第四十三録:想いを胸に 二節「違和感」
…翌日、混雑を避けて昼食後にギルドへやってきた、忙しかった午前が終わり暇をしている見覚えのある獣人の受付嬢さんに声をかけた。
「お久しぶりです、ルリアさん」
「にゃにゃ!ヨリツグさんにヤテンラさんではありませんか!お久しぶりですにゃ!」
この街でヤマネコ亭を紹介してくれたり何かとお世話になった人だ、獣人であるルリアさんは黄色の綺麗な尻尾をゆらゆらと揺らしていた。
「今日はご依頼を受けにですかにゃ?」
「はい、遺跡に関する依頼があればと」
俺はソレイユさんから聞いた名前をあげてゆく、ロッドロック、ファーネイル、アキレウサス、幻林星…とこの五つに関する依頼がないかを調べてもらう。
「六大都市遺跡ですにゃ!少々お待ちをにゃ」
ディープホワイトを含めてそう呼ばれているのか…神代遺跡になぜ日本の漂流物があるかはソレイユさんでもよくわからないらしい。
本人曰く"興味がなかったしその時代は地球へはけんされてからね"との事だった。
「依頼あるかのう?」
依頼があればお金を稼ぎつつ俺たちの目的も果たせる、一石二鳥ってやつだ。
「ありますにゃよ!」
ルリアさんの本をめくる手が止まりこちらへ見やすいように本を差し出してくれた。
「これはオーザンガールから一番近いファーネイル遺跡の依頼にゃ!」
「…探し物とはのう、等級は三等級じゃ」
依頼者はイージス・ダンタリン、この街で商人をしている…そんな遺跡とは程遠い彼が依頼を出した理由が詳しく記されている。
商人の彼は馬車で荷を引いていた際に運悪く野党に襲われてしまい護衛とともに逃げつつ牽制していたが野党がしつこく追っ手を巻くために仕方がなく近くにあった遺跡へ入りその際に大切な家宝のペンダントを無くしてしまった…ということらしい。
「……探し物だけでこんな高報酬なのか?」
気になる点は他の三等級依頼と違い依頼料が高く設定されている、それほど大切な家宝なんだろう…だがルリアさんの顔は渋い。
「うーん…紹介して言うのもにゃんですがこれもわけありですにゃ」
「高報酬の理由かの?」
「ですにゃ…盗賊団スペリオルの縄張りになってしまったにゃ」
「そんなに厄介な奴らなのか?」
「下っ端はそうでもないですにゃ!問題は頭目の
ジェンドゥルは元一等級ですにゃ!!」
なるほど、そう簡単に潰れない戦力はあるわけかしかし…新たな問題が出てきた。
「……これここにその家宝あります?」
「にゃー…それに関しては確実にあると依頼主が明言しているにゃ、詳しいことは依頼を受けてくれた人にだけ話す…と聞いてますにゃ」
恐らく…この条件も残っている要因だろう、まぁ…俺たちはこの場所に依頼に関係なく用事がある。
それに…この情報がない状態で行かずに済んだと思えば収穫だ。
「ですが!依頼主様から冒険者へ"これ"を提示してくれとお願いされてますにゃ」
そう言ってルリアさんは席を外し奥に消えてゆく…がすぐに戻ってくる、その手には手枷?のような物がトレーに乗せて受付へ戻ってきた。
「これは?」
見た目はそのまま昔の手枷だ…鉄でできた無骨で冷たい…片側にヒンジがついており開いて手をはめ込む方式のものだった。
「これは魔道具"ドミネーター"と言って物凄く高価な魔道具ですにゃ!」
「ほー…こんな手枷がのう」
「高い!大事なもの?」
夜天羅とドロシーがマジマジと手枷を眺める、見てくれは高そうには見えないただの鉄の塊。
「にゃー!これは重罪人にのみ使用される手枷でこれにより魔術の使用をできなくしますにゃ!ちなみにお値段はプラチナプレート300枚にゃ!」
「!?」
値段を聞いた俺たちの視線は"ドミネーター"へ向けられた、夜天羅は無言でドロシー抱えて触らないように抱き上げた。
高い…あまりにも高い、個人で出していい値段じゃない…それだけ本気という事だろう。
「もちろん!動作確認はもちろん様々なチェックをしていますので安心してくださいにゃ!」
「受けるかの?」
「せっかくだしな」
「では…受諾しますにゃ!」
ルリアさんはポンと書類にサインをして後ろの事務方の人へ手渡してゆく。
「ありがとうございますにゃ!こちらが依頼主の住所になりますにゃ、先ほどお伝えした詳しい内容は直接お聞きくださいにゃ!」
「わかりました、ありがとうございます」
「ありがとうなんじゃ!またの〜」
俺たちはルリアさんに別れを告げギルドを後にして街へ繰り出す。




