第十六録:渓谷都市ディープホワイト 三節「まさかの再会」
──「おぉ!ここがアルカラドなんじゃな!」
俺と夜天羅、ウル一行はアルカラド軍事都市に到着した、街並みの印象は異質だ。
正確には見知った感じではある、しかしこの世界では異質。
今までは街中に少なからず自然があったがそれがほとんどない。
まるで…現代日本みたいだ。
「なんか…異質だな」
「だね!流石は軍事都市!」
驚いたのは車の様な機械が走っている事。
ウル曰くあんな高級&魔石を喰う乗り物を走らせているのはここくらいらしい。
「さて!ギルドへ馬車を置いたのちに宿を探そうか!」
皆でギルドへ向かい宿を確保した。
時間は夕方と言う事もあり今日は解散、明日の朝にまた出発の手筈だ。
「色々とすごいのう!!」
「そうだな、車とか久々に見た」
「テレビに映っていたヤツじゃ!」
夜天羅は街の景観や珍しい魔動車を楽しそうに見ていた。
二人で散策、軍事都市という事もあり街中の至る所に兵士がいる。
やはり夜天羅を警戒しているな…
ただ、何かをしてくる気配はない。
「あ!露店があるのじゃ!ちょっと買ってくるのじゃよ!」
「あぁ、じゃあ俺はここで待っとくよ」
夜天羅は焼き菓子の露店へ向かい俺は近くで彼女を待っていたその時──
「…覡?」
ふと、背後から俺の苗字を呼ばれた。
この世界に来て苗字を名乗ったのは数えるほど
ほとんどが下の名で通してきた。
わざわざ覡の名で呼ぶ背後の人物に警戒体勢になる、俺はゆっくりと振り返った。
「………誰だ?」
いや、マジで誰だ?日本人の男が三人と女が二人いた
十中八九クラスメイトだが誰かわからない
せめて目立つ大崎や刺牙ならまだわかるだが
「…ほら!クラスメイトの!」
「いや、クラスメイトなのはわかってるすまないが名前がわからない。」
「あ、あぁ!ほら、霜田雄介!」
俺に声を掛けたヤツ、霜田と名乗った、ほとんど初めてに近い状態だ。
「そうか…で、俺に何か用事か?」
クラスメイトとは言え特に面識がない。
用があるなら手短に済ましてもらいたい。
「あ、その、なんで城から飛び出したのかなって」
「色々と事情があったんだよ、俺も」
関わる予定にのないやつに詳細を話す気はない
夜天羅の事を話すとなると邪気の件も
話さざる得ないだろう…安易に話したくない。
この場は適当にはぐらかす。
「それがなんなのかきいてんの!」
後ろにいた女子が少し怒った様に声を上げた
……誰だ?というか今名前を聞いた霜田以外わからん。
「………」
「ちょっと、もしかして名前わかんないの!?」
「すまないが全員わからん」
「はー!?っ私は千木茜よ!」
「お、おうそうか」
「お前様ー!」
露店から紙袋を持った夜天羅が帰ってきて
俺に腕を絡める。
それを見たクラスメイトたちは驚愕の顔。
「そっ!え!?」
「もしかして…噂の魔族?」
噂か…人の口に戸は建てられないとはこの事だな
ゴルドーさんは恐らくクラスメイトに話していないだろう。
ルスティアでもそうだった様に噂は広まる。
「おぉ?お前様、この者ら?」
「クラスメイトだ」
「ほう!わしは夜天羅じゃ〜よろしくのう」
手をひらひらと振る夜天羅。
未だ面食らっているクラスメイトたち。
…このまま強引だが離れるか
「じゃあ、俺たちはもう行く」
「!?ちょいまち!え?そういう関係!?」
「そうじゃよ〜わしらは夫婦じゃ」
「夫婦!?」
「ここにきて三ヶ月くらいしか経ってないに!?」
「わしと旦那様の付き合いは一年以上じゃよ?」
「!?」
まぁ…そんな反応になるよな。
コイツらの中では俺が夜天羅とこの世界で出会ったと思っている。
「…ほら言っただろ?"俺たちが居た世界にも
少なからずそういう存在がいる"って」
そのセリフを聞いてクラスメイトたちは
召喚された日の事を思い出した様だ。
「まさか…本当に?」
「そうだよ、じゃあ俺たちはもう行く」
そう言って俺は歩き出した、夜天羅はちょっとだけ
戸惑っていたがクラスメイトたち手を振り同じく歩き出す。
クラスメイトが見えなくなり夜天羅が口を開いた。
「よかったのかお前様?」
「ちょっと強引だったけど正直
クラスメイトたちの事よく知らないんだよな…」
「同じ学び舎なんじゃろ?」
「あー…まぁそれはそうなんだがどうにも合わんくてな」
「そんなもんかのう…しかしお前様が
他のおなごと話しておるのを見て妬いてしまったのじゃ」
夜天羅は俺の腕に自分の腕を強く絡める。
彼女の顔を見ると少しだけ頬を膨らませていた
それを見た俺はどうしようもなく夜天羅が
愛おしくなり膨れた頬を突いてしまう。
「俺は誰にも靡いたりしないよ」
「わしにもか?」
「じゃあ夜天羅以外にはだ」
「んふふ、じゃあ許すのじゃ」
俺たちは他愛のない会話をしつつ
夕方から夜に差し掛かる街を歩いてゆく。




