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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第四十一録:確かな兆し 三節「それぞれの想い」

「わ、わだすも将軍様に滞在する様にと命を受けているだすが…い、いいだすか?」

「いいわよ歓迎するわ」

そう言って一二三さんとも握手を交わす、あとはフィリッツランド国王の返答待ちだ。

話し合いはひとまずはお開きになり一二三さんとマルスさんはソレイユさんに別々の客室へ案内をされて行った。


話し合いの最中は大人しかったドロシーとルシュエーラは再び外へ遊びに行く。

残された俺と夜天羅は特段用事はないので自室へ戻ることにした。

フラウリンがどうなるかは国王次第だな…

あの国王の事だこちらの事情を配慮はしてくれるだろう。


「お前様どーしたんじゃ?難しい顔をして」

身体を預けて抱きついてきた夜天羅を抱きしめ返すと彼女は俺の顔を覗きこむ。

「…これからどうなるのかなって」

「まぁそうじゃのう、国がどうなるか左右する稀有な場面に直面しとるからのう…気持ちはわかるのじゃ」

いくら他民族に寛容とはいえ急に国が復活しますと言ってはいそうですかとはなりにくい、俺は考えながら無意識に夜天羅の髪を弄る。


「…んむ」

思い耽っていたら夜天羅に唇を奪われた、二人きりになるとよくある事だ。

そのまましばらく二人きりの時間を過ごしていると遊び回っていたドロシーが帰ってきた、付き合ってくれてたコイスケも一緒だ。

「疲れたー!!」

んにゃんーにゃー!

ドロシーとコイスケはベッドへダイブしてすぐにゴロゴロし始める。

そうして…みんなでゆっくりと過ごし時間が過ぎてゆく。


────急務でここへやって来た…まさかこの様な事になっているとは驚きだ。

魔窟迷宮が消滅したかと思えば千年前当時の残存する人がいたのだ…これだけでも大概な事件、しかしその生き残りが国のトップとは…。

「やれやれ…私には荷が重い」

一人掛けのソファへ腰を下ろし愛用のハープを愛でる美しい音色が私の心を落ち着かせてくれる。


「……国王様はどう判断なさるのか」

私の個人としてはやはりフラウリンをソレイユ様を応援したい…が、私は近衛騎士だ。

力を持った私一個人が介入していい話ではない

感情がどうあれ国王様の命令に従うのみ。

「国王様も私と同じ想いなら良いな…」

そう期待を口に出しながら私はハープを奏でる、希望に満ちる未来への願いを音に乗せた。


────広い客室にわだすは落ち着かず心がソワソワと浮き足立つ。

ソレイユさんにわだすの魔眼が看破されさらに縁継さんは魔眼保持者…驚く事ばかりだ。

…将軍様だってわだすが迷宮の件を報告した際には今まで見たこともないお顔をされていた、そこから追加報告で"ルシュエーラ"の名を目にされた時には酷く動揺しておられた。

「この長年に渡る任務に意味があったなんて…」


将軍様はこの魔窟迷宮の偵察を指示しておられた…理由はわからない、詳しくは一切語らなかった疑問を問えばお教えしてくださったかもしれないが歴代の者はそれを一切しなかった…なぜか?それはあまりにも任務が簡単なせいだ。

迷宮に入る事はなくただ外側から変わりがないか様子を見るだけ…。

島での巡回業務と何ら変わらない。

そんな簡単な任務でわざわざ詳細を問おうとは思わない。

だが…今回の件、将軍様の反応、嫌でも気になってしまう。


…過去になにがあったのか。

450年前に八重ノ島を立ち上げて一代で繁栄をさせた偉大なお人、長命ゆえに将軍様を詳しく知る人物は数少なく謎が多い。

「気になる事ばかりだす…」

「なにが?」

一人きりの部屋に背後から耳元で声が聞こえてくる、わだすは驚き飛び退く…突然現れたこの声を知っている。


「き、桔梗さ!」

「はぁい♡」

長い黒髪を揺らし虚空から突如として現れたのはわだすの同僚の綴木 桔梗。

この桔梗こそが瞬間移動…正確には指定した場所と自身がいる場所を繋ぐ唯一の魔法使い。

そんな彼女がここへ姿を晒すのは危険極まりないそれにこんな密会の様なことをすればソレイユさんやマルスさんへ猜疑心を強めてしまう。

「な、なんできたんだすか!?」

「だいじょーぶよ♫ここの主には許可を取っているから」


「…ソレイユさんから許可を?」

「そーよ、将軍様からソレイユさんに伝言、それと貴女にもね」

そう言って桔梗から差し出された一枚の紙片、わだすは受け取り視線を手紙に落とす。

「…将軍様からだすか?」

なにか…追加での指令だろうか?わだすは早速その紙片を広げて内容を確認する。

「───縁継さん及び夜天羅さんの調査!?」

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