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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第四十五録:達成 二節「朽ちた博物館」

「話がそれましたね…漂流物がある場所に案内しますよ、ヨリツグさんヤテンラさん」

「…ありがたいですが、二人の任務は?」

「大丈夫ですよ、もう終わりました」

…まだここにきて間もないのに終わったのか?あまり詮索はしないが…気にはなるな。

俺たちはザディルさんの案内の元歩き進んでいく、するとある場所に到着した。


「……博物館?」

「ですね、中が無事だとよいのですが…」

正面扉のに絡まる蔦や草などをナイフで切っていく、ドアに手をかけて引くと錆びついた金属が軋みをあげ甲高い擦れた音が鳴る。

開けた先の博物館のエントランスは長い時の中で溜まった埃が風で舞う。

「ケホッ!やや、埃がすんごいですね〜」

ハミルトンはハンカチで鼻や口を覆うながら左手で舞う誇りを払う。


「…進もうかのう」

俺たちは暗い室内を入っていく、ザディルさんが魔術を使い右手に光の玉を出して辺りを照らす、内装は本当に地球の博物館の様だ。

かなり劣化はしているが今すぐに崩れてしまう感じはしない。

「保管庫はこっちです」

まるで…内部を熟知している様にさも当たり前の様に進んでゆくザディルさん。

あの…手で触れた事に意味があるのだろうか?手で遺跡に触れた瞬間にジェンドゥルの居場所を看破した…特殊な力だろう。


裏方、バックヤードを通り保管庫を目指す。

「すごいのう…こんなに放置されとるのに案外と物は残ってるもんじゃ」

辺りを見渡す夜天羅が感心する様に呟く、確かに…外見はボロボロだけど中のものの保存状態は悪くはない外見と比べてだが。

先頭のザディルさんはとある一室その引き戸に手を掛けて開け放つ。


「ここが保管室…それも漂流物専用のです」

「ありがとうございます」

「助かるのじゃ!」

「ザディル!ザディル!ありがとう!」

俺たちは感謝を伝えて保管室の中を物色する。

ほとんどの物品が日本のものだ、たまに海外の物も混じっているが…全体の2割ほどだろう。


「ヤテンラ!ヨリツグ!これ!」

ドロシーが両手で掲げて持ってきたのは…古い黒漆塗りの小さな箱、ちょうどタバコの箱ぐらいのサイズ感。

「ありがとうのう、んーどれどれ…」

夜天羅がしゃがんでドロシーから箱を受け取った、俺も同じ様にしゃがみ箱を見る。

「当たりじゃ!」

箱の裏面を見た夜天羅が声をあげた…そう裏面には覡家の家紋が彫刻されていた。


「でかしたドロシー」

「やった!ドロシー!お手柄!!」

ドロシーの目線の高さにこれがあったという事は俺たちだけならこの箱を見つけるのに時間が掛かっただろう。

「はて…今回はなんじゃろ?」

夜天羅が箱を開けたその中には…針が数本入っていた。


「これは…縫い針か?」

「じゃな、簡易的な針箱のようじゃ」

針箱…現代的に言えばソーイングセットだろう、見る限り状態は悪くない錆びなく曲がったりもしていない。

「来空のやつめ…世話焼きなやつじゃ」

夜天羅がボソッと呟く…それには少しの照れ臭さを誤魔化す様に吐き捨てた言葉。


「見つかったようですね、よかったです」

反対側の捜索をしてくれていたザディルさんとハミルトンが俺たちの元へやってきた。

「はい、ありがとうございました」


「わしらの用事が終わったのじゃが…お主らの用はよいのか?」

「えぇ…私どもの用事も終わりました。」

「じゃあ!ここにはもう用事はありませんねぇ〜お暇しましょう!」

ハミルトンの一言に全員が賛同、廃博物館を後にして外へ出る。

埃の舞う室内から澄んだ空気の屋外は心地良いものだった…その時、俺は違和感を覚える。

静かすぎる。


「…やつの声が消えたのじゃ?…それに人の気配が増えたのう」

そうだジェンドゥルの叫び声が聞こえてこないさらに人の気配が増えた、俺はジェンドゥルが落ちた地下室の方へ視線を向ける。

夜天羅の言う通り人が何人かおり調べている、鎧を着た人物に怪しさを感じたが鎧の紋章を見て警戒が少し解ける。

「…騎士団?」

にしては到着が早過ぎる、オーザンガールからでも2日は掛かる場所だ…騎士団を装った集団の可能性すらある。

「あれは───」


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