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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第三章:アルカラド編
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余談:後編「妖霊管理機構」

「………」

「………」

揺れる車内では俺と青鐘寺さんが並んで座る

会話はない、何を話していいかわからない

とても気まずい沈黙が場を支配する。


前の信号が赤になり車はゆっくりと停車。

軽い重量が自分にかかるのがわかる。

「飴ちゃん食うか?」

急に俺へ飴を差し出す青鐘寺さん

俺の緊張をほぐす為だろうか?

「…頂きます」

一瞬、躊躇はしたが俺に何か危害を加えないだろうと判断

飴を受け取り個包装を破り口に放り込む、甘い味が口内に広がる。


「もうちょいで着くわ、それまで辛抱やで」

「はい、お願いします。」

会話はそれだけ、変わらず無言で静かな空間

しかし少し空気が和らいだ感覚がする。

それから10分くらいだろうか。

車が駐車場に入り、停車した

「さ、着いたで」

「わかりました、運転ありがとうございます」

運転手に礼を言ってから車を降りた。

屋根のない青空駐車場、到着した場所。

「警察署?」


「そやで表向きは警察署になっとる、心霊関係や

 何かしらの異変があればすぐ連絡くるからな」

「…妖や心霊以外が来たらどうするんですか?」

純粋な疑問、警察署となれば膨大な数の通報や

相談が来るはずだそれを人力で判断するのは難しいはずだ。

「大丈夫やでその辺は妖術でちょちょいとな、まぁとりあえず行こか」

青鐘寺さんは前を歩き俺はそれに着いてゆく

自動ドアが開き適温に調整された温度の室内


その中ではあくせくと働く人たちが目に入る。

だが、俺の姿を見て全員が足を止めて突き刺さる様な視線が向けられる

「?」

「あー…縁継くん、妖ノ目が出てきとるわ」

「あっ」

そういうことか…そりゃ俺を警戒するわけだ

でも何に反応したんだ?

「みんな、仕事に戻りや!この子はお客さんや」

まさに鶴の一声、青鐘寺さんの言葉に全員が従い仕事へ戻っていく。


「すまんなぁ…」

「い、いえ…多分まだ上手く扱えれなくて

 ここの妖術に反応したと思うんで俺の方こそすみません」

「きみ、ええ子やなぁ…」

青鐘寺さんと話しながら歩きある一室で足を止めて扉を開く。

「さ!ここや、入ってや」

「はい、失礼します」


部屋に入室する、中はソファとローテーブルが

ある応接室、学校の応接室と似た様な感じだ。

警察署と言う事もあり俺は─

「…てっきり取調室かと思った」

「アハハハ!なんの罪も疑いも無い人をあないな場所に

 案内せぇへんよ、それともあそこでカツ丼とかのほうがぽいか?」

俺の何でも無い独り言を聞いた青鐘寺さんは笑い、軽口を飛ばす。

「ま、座りや話しよか」


青鐘寺さんに促されてソファに座る

すると、ノック音が響き扉が開かれた

「お待たせしました〜」

「おー来たか、荒垣!」

入室して頭を下げた女性、短髪で爽やかながっしりとした人だった。

女性は青鐘寺さんの隣に座りタブレットを操作

「ほなら、今日来てもらった訳を話そか」


「まぁ縁継くんも気がついてるかもやけど話ゆうんは

 キミの家に現れた鬼族についてや」

だろうな…夜天羅の事だと予測はしていた

彼女の邪気のことを考えても放って置けないだろうな。

「現れた日から俺らは存在を感知しとったや」

「え?そうなんですか?」

「そうや、でも半分神さんになっとるからびっくりや

 で調べたら色んな事がわかってな」

「まずは…そうやな、キミん家に手を出せない事について話そか」


親父もこれについては知っていた、確実に初代尼さん関係だ。

「詳しくは機密やから話されへんけどな、縁継君のご先祖が

 この組織の成り立ちに深く関わってててな

 俺らの組織の根幹と言っていい部分に手が加えられてんねん」

「…僕らに手を出すと根幹が崩壊する?」

「そうや!察しがええな、まぁ手を出すとゆうても

 コチラとしては一般人に被害が出ない様に保護やな」


なるほど…名前の通り妖霊関係を管理しているのか

一室だけ閉じ込められる夜天羅を想像してしまった。

「…保護や管理ゆうても許可証を発行すれば

 自由に社会で過ごせるで、月の面談は必須やが」

「そう…なんですね」

俺の考えが顔に出ていたのか

追加の情報を開示する青鐘寺さん。

「でや鬼族の子…夜天羅さんの事はこちらにも

 情報は残っとった、邪気の事も全部な」


「彼女を…どうするんですか?」

自然に手に力が入りにぎり拳を作る

そうだ…俺の家が対象なだけで夜天羅はどうなんだ?

「そう心配しなや、彼女もさっき言った奴の対象やから

 俺らからは何もできへんし何もしたあかんわ」

現状うちの寺の結界があるから

邪気を抑え込んでいる、夜天羅を寺から出す事自体悪手だ


「あとキミと婚姻を結ぶ事も書かれてたわ

 しっかしすごいな!キミの祖先の千里眼は!」

「俺らは調べるまで書類すら

 見つからへんかったからな、ぜーんぶ手のひらや!」

アハハハと笑いながら語る青鐘寺さん

その用意周到さに感服している様子だ。

「だから彼女はキミに任せる」

「はい、任せてください」


「ええ返事や!それでやな縁継君、キミさバイトせぇへんか?」

「バイト…ですか?」

「そや、さっきゆうた月の面談を縁継君がしてほしいんや」

組織的にも全部を任せきりは

流石にさせてはくれないか、妥当な提案だ。

「わかりました、引き受けます」

あとは、雇用契約書にサインをして

俺は警察署改め妖霊管理機構を後にした。


「しかし…びっくりしましたね〜半神半鬼がこの時代に現れるなんて」

荒垣は書類の整理をしながら上司である青鐘寺に話しかける。

「まぁな…でも俺は似た

 事例に関わった事あるわ、そんときは狐やった」

「あ〜2年前の大戦ですか…あれはすごかったですね」

過去に起きた大戦、それの処理に

いまだ追われている西日本支部を思う。


「そやな、まぁ今回はそないな大事にはならんやろ…

 2年後に縁継君が祝言をあげたら終わりやからな」

「それにしても!初々しくて羨ましいですね〜!!」

「当たり前や、まだ高一なりたてやで?」

それでも…あんだけ覚悟決めとんのは相当やが

ただ普通に生きてきたはずの少年がや

人を愛するが故にか…

静かに想いを馳せる青鐘寺、フッと笑い

これから関わる事になる縁継と2年前の青年を重ねる

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