度いいかな!」
槍のトリガーを引き、変形をさせる。
ガコン!と槍が伸び内部駆動が露出。
パチパチと雷を爆ぜさながら回転を始める
スラスターを展開、追加外装もスライド展開。
「さっきはウォーミングアップにもならなかったからね!行くよ!」
バズーカを構えるゴーレム、しかし──
一瞬の紫電が炸裂する。
バギャッ!!バズーカが弾けて破壊。
「ハハ!コレはすごいね!流石エドガー!」
僕はゴーレムの後ろに着地する。
グルリと上半身を回転させ両腕を変形、鉄の弾を無数に発射される。
僕は即座に回避、弾幕を張るゴーレム。
「僕に集中するべきじゃなかったね」
ゴーレムの地面が黒く、妖しく蠢くすると地面から突き出した黒い針に両腕が貫かれた。
「僕には最愛で全幅の信頼を寄せる恋人がいるのさ!そっちも警戒すべきだったね!」
槍を低く構え、唸りを上げる駆動音を開放する
紫電が一閃、美しく煌めく。
雷鳴の後に残ったのは上半身が消えたゴーレム
僕は空中に滞在する。
その下ではブランカが戦っていた。
近くの家屋に着地して様子を伺う。
ハンマーが戦斧とぶつかる、パワー勝負は─
僕の恋人、ブランカの勝ちだ。
ゴーレムはよろめきバランスを取るもブランカの追撃がそれを許さない。
完全にダウンしたゴーレムはレミリアの魔術により焼かれる。
「えーい!!」
しぶとく、ぎこちなく動くもののブランカのハンマーでトドメを刺される。
「倒したー!!」
元気よく両手でハンマーを持ち上げるブランカ
家屋から地面に降りて周囲を伺う。
戦闘が止んでいる…ヨリツグたちは勝ったようだね!
「みんな!大丈夫かい?」
「えぇ!無事ですわー!」
「同じくー!」
「わたしも!」
愛しい恋人たちから無事の返事が返ってくる
同時に皆が僕の近くに来る。
それは行動を共にするホワイトもだ。
あのゴーレムたち…多少は戦える相手ではあったが…本当にこれで終わりなのか疑問に思う。
突然、街全体に憎悪の声が響いた。
人に対する怨嗟がその一言に詰め込まれている
"い、今のアナウンスは一体!?"
怯えるホワイト、不思議だ…本当に感情がある様に振る舞っている。
いや…もしかしたら本当に感情があるかもしれない、そう思うほどホワイトは自然だ。
「君たちは大丈夫かい?」
僕はレミリア、ネローズの後方に控えていた
4等級の冒険者集団に一応の声を掛ける。
「はい!おかげさまで!!」
予想通りの返答が返ってくる、まぁ二人が守っていたのもあるが近づけることさえしなかったから当たり前ではある。
「変わらず、門は閉鎖されたままですわ」
「えー!?うーん…"わたしの力"を使えば壊せない?」
「確かに、ブランカの能力を使えばなんとかなるわね…どうする?」
「そうだね…一先ずは保留で!このまま逃がしてくれる気がしないんだよね!」
気がかりなのはやはりあの放送…ブランカの能力を使い封鎖を突破できたとしてもなんらかの罠を仕掛けている可能性が高い。
「あ、ヨリツグと夜天羅がこっちに来るわ」
魔力を探知したネローズは左に視線をやる
家屋の上から現れて飛び降りこちらへ合流した
「そっちは大丈夫そうだな」
「ヨリツグたちもね!」
僕たちは互いの無事を確認、話題はあの奇妙な放送に移る。
「ウル、あの放送どう思う?」
「恨みだね!心の底からのが付くほど。」
何をどうすればそこまで人を恨めるのか
よほどの仕打ちを受けたに違いない。
その時、レミリアが持っていた施設で入手したタブレットから音がする。
「…このタイミングでなんですの?」
レミリアは警戒しつつもタブレットを取り出して操作をした。
「!?みなさん!これ!」
慌てたレミリアは僕たちにタブレットを差し出して見る様に促す。
画面に映し出されていたのはあの黒塗りだった
文章、その黒塗りが全て剥がれていた。
──人工知能擬似魂計画[ブリキの心臓]
試験体001:エミリー 試験体002:ニック
アポロニア機関、安定稼働。
本計画は魂の人工生成及び人工シナプスの試験である、無垢の魂の成功しかし空の人体に魂を注入しても身体は活動を開始するも脳死状態になりあらゆる魔術、魔法、医療でも修復不可。
魂に情報が無い状態だと脳死以外の活動できないと判明、急遽人工シナプスを製作して人工知能と併用し──
パタン…ネローズはタブレットを静かに閉じた
その顔は怒りと悲しみが混ざった顔をしていた
僕はそんな彼女の手を取り身を寄せる。
…この中で一番魂に触れている彼女だからこれがどれだけ悍ましい実験かがよくわかっているのだろう。
そうでなくても皆が絶句していた。
"あっ"
ピー…ガガッ…ガッ
ホワイトに異変が起きる、異音を出したかと思うと地面にぺたりと座り画面は真っ暗に。
完全に停止してしまった。




