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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第四十七録:準備運動 一節「煙の中で」

──「いやぁ…無事に着きましたね!」

私とハミルトンは4日の旅を終えて軍事都市アルカラドへ到着した。

今は国の軍事施設内で解錠屋でプロテクト"蜘蛛ノ巣"の解錠中、私たちはその間の待ちの時間になる。

「解錠ってそんな掛かるものなんですか?」

「今回の物は非常に複雑です、数時間…下手をすれば1日掛かるかもしれません。」


「やや!それはそれは!」

プロテクトの厄介なとこだ解錠する際に気をつけなければいけないのがプロテクトを強引に解錠すれば廃人になってしまう事だ。

それが"蜘蛛ノ巣"となれば厄介極まりない。

「…少し時間ができましたね、自由に行動してもらっても大丈夫ですよ」

「やや!それは嬉しいです!じゃあ私はお風呂にでも行ってきます!」


そう言ってハミルトンは走り去っていく、一人になった私は喫煙所に向かいタバコを燻らす。

「…お久しぶりです」

私に声をかけてきたのは同じ近衛騎士のリブラー・ロードルだった。

「リブラー、久方ぶりです」

私の隣に座りリブラーもタバコを取り出して吸い始める、白煙を吐き私に再び会話をする。

「…さっきの子は?」

「あの子は"厳命の綴り"の協力者アヤ・ハミルトンです」


「…例の件ですか。」

「えぇ、少し進捗が芳しくなくて"魔剣"を取りに来ました」

「…そんなに危険な組織なんですか」

「恐らくは、何せ"神の痕跡"を製造している可能性が高いですからね」

「…それは、なんと」

「リブラーはどうしてアルカラドに?確か異邦者の教育係では?」

「…訓練の一環で今はこちらに、と言うのは建前で教会から異邦者への接近を防ぐためです」


「ディープホワイトの件ですか…」

「…はい、ザディルさんも教会絡みに巻き込まれたそうですね」

事前にハミルトンがまとめて送ってくれていた報告書のおかげで今回の件は近衛騎士全員に周知済みだ。

「どう思います?」

「…前例がありますからほぼ確定でいいと思います。」

「そうか…すでにやらかしていましたね」

「…あの件、もちろん教会は否定してますよ」


リブラーは頭をかきながら白煙と共にため息を吐く、ほんと教会にというより過激派に関わると厄介な問題ばかりだ。

「…今、城にはゴルドーとゼルナさんの担当の異邦者が残っている程度で後は他都市に散り散りで訓練をしています。」

「なら国王様と城は大丈夫ですね」

ゴルドーとゼルナさんがいる、それだけで城は難攻不落の要塞と化す。


「…あとこれは暗黙の了解になっていますが"魔剣"の常時携帯が許可されてます。」

リブラーは小声で私に耳打ちをする、なるほど…ゴルドーからすぐに許可が下りたわけだ。

「有事…ってことですか」

「…そうなります。」

水面下ではかなり綱渡りな状態になっている、冷戦に近い状態と言ってもいい。


そこで会話は終わり互いに静かにタバコを吸う、ジリジリと減りゆくタバコの寿命と空に舞う雲の様に滞留する白煙。

私もリブラーもそれをぼーと眺める、ある種の心地の良い静かな空間。

仲間がいる事で心が休まるのを感じる。

私もリブラーもタバコを吸う本数が増えている、忙しさの中で手を伸ばす回数が多くなっている…普段は嗜む程度だと言うのに。

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