第四十四録:死の進軍 二節「ネクロマンサー」
「動きはないですね…いや死体が動き始めましたか」
夜天羅の狙撃の後、死体がワラワラとビルへ向かっていく…襲撃を察して内部の守りを固め始めた、外には三分の一が残った。
「…あの数なら私がここから処理しましょう」
そう言ってザディルさんは右手を振ると虚空から3本の剣が現れた…一目見てわかる。
その剣のどれもが業物だと。
「あの程度ならこれで十分ですね」
ザディルさんはまるで指揮者の様に右手を前方に振るうと剣が猛スピードで死体に襲いかかる、まるで訓練された猟犬だ。
数分も経たぬうちに外の死体が片付けられる。
「やや!次は私の出番です!じゃじゃん!このハミルトンスペシャルをお見舞いしてやりますよ!!」
ガサゴソと取り出したのは…ダイナマイトだった、コイツマジか。
「はや!?」
逃げ足が速いと自負するだけのことはある、ハミルトンは姿を消して気づいた時にはもうビルの近くまでいた。
「仕掛けてきましたよ!」
「伏せてください」
「はい!?」
言われるまま反射的に伏せるすると…夜天羅が放った弓矢とは比べ物にならないほどにならないほどの轟音が響き渡り凄まじい爆風が撒き越され瓦礫が飛び交う。
「フゥー!!全部吹き飛ばしてやりましたよ!」
「お前まじか」
んにゃん!!にゃにゃん!!シャー!!
あまりの事態にコイスケも怒っていた。
ハミルトンがザディルさんと対面した時の怯えようが理解できた…絶対に過去なんらかのやらかしてる。
本当にコイツのことを野放しでいいのかと頭によぎる。
「…どうやらここからが本番の様ですね」
ザディルさんは慣れているのか前方の爆心地に視線を向けた俺もつられて見てみる。
「なんだ?岩…違うな、鱗…か?」
爆心地の中心には囲う様にして重なり半球状態になっている場所がある。
「あれは…ドラゴンです、それもドラゴンの中でも最高硬度を誇る"サウザンドメイル"」
「…の次第ですか?」
「ですね…生きていれば到底従わせられないです」
…あれがザッカルの奥の手ってやつだろうか?
あんな物がいれば一級にも上がれるはずだ、現に高威力の爆発にも関わらず傷一つ付いていない、死してなおその堅牢さは健在か。
「あっ!ザディルさん!ヨリツグさん動きましたよ!」
のそりと…動き始めたドラゴン、その丸まっていた下には地下への扉があった。
バンッ!と勢いよく開いた、中から出てきた男、細身で杖を手にしたおり上半身は裸でびっしりと刺青が彫られている、あれが…ジェンドゥルか。
「クソガァァァァァアァァァアァ!!!俺の!俺様の兵隊をッ!ァァ!?イラつく!!」
出てくるなり激昂し腹の底からの怒りと憎悪を撒き散らす、あまりにも隙だらけ…だがドラゴンの方はそうではない隙がない。
俺たちが姿を現せばすぐさま襲いかかってくるだろう。
「姿を現せ!!卑怯者どもがぁッ!!それとも怖くて出てこれねぇのかよ!!!えぇオイ!!」
好き勝手に言っているが…俺たちからすれば全部ブーメランだろとしかならない。
「あそこまで言うならねぇ?」
「…お望み通り姿を表してあげましょうか」
俺とザディルさんは建物の影から姿を出した、ジェンドゥルとの距離は約500メートルはある。
「お前らがッ!!騎士ザディル!!」
「お久しぶりですね、4年前の騎士団とギルドの合同任務以来ですか…一級から盗賊とは堕ちたものです」
ザディルさんの視線は心底冷たく見下ろすものだった…一級ともなれば近衛騎士と多少関わりがあったのか。
「その堕ちたやつにこれから殺されんだよ!!安心しろよ死体は有効活用してやるからなァッ!!!」
「無理だろ」
「ッ!?」
ジェンドゥルがザディルさんに集中している隙に俺が高速で近づき顔面をぶん殴ろうとした。
「やっぱりだめか」
すぐさまドラゴンの横槍が入り攻撃を阻止されてしまう…だがこれでわかった事がある。
ジェンドゥル俺の動きについていけはしない、つまりはドラゴンさえどうにかできればあとは簡単にカタがつく。




