第四十三録:想いを胸に 五節「偶然の」
俺たちは約2日掛けて遺跡"極楽都市ファーネイル"へやったきた…今まだレーヴァテインに乗り上空へ滞空している。
「下の遺跡の何処かにいるのう」
「やっぱり一人?」
「うむ!死体がどれだけいるかわからんから注意するんじゃよ?」
「あぁ、まかせろ」
「じゃあ…夜天羅、事前の作戦通りで頼む」
「うむ任せるのじゃ」
俺とコイスケはレーヴァテインから飛び降り夜天羅とドロシーは残り雲に紛れて隠れる。
落下し続けると都市全体がはっきりと見えてきた、廃墟だな…事前に帰る途中と言ったところだろうな。
その廃墟の中でも一番高いビルに着地した。
「さて…何処にいるかな?」
不気味なほどに静まり返った遺跡…動物や魔物の気配が感じられない。
ジェンドゥルの影響だと言うのだろうか?
「…気が付いているだろうな」
これだけ派手に登場してやったんだザッカルはすでに俺と言う侵入者に気づいてるはずだ。
静観するはずがない、何かしらのアクションは起こしてくるはずだ。
「やりやすい様にしてやるか…」
俺はビルから飛び降り地面へと降り立つ、辺りを見渡す街並みはディープホワイトみたいに白一色でないが地球の近代都市みたいな感じだ。
「人類滅亡したらこんな感じだろうな」
そう思わせるほどの終末感、まるで映画のセットみたいだ…コイスケと共に捜索を続ける。
しばらく歩いているものの気配…いや物音すら無い、異様な事態だ。
「…ここまで反応がないものか?」
わざわざ三等級を指定するくらいだ格下を狩りたいという魂胆はわかる。
もしかして自身の兵である死体を減らされたくないから逃げに徹しているのか?
考えを巡らしていると彼方ノ鏡から反応がある、手に取ると夜天羅からだった。
[お前様!人の反応が増えおったのじゃ!]
「人が増えた?」
ジェンドゥルの仲間がいたのか?それとも別の誰かが来たのか…今の状態では判別がつかない。
「…接触してみるか」
[気を付けての!そこから東側辺りにおる。わしにはお前様が何処におるか把握できるから援護はまかせるのじゃ!]
「助かる」
通信を終えて俺は走り出す。
この際ジェンドゥルの手下でも他の冒険者でもどちらでもいい、この状況を動かすキッカケが欲しい…さて何が出るか。
夜天羅が指定した東側に入った…確かに気配がするが唯ならぬ雰囲気だ。
「これは…油断すると駄目だな」
刀を手に取り抜刀する、明らかな強者の気配を感じる…警戒心が上がり警鐘を鳴らす。
慎重に歩みを進めていく、出会い頭に…なんて事があれば最悪だ。
にゃん!!
「っ!上!?」
刀を振るう、火花が散る剣と刀のぶつかり合い…だが軽い人が振るっていると思えない。
「…剣だけ!?」
空中に剣が浮かび襲ってきた十中八九は魔術の類いだとわかる、通りで軽いはずだ。
「そこっ!!」
背後から気配がして振り向き刀を振る、今度は力の乗った重い一撃。
あの一瞬で魔術で操った剣では勝てないと踏んで本体が攻撃を仕掛けてきたか!!
現れた眼前の相手を見据える、それは──
「ザディルさん!?」
「これは!?ヨリツグさん!?」
鍔迫り合いをしていた相手はなんと近衛騎士であるザディル・ロールシャッハさんだった。
「あやや!これはなんと!!」
「ハミルトンまで!?」
建物の影から飛び出してきたのは記者のアヤ・ハミルトンだった。
状況に思考が追いつかないがとりあえず俺とザディルさんは互いに武器を収めた。
「ど、どうして二人がここに?」
「それは…私も同じです」
互いに思う事は同じだ、どうしてここに?だ。
確か…ザディルさんとハミルトンは"厳命の綴り"の任務を…そうかここが関係あるのか?
「俺たちはギルド依頼でここに来ました」
「…そうか、依頼ですか」
「ザディルさんたちはやっぱり?」
「ご想像通りです」
予想通り"厳命の綴り"の関係でいる様だ、しかし奇遇すぎるな…ザディルさんならあの気配も納得がいく。
彼方ノ鏡を取り出して夜天羅へ連絡。
「夜天羅?」
[お前様!どうしたんじゃ?なにか問題が?]
「いや…むしろ幸運かな、夜天羅が捉えた二人はザディルさんとハミルトンだった」
[なんと!?そんな偶然もあるもんじゃの〜]
「だから俺といる二人は大丈夫だからな」
[了解じゃ!]
俺は夜天羅との連絡を終えた…知らせておかないと混乱するしな。




