第四十七録:準備運動 三節「調書」
───2日が経った日、アルカラドの軍事施設の一室で私とハミルトンは偽騎士たちの魔術尋問の調書を確認していた。
「……はぁ…まさか本当の本当に教会の仕業だなんて」
ハミルトンは結果を見るまでは半信半疑だった…疑いようのない事実をなんとか飲み込もうとしている。
「いやね?ザディルさん、私だってそんな敬虔な信徒なわけではありませんよ?でも…」
「…ショックですか?」
「う〜ん…感情的には失望の方が近いかもしれません。」
やはり…教会の清廉で真摯なイメージは非常に強固だ、一般人であったハミルトンならなおさらだろう。
「それにしてもこんな聖痕を軽々しく乱用してますけど…迂闊すぎません?」
調書を目にしたハミルトンの疑問、暗部の者が用いる教会の魔法。
本来ならこうして見つかること事態が大問題、それが一度ならず二度もだ。
コン…コン、扉の方からノックの音が聞こえてくる、そしてすぐに扉の向こうの主はこちらへ声をかけてきた。
「ザディルさん!失礼しますよ!」
「おや!ゴルドー君か!どうぞ」
「ゴ、ゴゴ、ゴルドー・アルレッド!?」
予想外な人物の登場に焦るハミルトンだがそんな事はつゆ知らず扉を開けて入ってくるゴルドー。
「私はゴルドー・アルレッドです、貴女がアヤ・ハミルトンですか!ご協力感謝いたします!」
焦り固まっていたハミルトンへ近づき自己紹介と感謝を告げた。
「あ、あっハイ、よろしくお願いします…」
緊張感が拭えぬなか席を立ち返事をする、私も今ここにゴルドーがいる事に少し驚いている。
「ゴルドー君はどうしてアルカラドへ?」
「私も魔剣を取り出しに来たんです!」
「ま、魔剣?」
私より早く反応したのはハミルトンだった。
…ゴルドーが迂闊にハミルトンの前で魔剣の名前を出すわけがない…隠す必要がなくなったと解釈していいだろう。
「簡単に言えば私たち近衛騎士の専用武器ですよ」
私はハミルトンへとりあえずの説明をした、簡単な概要だけだったが今は納得してくれた。
「なるほど…城には今誰が?」
「ゼルナさんとレフレス、ライレスが国王様と城の護衛を担当しています。」
カルミール兄弟か…現状一番手が空いているのは確かにこの二人だ。
「ではゴルドー君はこのまますぐに城へ?」
「はい!ですが帰る前にお二人と話をしたくて来ました!」
ゴルドーは自身が私たち二人を訪ねた理由を話し空いていた席に腰を下ろした。
「これから始める話は他言無用でお願いします…記録も残さないでください」
彼方ノ鏡あるにも関わらず盗聴を危惧して私たちへ直接会ってまでする話か…あまりいい話とは思えない、なんとも言えない緊張感が私とハミルトンを襲う。
「…ザディルさんたちが追っている組織と教会が何らかの形で関係している可能性が出て来ました」
「なっ!?」
「……判明していることは?」
…考えうる中で最悪の協力関係だろう。
これは本格的にハミルトンの言っていた"冗談"が現実味を帯びて来た。
「ロッカが情報を掴んでくれました、これがその"焚刑書"です。」
「あの子は本当に優秀ですね」
後進の育成が順調で嬉しさを感じつつ報告書である"焚刑書"を受け取る…こんな厳重な報告書まで用意するなんてな。
私とハミルトンは"焚刑書"を受け取り中身を確認する、その内容。




