第四十三録:想いを胸に 一節「またいつか」
「じゃあ俺たちは行きますね」
「ソレイユどのもトリーナたちも達者でのう!」
俺たちがフラウリンを離れる時間が来た、見送りにはソレイユさん、トリーナさんたち、マルスさんに一二三さんが来てくれる。
もちろんルシェーラもいる…が、ドロシーと抱き合って別れを惜しんでいた。
「また会おうね〜!」
「うんドロシー!ルシェーラ!約束!」
微笑ましくも思うが引き離してしまう事に心を痛めてしまう、夜天羅も同じ気持ちだろう。
「まぁ、彼方ノ鏡があるんだし気軽に話すと良いわよ」
ソレイユさんはしゃがんで二人の頭をくしゃくしゃと撫でてあげる。
まさかだがソレイユさんは昨日使った彼方ノ鏡をそのまま俺たちにくれた。
「さてと、二人とも気をつけてね何かあったら連絡ちょうだい駆けつけるわ」
「が、頑張ってね!」
「会えたらまた」
「よい経験でした、またお会いましょう」
「本当に…ありがとね〜二人のおかげで私たちは居場所を見つけられたわ〜」
トリーナさんが言う居場所…か。
きっと…オーザンガールでの生活に不満はなかったんだろうでも自分たちがここに住みたいと思える場所がここ。
「ならよかったです。」
「うむ!」
「お二人ともまた会おうだす、機会があれば八重ノ島にも来てくれると嬉しいだす!」
「あぁ、必ずじゃ!」
一二三さんと夜天羅は固く握手をする。
八重ノ島か…刀の事もあるし行きたい気持ちはあるがいかんせん先の状況が読めない中優先は遺跡の探索だ、それさえ教会の動き次第ではすぐに"異界の門"へ行かねばならない。
惜しみながら別れの挨拶をして俺たちはレーヴァテインへ乗り込むハンドルを握りアクセルを回す、ゆっくりと浮遊していく。
徐々にその高度を上げていき離れてゆくと皆の姿が小さくなる…振られる手だけが強く存在を示していた、名残惜しさを感じるが俺は振り切るようにスピードを出して明るい空の下で風を切るように飛び去る。
───空の旅は1日半で終わりオーザンガールへ到着した、やはり何の邪魔もない空路は早い事この上ない、それから寄り道せずにヤマネコ亭へ着いたのは夕方頃だった。
「マナリアさん、帰りました。」
「帰ったのじゃ〜」
「ただいま!ただいま!」
「お帰りなさい!随分と長い任務でしたね、お疲れ様でした。」
2週間以上ぶりのヤマネコ亭、暖かく出迎えてくれたのは店主のマナリアさんだった。
誰かに出迎えて貰えるってのはやはりいいものだな…マナリアさんの雰囲気が実家のお袋を想起させる。
俺たちはまずは空腹を満たすために席について食事を注文した。
「疲れたな」
「じゃなー…お腹も減ったのじゃ」
机に突っ伏す夜天羅、コイスケは俺の膝へドロシーは夜天羅の膝の上でぐでっとだらけている。
「今日は休んで明日にギルドへ依頼だけ受けに行こうか?」
「そうじゃな〜ギルドの後は街へ繰り出すのじゃ!」
「いいな、じゃあそうしようか」
「楽しみじゃな!」
机から顔をあげて笑う夜天羅、そうして雑談をしているとこちらへやってくる少女がいた。
「お待たせしました!先にスープをお持ちしました、どうぞ!」
マナリアの娘にしてこの店の看板娘サリーが頼んだ料理を持ってきてくれた。
テーブルに並ぶスープからは食欲をそそるいい匂いが立ち上っていた。
「いただきます」
手を合わせて俺たちはスープに手をつけた…あっさりしたスープが優しく身体に染み渡る。
それからは冷めない範囲でゆっくりとスープを飲んでいると頼んでいたメインの料理が到着して俺たちは本格的に食事を楽しんだ。




