第四十八録:派閥 二節「元神のソレイユ」
私は自前の飛行魔術でフラウリンへ向かう、聖都市リーリゼルカからは陸路を使えば1週間はかかり空路ではその半分ほどに位置した場所にあり、現在はフラウリンがある近くの森へ向かっていた…空を飛びながら考える。
神について…わたしは今から元とはいえ神に会いに行く、これ自体が稀有な事。
それに…ずっとこの世界に神は一人とそう教えられ歴史もそれを肯定してきた。
根本、人類の根本から覆す様な出来事だ、神代の時代ですら神は一人と言われ続けていた。
神がいた証拠が全て消えていた、では神代の時代とは何か…私たち人類は"神の痕跡"と遺跡から読み解くしかなかった。
高度な文明に今よりも優れた魔法技術、神の御業の他に理由付けができなかった。
他の神については否定も肯定も出来ないがリフロディア様が顕現なされた事でリフロディア様がこの世界を作ったが通説になった。
神が消えたのは人類が罪を犯した罰…と考えられていた。
「…それが全て覆る」
ギルバート聖どうのよりもこちらの方が重大な事案の様に思う、教会から離反者が出てもおかしくない。
「まさか…それに乗じるつもり?」
いや、ありえない。
フラウリンの復興も元神の存在も偶然に過ぎない…それにそんな事をすれば本当に全てを敵に回すことになる、そんな勝算のない事を?
「まさか…あるとでも?」
最悪の事態だ…彼の様な人間に人の世を任せるなどあってはならない、あの日。
城へ無断で訪問した際のギルバート聖の狂気的な目が頭から離れない、その瞳には底知れない邪悪を感じた。
「……おかしいですね、さっきから同じ景色ばかりでフラウリンが見当たらない。」
急な決定とは言えベロニカ様からフラウリンへ連絡がいっているはず…クイーンズガーデンという防御魔法を施していると聞いているがまさか…。
私は一度考え事をやめて空に滞空する。
眼前には見渡す限りの青空と緑の絨毯、木々が風に吹かれてザァザァと擦れる音が聞こえる。
「仕方がないですね…」
私は滞空したまま杖を構えて魔法を発動する準備をに整えていた。
「アナライズ・パーティカル」
周りに術式を付与した魔力を辺り一体に散布した、付与した魔法効果それは相殺と特定。
魔法付与をした私の魔力がほか術式に触れた瞬間に解析し打ち消しさらに魔力の発生源の特定。
「!?…私の魔法と拮抗している?」
アナライズ・パーティカル、私に魔力がある限り他の術式を相殺し続ける…その結果、相手の術式を食らい尽くす。
普通の術式からもう相殺し終えている、だが今回の相手は並のじゃない。
相殺した端から術式が復活、私の魔法に対抗している。
「まずいわね」
ただでさえアナライズ・パーティカルは魔力の消耗が激しい、このままでは私の魔力が先に尽きてしまう。
「…まぁ、特定は済んだわ」
まさかこの魔法を本来の用途である特定を使用するなんて…
私は魔法の使用をやめて再び飛行を開始、フラウリンに向かう為、背後を振り向く。
「!!?」
上空、私と同じ高度…数十メートル先に誰かがいた、蛇の様な尾を携えた女性。
「…あれが話に聞く元神。」
そう確信する、見たことも聞いたこともない種族の人族、理由としては十分だろう。
私は警戒しつつその人物へ近づく。
「貴女がフラウリンの代表────」
「ソレイユよ。アルメリア、貴女を試す様な真似をしてごめんなさいね」




