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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第二章:ルスティア編
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第十四録:これで対等 三節「地獄の茶番」

「はいはい、どうぞ」

ネローズは手に浮かぶ揺らめく球体を

父親の手へ移した、再び指を走らせる

"元気でやっているか?"

"怪我や病気はしていないか?"

…思いっきり私情の会話を始める悪魔。

一人暮らしの子供に電話をかける親

そのものである、まぁ…心配なんだろう。


「やぁ!お義父さん」

ネローズの隣に立ち声を掛けるウル

顔見知りで気さくな仲なのか?

珍しい…娘の彼氏なんて父親からすれば敵だ

軽口を言える──

腕は中指を立てさらに怒りを露わすかのように

血管が浮かび上がる。


前言撤回だ、めちゃくちゃ嫌そうじゃねぇか!

夜天羅とウルを見るもハハハ!と笑うばかり。

メンタル強いなこいつ。

「ちょっと!」

父親の対応に怒りを向ける。

少し焦りながら指で文字を書く。

"我は認めんぞ!!"

父親の悲痛な叫びが文字からも伝わってくる

これはこれで正しい反応。


「てか仕事が済んだなら早く帰りなさいよ」

シッシと手を払う、無慈悲な娘からの宣告。

明らかにテンションが下がり震える指。

"し、しかし次はいつ会えるか…"

どう言う事だ?そんな気軽に会える訳ではないのか?

確かにウルたち旅をしている…同じ世界に

住んでいるならこの反応はおかしい気がする。


「さぁ?私が寿命を全うした後じゃない?

 それよりもう時間でしょ?」

そう言うとずるずると鎖と腕が沈んでゆく

見るからに焦る腕。

"まて!まだ少しい─"

手首まで沈み文字が書けなくなり判別ができなくなる。

「ではお義父さん!また今度会いましょう!」

無自覚なのかわからないがウルは

明るく声を掛ける、こいつの事だから多分無自覚なんだろうなぁ…


血管がはち切れそうなほど浮かび上がらせた

拳から渾身の中指が立てられる。

抵抗虚しくそのまま完全に地面に沈んでゆく。

向こう側?で怒り狂ってると

安易に想像ができる…哀れ、ネローズ父。

これにはレミリアも苦笑い。


そんな三文芝居の後、俺たち全員で休憩所へ

帰還をした、今日はそのまま泊まり早朝にここを発つ

みな疲労が溜まっていたのかその日はすぐに就寝をする。

翌日、テントの片付けなど諸々の

準備をしてルスティアへ向かい帰路に着く。

行きは5日だったのが帰りは1日短縮の4日でルスティアに到着した。


「疲れたー!!」

「着きましたわね」

「皆お疲れ様じゃ」

馬車から降り背を伸ばす、俺とウルは荷物を下ろして

ギルドの馬と荷台を返却し受付に向かう。

今回の依頼の発注主はウル。

俺たちは少し離れた場所で待機

その間ウルは受付嬢さんと話を始めた。

話が進むにつれ受付嬢さんの顔色が青くなっていく。


話が終わると受付嬢さんは大慌てで裏に引っ込んでいった。

「ハハ!案の定だね!」

「あー…この後絶対面倒でしょ」

「まぁ仕方ありませんわ」

「えー!?」

疲労が溜まっている状態

彼女たちの気持ちもわかる

隣の夜天羅もちょっとお疲れ気味だ


すぐにギルド職員がやってきて俺たち全員が

別室に案内された、中は広く部屋の中央に

大きなテーブルと人数分の椅子

普段は会議なんかで使っているのだろう。

俺たちは適当に雑談しながら座って待つ。


待つ事数十分、ドアがノックされ開かれた

現れたのは二人のギルド職員。

若い女性の秘書と威厳ある中年の男性

その二人はテーブルを挟み俺たちと向かい合う

「お初にお目にかかります

 私は取締役のマクスウェル・ボーンだ」

「秘書のリコッタ・ウェイブです」

綺麗な所作でリコッタは頭を下げる

こちらも立ち上がり挨拶を交わす。


「まさか!この都市のギルドのボスが来てくれるなんてね!」

ウルが予想していた支部長ではなく更にその上

確か…ギルドを運営する五人の取締役。

その中の一人が目の前にいる。

「…今回、我々ギルドの不手際でご迷惑をお掛けした、謝罪する。」

「ハハ!僕たちは大丈夫さ!何故こうなったのか察しはつくしね!」


先ほどの待ち時間でウルが話していた事。

何故もう一体のネフィリムを見逃したのか?

答えは肉種を植えられ犠牲になった

調査員が操られ虚偽の報告をさせられていた。

あの二体目のネフィリムは森に長い間

潜伏していた…本来の自分に戻るため何年も、何年も。


「そう言って頂けると救いになります…

 今回の依頼料と保険料など諸々の

 金額になります、お受け取りください。」

マクスウェルさんはリコッタさんへ合図を出すと

布に丁寧に包まれた物をテーブルに置きこちらへ差し出した。

その布を広げ中身が露わになる。


「これは!ハハ!かなりの大金だね!」

「わー!?」

「こんな数のプラチナプレート初めて見ましたわ」

「堕天使とやり合った甲斐があるわね」

中身はプラチナプレート25枚があった。

単純計算で二億五千万…流石に驚愕する。

それはウルたちも同じだった。

隣の夜天羅はフリーズしている。

「…本来なら聖銀に委託する程の依頼を達成されたのです

 感謝の気持ちも込めてお納めください」

「ハハ!有難く頂戴します!」


報酬に文句はない、ウルは了承し差し出された

書類にサインをした。

「では…今回の件は終了となりますが

 何かご質問等はございますか?」

書類を受け取った秘書が俺たちに問う。

依頼はたっぷりと貰えたし言う事は特に無い

それは皆が同じな様子。

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