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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第二章:ルスティア編
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第十五録:次に向けて 一節「流れ」

「お二人とも刻印が完了しました」

店員さんに呼ばれて再びカウンターへ

そこには懐中時計の背面へ丁寧に掘られた日本語の刻印

文字のバランスも違和感なく初めて掘ったとは思えない。


「これは…ありがとうございます!」

「すごいのう!」

俺たちは職人の技量に感動した

手に取りマジマジと見つめる、夜天羅が希望した刻印は

"貴方の隣で死が分つまで"その下には俺の名前がある。

「!お前様…これ」

「俺も迷ったんだがこっちの名前の方がいいかと思ってな…」


俺が頼んだ刻印の名は夜天羅の戸籍上の名前だ

今は夜天羅と呼んでいるがこれは言わば神の名だ

邪気の問題が片付くまでは夜天羅と呼んでくれと頼まれている。

彼女なりの覚悟という事だろうな

しかし今回、形として残るならとこの名を使いたかった。


「…嫌だったか?」

半ばサプライズになってしまった

夜天羅からすれば嫌だったんだろうか…

不安な気持ちで彼女の顔を覗いた次の瞬間─

思い切り抱きしめられた。

「…ありがとう!お前様!」


自分の本名が名乗れないのは精神的に負担があるだろう…

それが少しでも和らげばと思う。

半神半鬼のバランスを取るために

夜天羅は夜天羅を名乗らなければいけない

…命を奪う行為は神格を堕とす。

この世界で有効かは定かではないが

継続するに越したことはない。

前衛向きの夜天羅が後衛になっている理由でもある



これだけ喜んでくれたなら俺も嬉しくなる。

俺たちは店主さんにお礼をして店を後にした。

にゃんにゃんにゃにゃー?

外に出るとすぐに影からコイスケがでてきて

再び俺の肩へだらんとする。

…リラックスしてるのはいいが

どうやってバランス取ってるんだコイスケ?

そんな事を思いつつ終始上機嫌な夜天羅を隣に再び街に繰り出す。


時間が経ち早めの夕食でもと店探しの為に

しばらく街を散策していると─

「おや!」

「お、ウル」

人通りの少ない道で互いに恋人を連れた状態で

ウルたちと遭遇、格好を見るにあちらも休日を満喫してる様子。


「奇遇じゃな〜」

「ですわね」

「だねー!!!」

「そっちもデートでしょ?」

「そうじゃよ〜」

女子同士で集まり雑談を始めたさながら井戸端会議の様

この場合…立場的に俺とウルはそれに取り残された子供だな


「これからどっか行くのか?」

「武器屋に槍の製作をお願いしにね!」

そうか…ウルの槍は堕天使戦で大破さらに

魔法で跡形もなく消し飛んでしまった。

…あれ?消し飛んだの俺のせいか?

背中に嫌な汗が伝う、あんな高そうな武器を

大破してたにせよ足止めに使った。

今更感はあるが後で謝っておこう…


「えー…突如でありますが"女子会"の開催が決定いたしました」

ネローズから突然の宣言。

いや、まて、この世界に女子会なんて概念が?

…言葉はないだけであるにはある…のか?

「女子会?」

「名の通りじゃよ女子だけの集まり」

ウルの様子からしてこの世界にない言葉。

彼女たちとの談笑中にでた言葉なんだろうな

で、ちょうどいいし開催の流れか…


「じゃあ僕はヨリツグを借りるよ!」

「えっ」

俺の隣に来て肩に手を置いたかと思うと

予想外の発言をする、別に嫌ではないが…

「じゃあ、ここで別れましょうか」

「じゃな〜お前様、また宿でのう」

「あ、あぁ楽しんでな」

夜天羅たちを見送り俺とウルは反対側の道へ

図らずもこっちは男子会になる

まぁ…飲み会じゃなく俺たちは武器屋にむかうんだがな。


「それにしても奇遇だね!」

「本当にな…」

にゃーんにゃ

雑談をしながら目的の場所まで

並んで歩いてゆく、槍の事を謝るなら今だな。

「すまないなウル」

「ん?何がだい?」

「いや…槍をあんな雑に使い捨て」

「ハハ!別に構いやしないさ!あれは仕方がない!」

「代金半分くらいは出すぜ?」

「大丈夫さ!それに…」


何かを言いかけたウルの足が止まる

どうやら目的の武器屋に着いた様子、店に視線を向ける

"エドガーブレード"文字と共に看板に

掲げられる剣を模した装飾

名前からして剣類専門店だろう、俺たちは店へ入った行く

コイスケは例の如く影の中へ。

店の中は予想した通り剣類がほとんどを

占めておりそれ以外の武器は少し陳列している程度。


「やぁ!エドガー!」

「いらっしゃ─またお前か!!」

カウンターでナイフの整備をしていた体格の良い

厳つい顔つきの店主エドガーがウルを見るなり眉間に皺を寄せ声を上げた。

…またってこいつ何したんだよ

「まあまあ!今回も仕事の依頼さ!代金は多めに払うから急ぎで頼みたい!」

「無茶言いやがって!大体

 前に作ってやった槍どうした!…まさかっお前っ!!!」

「壊してしまってさ!」


それを聞いたエドガーは血管を浮かび上がらせ

その様子はまさに怒髪天の如く。

今まさに握っているナイフをウルに向けて

投擲するんじゃないかとヒヤヒヤする。

「あ、いやこれは俺も悪いんですよ」

「誰だ!貴様ァ!」

ウルと一緒にいるせいでエドガーさんに警戒をされる

無理もないが一緒にしないでほしい

とりあえず害意ないこと示すため軽く両手を上げる。

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