第四十二録:国家 一節「代表」
カツカツ…と軽快な足音を鳴らし白い清潔な石床を歩く二人の女性。
一人は蛇のような尾を持ち、一人は額に一本の黒い角を生やした女性。
「いやー助かるわぁ、やっぱり移動魔法は便利ね桔梗は固有魔法みたいだけど珍しいわね」
「ソレイユ様ほどじゃないですよ」
「あはは!いうじゃなぁい?」
軽く談笑をしながら歩を進める二人…彼女たちがいるのは────
ソレイユたちがとある扉の前で足を止める
そこには長身かつ体躯のよい白い鎧を着た男性が待機しており二人を迎える。
「お待ちしておりましたソレイユ様、桔梗様」
「…貴方が近衛騎士団長のゴルドー、良い戦士ね」
「ありがとうございます」
二人がいるのはフィリッツランド城だ、桔梗の魔法を使いここへ訪ねてきた…理由はもちろん
「では…我が王と各国の代表が待つ部屋までご案内させて頂きます。」
「よろしく頼むわ」
ゴルドーを先頭に再び歩みを進める。
「それにしても貴方の国の国王はやり手ね、まさか数日で首脳会議にまで持って行くとは思ってなかったわ」
「…今回の件は我が王はチャンスとして見ております」
「あら?いいのそんな大事なこと話して?」
「はい、我が王は"真摯であれ"と…」
「面白い国王様ね」
「チャンスと申しましたが我が王は互いに利益を生む関係が望ましいとお考えです、良い循環が平和を生むと…常々申されています。」
「良いわね、仲良くやっていけそうだわ」
「…ここです、ではご健闘お祈りしております」
「私はここで待機させて頂きます」
「二人ともありがと」
着いた先の重々しい扉をゴルドーが開き私はその中へ…ある種の戦場に入っていく。
「皆様…お忙しい中お集まり頂きありがとうございます、お初にお目にかかりますフラウリン代表ソレイユと申します、以後お見知り置きを」
頭を下げ一礼し挨拶をする…数十秒後に頭を上げる。
円卓を囲む数人の人族…私の正面その人物が口を開く。
「私はアレクサンダー・オル・フィリッツランドこの国の国王を務める」
威厳のあるこの人物がアレクサンダー国王か…なるほどね、できる人の感じがする。
「僕はフォルスラ国の代表、オールヴェレニア・ドゥランデリアよろしくね」
妖精の国の王…見た目は二十代の若い男性、だが妖精族は長命で見た目の変化に乏しい。
オールヴェレニアはすでに200年は妖精の国を統治し続けている。
「ふん…カルラス帝国のカルラス・ライカーンだ」
不機嫌そうな獣人カルラスは短く答え値踏みする様に私を凝視…見下しているわね、情報通り獣人至上主義を掲げてるだけはあるわ、アレクサンダーがこいつを呼んだって事は言いくるめるだけの何かがあるのね、まぁそうでなくても私が何とかしなくちゃ国の代表として恥だわ。
「ハァイ!私は森の共和国ネルテ・ルサドの代表、オーレリア・レインバレル!よろしくー!」
…オーレリアの紹介が一番の衝撃だ、歴史の本を読んでいてネルテ・ルサドの情報がここ200年の間ほとんどなかった、現存しているかも怪しかったが…なぜここへ?
それに…竜族とはね、てっきり森の共和国はエルフの管理かと思ったわ。
「…リフロディア教会代表、教皇ベロニカです、よろしくお願いいたします。」
最後に国ではないが国に匹敵する権力を持つ教会の女性の教皇が自己紹介をした。
リフロディアか…なぜわずか二千年の間に彼女がこの世界の神になっているか理由が定かではない、二千年前のリフロディアは新人も新人だった。
気になる点はかなりあるが後回しだ、今はフラウリンが国として認められるかを第一に考えて立ち回らなければならない。
「では…今回の首脳会議は私、アレクサンダー・オル・フィリッツランドが仕切らせてもらう、異論はないな?」
誰も声をあげない…肯定と言う事だろう、フィリッツランド国内での問題でもあるし仕方がない。




