第四十二録:国家 五節「再咲のフラウリン」
次の日…ソレイユさん、トリーナさん一行、マルスさん、そして俺と夜天羅は一室に集まる。
八重ノ島組は島に帰ってまだ帰ってきていない、ドロシーとルシュエーラはからわずにコイスケが付いて別室。
昨日とは違いトリーナさんたちは状況を飲み込んでいる。
「さて…みんなフラウリンの状況は理解してくれると思うわ、これからは移住者の具体的な受け入れの日程調整で終わり、あとはフラウリン国内の調査をみんなにお願いしたいわ」
「ちょ、調査?」
「そ、建物やその他諸々に問題がないかの確認ね、三分の一程度は終わっているから残りを手分けしてお願いしたいわ。」
一応…石化で保存されていたとはいえ千年前の建造物だどこか異常があっては困る。
「しかし…どうやって調べるのですか?」
アルケイドさんが質問を投げかける、そうだ…一軒一軒調べるにしては数が膨大だ。
「大丈夫よはいこれ」
ソレイユさんから俺たちへ全員に彼方ノ鏡と巻物が支給された。
「これはクイーンズガーデンの効果範囲を拡張する為の魔法"接木の円環"よ、指定の場所でその巻物に魔力を込めてくれればいいわ」
「了解です」
ソレイユさんの説明の後に俺たちは指定された場所へと移動し彼方ノ鏡で連絡を取り無事に魔法を起動した。
結果、やはり石化で保存されていた様で人がいない事以外はなにも問題なし。
全員が再び城に戻り会議室に集まる。
「みんなありがとうねー助かったわー」
「い、意外に広かった…」
「小さな国とは言え国は国だからね〜」
「移住者の日程だけど1週間後になったわ、一気に人が来るわけじゃなくてまずは5〜6000が来る感じね、移住者の振り分けはすでに済んでいるわ。」
「凄いですね…」
クラシックさんが書類の束に目を通し、感嘆の声を漏らした…これにはそれしか言葉が出ない、書類には移住者がどこに住むかが記されている、抽選式なのは告知済みとはいえ八重ノ島の将軍といいソレイユさんといい仕事が早すぎる。
それにこれだけのすぐに人が集まるのは恐らく将軍の人徳があってのことだろうな。
「……僕から少し報告があります、フラウリンの外にいる部下から報告で怪しい奴がいると…捕まえようとしたねですが残念ながら逃げ足が早く逃したのです、恐らく相手は───」
「教会の奴ですね、狙いは俺と夜天羅」
「ですね…」
ポロン!、弦を強く弾いて高い音が鳴る…表情や言葉は冷静だがハープの音色に怒りを感じる、俺たちの為でもあるんだろうが国王に対して不敬な行いをした怒りが大半だろうな。
「はぁ…めんどくさい奴らねぇ、縁継たちはどうするの?」
「そうですね…そろそろ旅を再開しようかとは思ってます」
教会の奴らが来たとなれば面倒だ、それ以上にフラウリン復興の邪魔になる。
「じゃな、ソレイユどのから聞いた遺跡を巡る予定じゃ」
「じゃあ、オーザンガールに戻るの〜?」
「はい、ヤマネコ亭へ帰ってそれからギルドで依頼を見ようかと思います。」
「いつ出るのですか?」
「急ですけど明日のお昼頃には。」
「寂しくなるね〜」
「そ、そんな魔王ノ宿木?を持ってるだけで狙われるものなの?」
エバーリンデさんから問われる…魔王ノ宿木は教会内部でも極秘も極秘、四人が知らないのも無理はない。
「そうねぇ…人類の仇ってやつだけど肝心な部分がないから触らなければ危なくはないわ」
「ただ…過激派は危ない物にしようとしています」
確かに夜天羅の中の魔王ノ宿木は危険物ではある、しかしこの世界では信管のない爆弾の様な物で信管を取り付ける真似をしなければなにも問題はない。
「あーヨハンナ過激派ね、首魁がギルバートってやつだっけ?」
「清廉潔白で人徳のあるあの!?」
アルケイドさんが驚き声を上げる…名前だけはゴルドーさんから聞いたが世間での印象はかなり良く国民からも好かれはしているらしい…
「び、びっくり!」
「ま、表と裏を器用に使い分けるタイプね…けどフラウリンにはあまり関係ないかな、八重ノ島には仏や観音を敬う人しかいないからね」
「…お気をつけください、教会の連中はそれを否定してくる可能性が高いですし強引な布教にくるかと…」
「大丈夫大丈夫、多分来ないわよ?教会の奴らって魔族を嫌悪するあまりにツノのついた人種への当たりが強いからね、特に過激派。」
教会がゴリゴリの差別してどうすんだよ…魔族をだけ戦争もあったしならまだ百歩譲ってわからなくもないが魔族以外もとはな。
「あとはなにもない?」
ソレイユさんから全員を見る、特に質問なんかはない為俺たちは頷く。
「なら今日は解散ねーありがと」
会議がお開きになり各々が自由に過ごす、マルスさんとソレイユさんは自室へトリーナさん一行は荷物を抱えて国立図書館へ向かった。
まぁ…何をするかは予想はつく。
俺と夜天羅は少し街中へ散歩に出かける、明るく暖かな日差しが心地よい。
「無人の街じゃ…ここにもうすぐ人がくるんじゃのう」
「この状況は今だけの特権だな」
静かすぎる街中、だが来た当初とは違い今ではその印象は変わっている。
寂れて歴史に沈んだ街…それが今は人を待つ希望の街に変わった。
ここがどう変わるか見届けることはできないがより良い未来を願わずにはいられない。
「おっまえ様♫」
夜天羅が俺の左腕に抱きついて腕を絡めて手を握られ俺は夜天羅の手を握り恋人繋ぎをする。
「今回の依頼はすごかったのう」
「あぁ…国一つを救ったなんて親父たちに話したら腰抜かすだろうな」
「ふふ!話す日が楽しみじゃ!」
「……」
夜天羅と目が合う…どちらが先とかではない俺と夜天羅の気持ちがこの瞬間に重なった、同時に顔を近づけ互いに抱きしめ合って口付けをした、左手だけが高く手を結んでいる。
────「はわわ!!」
み、みみみ、み、みちゃった!!!はわわわ!
ミハエラはみんなと図書館にいたがちょっと気分転換になればと外に出たらヨ、ヨリツグとヤ、ヤヤ、ヤテンラが!!ぶちゅーって!!
あまりの出来事に咄嗟に物陰に隠れる…果たしてこれが意味のある行為かはわからない。
ヤテンラの察知能力ならミハエラを捉えているはず……いや、もしかしてあれかな…動物なんかが安心しているとその能力が落ちるみたいな?
「ミハエラー?」
「ぎゃーーー!!!」
後ろから声を掛けられて思わず大声を上げてしまった…振り向くとびっくりした顔のシェマルがいた、ミハエラを探しに来たんだろう。
「な、なによ?どうしたの?」
「な、なな、なん、なんでもない!」
「どうしたのじゃ!?」
「大丈夫ですか?」
「ぎゃーーーー!!?」
私は二度目の叫び声を上げてしまう。
「わた、わたし!も、もどるね!!」
私は図書館の方向へ急いで走り出す、今は二人の顔なんてまともに見れるわけがない!!
───「ど、どうしちゃったの…あの子」
アルケイドさんが困惑している…かく言う俺と夜天羅もだ、叫び声が聞こえたから急いできてみれば光の速さで逃げ出すエバーリンデさん。
取り残された俺たち三人は困惑と混乱で少しの間呆然と立ち尽くすしかなかった。
閲覧ありがとうございます!
長々とお付き合いありがとうございました。
これにてフラウリン編は終了になります、かなりライブ感で執筆をしているので長編になってしまいました。
ちょっと駆け足ですが今年中に終われてよかったです、来年からは新章が始まりますのでよろしくお願いします!!
あっあと明日は余談の投稿になります。




