第四十二録:国家 三節「集合」
───時間は流れてトリーナさんたちがフラウリンへ帰ってきた、城の前まで馬車で入ってくると全員で出迎えた、四人がオーザンガールへ行っている間に増えた一二三さんとマルスさんを紹介するとかなり驚いていた、八重ノ島のクノイチに近衛騎士となれば無理もない。
しかし、一番重要な情報である八重ノ島の住人の移住と首脳会議の結果だ。
あまりにも過密すぎる情報に固まる四人…まぁ、10日離れていただけで国として認められて10万人の移住者が決まっている。
「貴女たちが戻ってきてくれるのを待ってたわ!
さ!忙しくなるわよ〜」
そんな四人を置いてけぼりにしてソレイユさんは自身に気合いを入れていた。
「…………」
パタン…エバーリンデさんが前のめりに倒れた、何の前触れもなくスッとだ。
「ミ、ミハエラ!?」
アルケイドさんが直ぐに駆け寄り体を起こす、完全に気を失っていた…あまりの現実に脳の処理が追いつかなかったらしい。
「あ、あら?大丈夫かしら?」
「とりあえず〜今日は休みます〜」
気を失ったエバーリンデさんをクラシックさん、アルケイドさんが両側から支えて城の中へと入ってゆく。
「さすがに急すぎたかしら?」
「まぁ…そうっすね」
「大丈夫だすかね?」
「大丈夫じゃろ」
「…あの方々は?」
「そう、一緒にフラウリンを救った英雄ってやつよ」
「それはそれは…」
ポロロン…ハープを鳴らしマルスも城へ入っていく、それに続いて俺たちも城へ戻る。
「ドロシー!ミハエラの所に行く!!」
「私も〜」
ドロシーとルシュエーラは一緒に走り出し廊下の角へ消えていった。
「ソレイユさん、わだすは桔梗と一緒に一度八重ノ島へ帰るだす」
「わかったわ〜、あっこれはい」
ソレイユさんは一二三さんへ手のひらサイズの3枚のガラスの板を渡す、あれは…。
「か、彼方ノ鏡!?ここ、こんな高価な物を、わだ、わだすに!?」
彼方ノ鏡と認識した一二三さんはカタカタと手を振るわせる。
「いいのよ、今の技術だと術式の転写が困難らしいけど私からすれば朝飯前よ」
流石と言わざる得ないな、この世界で貴重な彼方ノ鏡を安易に制作できてしまう。
それだけで国としての強みになる。
「あのバカに渡しておいてちょうだい、渡したら直ぐに連絡する様にもお願いね」
「りょ、了解しだす!」
そう言って一二三さんはソレイユさんへ頭を下げて廊下の奥へと去っていった。
残されたのは俺と夜天羅にコイスケとソレイユさんだけだ。
「あっ二人とも今から私の部屋に来て、渡したいものがあるのよ」
「?」
夜天羅と顔を見合わせて首を傾げた、俺たちに渡したいもの…この間の部屋を訪ねてきた件だろうか?
断る理由は特にない俺たちはソレイユさんの後をついてゆき部屋に招かれる。
「座って待っててー」
その言葉通りに俺たちはソファへ座って少し待つ、コイスケが俺の膝に飛び乗って寛ぐ。
「コイスケもここ数日二人の相手をありがとうな」
んにゃん!!
一声だけ鳴き声を上げてゴロゴロと喉を鳴らす、コイスケにはドロシーとルシュエーラの相手をよくしていてくれた。
俺やソレイユさんが忙しいのを察してだろうと思う。
「お待たせー」
戻ってきたソレイユさんのその手には布に包まれたなにかを持っていたがローテーブルに持っていた物を丁重に置いた。
「んー?なんじゃ?」
「まあまあ今から開けるわ」
包んだ布の結び目を解き覆われた布が捲られると正体があらわになる。
「合口と…注連縄?」
中には白鞘の短刀が一振と腕輪ぐらいのサイズに結ばれた輪っか状の注連縄、普通の注連縄ではなく矢の矢尻と羽が飾り付けされていた。




