第四十五録:達成 四節「不可解」
ザディルさんは偽騎士に聞こえない様に小声に俺に耳打ちをする。
「…今回の件、教会絡みの可能性が高いです。」
「!!」
その言葉に一気に緊張感が増す、本人たちはやってないと訴え…それにこの異常な動揺。
まさか…!
「聖痕ですか?」
「…断定はできませんが催眠か幻術系統の魔術を使用された形跡があります」
なるほどな…ある意味コイツらも被害者ではあるのか…教会の奴らはこんな惨いこと他人にやらせたのか、いくら小悪党とはいえ同情する。
「で、依頼の報酬としてこのドミネーター?いやはやよくこんな怪しい依頼を受けましたねぇ」
ハミルトンはドミネーターを手持ち尋問を継続している、俺とザディルさんが内密に話をしている間に尋問は進んでいた様でコイツらの依頼の詳細がわかった。
闇の依頼…いわば違法な依頼を請け負ったらしい、内容はこの遺跡で騎士の格好をして合図があるまで待機ということらしい。
破格の報酬に飛びついたこの偽騎士たちはニ週間もの間この遺跡の奥の方で生活をしていた。
「こ、こんな人皮なんかいらねぇからよぉ!」
四人の近くには血の滲む袋が置かれていた…ジェンドゥルから剥ぎ取った皮か…
…目的がわからない、なぜジェンドゥルの人皮を奪ったのか?
そもそも、コイツらの受けた依頼は俺たちが受けた依頼を誰かが受ける前提だ。
誰かがジェンドゥルを倒した後に横取りをするために仕組まれたのが偽騎士たち。
…ダンダリンさんの依頼の詳細を知っていなければ出来ないことだろう、そんな事ができる組織は限られている。
候補として真っ先に上がるのが教会だ…ただ人皮を求める理由は不明。
「不運な事に本来なら騎士団に紛れて確保した後に魔術が発動するはずだったんでしょうが…運悪く条件を満たしてしまったようですねぇ」
カリカリと手帳にペンを走らせながら答えるハミルトンは書きながら情報を整理していた。
「して…こやつらはどうするんじゃ?」
「…あまりにも不明な事が多いですし捕まえていないと恐らく暗殺されてしまうでしょう、引き続き私たちがこのまま対応しましょう。」
そう言ってザディルさんは空に向かい合図を送る。
「教会が絡んでいるのならお二人は早急に離れた方が良い。」
「後の事はこのアヤ・ハミルトンとザディル・ロールシャッハにお任せください!」
胸を張って自信満々な顔で答えるハミルトンだがザディルさんは変わらぬ様子。
「わかりました、ありがとうございます。」
「うむ!こんな別れ方ですまんのう!」
俺は二人に感謝を告げてハミルトンからはドミネーターを受け取った。
「ヨリツグ!ヤテンラ!レーヴァテイン来るよ!」
ドロシーが呼んでくれたレーヴァテインが到着、俺たちはすぐさま乗り込みその場を後にした。
上空に上がり速度を上げてゆく。
「むぅ…せっかく再開できたのにのう」
「まぁ教会絡みとなれば仕方がないさ」
夜天羅の気持ちはわかる、知り合いと会えたのにも関わらずゆっくりと話す暇もなく、慌ただしく別れる事になってしまうのはもどかしいものがあるだろう。
「しっかし…教会の奴らは惨い事をするのう」
「だな…改めて教会の異様さが理解できたよ」
自分たちは清廉潔白なツラして裏では他人にあんなことをやらせる様な暗躍。
過激派の連中だけだろうとは思いたいが…それにして今回は霜田の件より何倍もタチが悪い。
平気で人を殺す様な連中と再認識、これからはさらに教会を警戒しなければならない。




