余談「父と娘。」
「あーお姉ちゃん行っちゃったー」
椅子に座りテーブルに突っ伏して
暇そうにしているアマリリス。
ここは辺獄、地獄と天国の境目にして
天国の者、地獄の者が交わる場所。
夕暮れ、オレンジ色の光が当たる海
ザァザァと波が揺れる音が響く。
ただただその景色を眺めている、すると─
私ちゃんの後ろから鎖の音が響く。
テーブルから顔を上げて音の方へ視線を向ける
そこには鎖を周囲に浮かせ威厳ある悪魔がいた
「おとーさんじゃん!どうしたの?」
「娘に会いに来た、と言いたいが半分は仕事だ」
私ちゃんの父親、悪魔のアモン・グリモワール
「仕事ー?あ、もしかして堕天使の?」
「そうだ、おそらくネローズは要らないと言うだろう。」
自身の娘の事をよくわかっている。
悪魔は正当な理由がない限り地獄から出ることはできない。
お父さんは人間界では会えない代わりに
加護や眷属を使い見守っていてくれた。
「それで無理してここまで来たんだ」
「私は…人間界に生きるお前たちに
何もしてやれなかったからな…これくらいはな」
お父さんは私ちゃんが死んだ事件に負い目を感じている
自分は何もできずただただ見ることしかできない
常人なら気が狂ってしまう。
「べっつにアマリリスは恨んだりしてないよ?」
「そうか…」
「それよりお母さんは?」
「カトレアなら天界で過ごしているよ
アマリリスも早く天界へ行きなさい」
私ちゃんのお母さんは人間、いい人だと思う
思慮深く優しい人、悪魔と子を成したからと
いって地獄に送られる様な人じゃない。
それにお母さんは誤って地獄に来てお父さんと
出会ったらしい…で、生き返ったら私たちを身籠っていた
「えー?まだいいじゃん!アマリリスに会えて嬉しいでしょ?」
「そうだが…私としては安寧に過ごして欲しい
悪魔の混血で天界へ行けるのは稀だ」
「あーアマリリスはお姉ちゃんに
悪魔の力を全部渡しちゃったからねー!」
私ちゃんが死ぬ間際にそばにいたお姉ちゃんに
契約として悪魔の力を全て譲渡した。
血縁ゆえ可能にした法外な契約。
だから私ちゃんは天界へ行くことが許された
「終わったようだな…」
「はやっお姉ちゃんたちやるじゃん」
堕天使を倒したらしい
お父さんは準備を始めて腕のみの
通行許可を得て魂を回収…まぁ、なんか色々あったみたい
血管切れて血を吹き出しそう。
「あ、あのクソ野郎ォー!!!」
激昂、悪魔の序列高位が外面をかなぐり捨てての雄叫び。
それが可笑しくて私ちゃんは大笑いしてしまう
…もう少し、もう少しだけこの生活を続けていたい
そう思いながらお姉ちゃんに会えるまだ見ぬ次を私ちゃんは楽しみにしている




