第四十七録:準備運動 四節「再出発の為に」
「過激派の連中…あのギルバート教皇の手下たちを中心に"神の痕跡"で武装ですか。」
「こ、こんな情報をどうやって!?本拠地に乗り込むぐらいしないと無理ですよ!?」
バンッとテーブル叩き勢いよく立ち上がるハミルトン…その顔には少しの怒りが見える、彼女は情報のプロだこの情報を得る為にどうすればいいか安易に想像がつく。
ハミルトンはこう言いたいのだろう、この情報を得る為ノ代償は"何か"と。
「安心してください、この情報を取ってきたロッカは元気ですよ」
「単騎で敵の本拠地に乗り込んでですか!?」
「えぇ、彼の能力ならそれが可能です。」
「……まぁ使うしかないでしょうね」
「な、なにを?」
「ロッカの特異能力"シャドウマン"です、平たく言えば自身の分身を一人作り出せます」
「は、はい!?」
もちろんそんな強力な能力には弱点もある、本人と見分けがつかないほどの分身を作り操ることができるその弱点…それは鏡写しになる事に加えて分身元と許容範囲を超えて相違があれば能力が解けてしまう、故に極端に物理攻撃に弱い。
「ロッカの能力は教会にはバレたのですか?」
「そこは間一髪バレてませんが警戒はされています」
だろうな…能力がわからずとも近衛騎士に情報が渡ったわけだからな。
「これは確かに関係していると見ていいでしょうね…それもかなり深く。」
大量の"神の痕跡"の武装をするなんて量産でもしない限り無理だ、それを惜しみなく提供となれば…金だけの関係ではないなんらかの協力関係の方が可能性として大きい。
「わわっ!!」
ボウッ!最後まで書類に目を通すと"焚刑書"は灰すら残さず綺麗さっぱり跡形もなく消える。
「…特定を急ぐ必要がありますね」
教会も私たちと同じく戦力を整え始めている…しかし不気味だいくら強力な武器を用意した所で私たち近衛騎士全員では何のアドバンテージにもならない。
ギルバート教皇側もそれはわかっているはずだ…となればこの"神の痕跡"に何かあるな。
「ちょっ、ちょっと待ってくださいね!今、頭の中を必死に整理しているので!!」
一気に色々な情報を頭に入ったハミルトンは目を閉じて唸りながら考え込む。
「う、う〜ん…あ、あれ?もしかして私が言った冗談が冗談じゃなくなる…?」
「そうなりますね、これだけ神の痕跡に精通したやつがバックにいるとなればヤテンラさんから魔王ノ宿木を奪える何かを得ていても不思議じゃありません」
「…野心があり力を求めるなら魔王ノ宿木に目をつけるのは必然ですね…」
ゴルドーも真剣に受け止める、この反応を見るにロッカの情報を得て考えはしていた様子。
「…ダメ元で聞きますが降魔礼讃の情報はなにかありませんか?」
「ロッカも並行して調べてはいたみたいですが…」
左右に首を振るゴルドー…何か情報があればと思ったがよほど隠れるのがうまいらしい。
「そうですか…私たちも少しやり方を変えようかと思います。」
「と、いいますと?」
「遺跡はダメでしたからね…ギルドの依頼で怪しいものをピックアップしてそこへ向かいます」
ヨリツグさんは偶然だが降魔礼讃と接触した、私もそれに倣う事にする。
考えが正しければヨリツグさんが倒した悪魔はなんらかの実地実験だろう。
悪魔でも人でもいい尻尾さえ掴めばあとは私の能力でどうにでもなる。
だからギルドと言う情報の宝庫に頼る、デメリットは情報の精査に莫大な時間を要する事が挙げられる…しばらくはアルカラドに缶詰だな。
「なるほど…増員ができない事が悔やまれます」
「ハミルトンがいますし大丈夫ですよ」
私はそう言ってハミルトンの方へ視線を向けた、本人は驚いたような顔をしていた。
「わ、私ですか…いや、このアヤ・ハミルトンにお任せください!!」
自分を鼓舞する様にいつも通りに胸を張り自信に満ち溢れた顔をする。
「ふふ、期待していますよ。」
「……では、私はこれで失礼します!ザディルさんハミルトンさん引き続きよろしくお願いします!」
「あぁ、任せてください」
爽やかな笑みをこちらへ向けてゴルドーは席を立ち去っていく。




