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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第二章:ルスティア編
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第十五録:次に向けて 三節「価値」

──同時刻、女子四人は。

街のレストランで同じく食事を楽しんでいた

ネローズ、レミリアが隣同士で座り

わしとブランカが彼女らの向かいの席に座って

談笑をしていた。


「いや〜いいわねこういうの!」

「ですわねー」

「あ!これおいしー!」

レミリア、ネローズの二人はほどよく酒がまわっている様子

わしとブランカは酒ではなく食事を楽しむ。


「私たちが身内以外の人とこういう場を共にするのは初めてですわね」

「それね〜なんらな人と組む事が初めてよ」

「近寄ってくる人なんていないもんね!」

「そうなんか?」

三人とも少し複雑そうな顔をする。

いつかの時に彼女たちは自分たちを鼻つまみ者と言っていた…

つまりわしと似た様な事情を抱えている。

でもそれを隠して共闘なりはできたはずだ。


「長く旅をしとるんじゃないのかの?」

「わたしは6年くらいかなー!」

「ブランカはそれくらいよね」

「わたくしとネローズ4年ですわね」

「ちなみに私が一番後輩よ」

「ほう!」

まさか、ブランカがいちばんの古株。

次にレミリア、ネローズの順番の様だ。


「ねー!ヤテンラはヨリツグと出会ってどのくらいなのー?」

「わしか?一年ちょっとぐらいじゃよ」

「あら!もっと長いと思ってましたわ」

「意外だね~」

彼女たちの目にはそれほどわしと旦那様は親密に見えていたんだろう。

それに旦那様とは出会ってわりかしすぐに

今の関係になった、お互いに一目惚れだった。


「こちらへくる前は半分同棲の様な生活を送っていたんじゃよ」

「まぁ!」

「羨ましいー!」

「んー?そんな生活をしていてなんでこの世界に?」

ネローズが疑問を問うてくる。

彼女たちは召喚される側の事情や状況を知らない…


…言っていいもんなのかのう、まぁよいか!

わしは一瞬の迷いがあったが話すことにした。

「──と、まぁそんな感じじゃ」

「うーん…拉致?」

「帰る手段があるとは言え良いとは言えませんわね…」

「というかヤテンラが

 イレギュラーすぎない?どうしてこっちに来れたの?」

「それはこの指輪のおかげじゃな」

三人に向かい左薬指の指輪を見せる

彼女らは指輪を興味深そうに眺めていた。


「これ…ヤバいやつじゃない?」

「いや…そんなまさか…」

「?」

「なんじゃなんじゃそんな深刻そうな顔をして」

レミリア、ネローズは顔を見合わせる

ネローズは周囲に何らかの魔術を密かに発動させた

そして意を決したかの様にレミリアが話し始める。

「ヤテンラさん…この指輪は"バベルの欠片"しかもその原本。」


「すまんが、そのバベルの欠片がよくわからんのじゃ」

「この世界のほぼ全員が

 バベルの欠片を持っているわ、でもそれは模造品なのよ」

ネローズは自身が身につけているピアスをわしに見せた

続いてレミリアブレスレット、ブランカはチョーカー。

「そうなんじゃな…そのバベルの欠片はどんな効果が?」

「私たちの様な模造品なら言語機能の補助

 どんな言葉でも書けるし話せるのよ」


「ほう!だからわしらはこの世界の読み書きができるのじゃな」

指輪の機能に関心しつつ指輪をマジマジと見つめる

来空はよい贈り物をしてくれたんじゃな

「…問題はヤテンラさんの指輪は原本ということですわ」

「察するに貴重な物なんじゃな?」

「国が動くレベル」

ネローズの言葉に驚愕する、この指輪一つで

一国を動かし得る代物だ、その希少性が伺える


「原本は言語機能に加えて条件を満たせば

 次元すら越えれると言われていますわ…

 今の時代では解明すらできない過去の超技術。」

「そりゃその時代の神も破壊して共通言語を奪うわけよ」

神の領域に触れようとした人間

それを恐れ怒りを向けた愚かな神は塔を破壊したという訳か

恐らくだがわしがこの世界に来れたのは

旦那様が先に召喚されていたおかげかもしれんな。


「だからそれは誰にも渡しちゃいけませんし喋るのもダメですわ」

レミリアは真剣な顔でわしに忠告をしてくれる

横ではうんうんと頷くネローズ。

「この世界で現存する原本は

 森の共和国ネルテ・ルサドが所持しているって噂よ」

「あそこ国自体がよくわかってないからよくそれ系の噂流れるのよね〜」



「不思議の国!」

「ある意味そうですわね」

二人からありがたい情報をもらった。

謎はなぜ来空がこんな物を持っていたのかだが

おおかた、あやつは千里眼を使って

手に入れたのだろう、全て来空の手のひらじゃな


親友の用意周到さに笑みが溢れる。

それにこの指輪はあやつの親愛の証でもある

…また、何にも変え難いものが増えた。

そうして楽しい女子会は遅くまで続き宿に帰ったのは

日付が変わる少し前だった。

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