第四十録:再建 五節「合流」
「おやおや…ご婦人方がいるとは失敬」
男の声が聞こえてくるそれはグリフォンの背の方からだ、翼をたたみ座ったグリフォンの後ろから姿を現したのは若い白い鎧を纏い何やら楽器を持った男…この見覚えのある鎧はまさか。
「初めまして、私はマルス・フィルムーンと申します…このフィリッツランドで近衛騎士を務めさせて頂いています以後お見知り置きを」
礼儀正しくお辞儀をしたマルス。
やはりか…こやつはゴルドーどのの仲間の一人
「…なぜゴルドーどの仲間がここへ?」
「おや?団長とお知り合いで?いや、貴女…もしやヤテンラさんですか?」
「わしを知っておるのか?」
ゴルドーどのから近衛騎士全員へわしと旦那様の情報は共有されていても不思議じゃない。
「えぇ!随分と…難しい問題を抱えているらしいじゃありませんか、残念ながら"今の"私たちでは表立っての助力はできませんが…」
「問題?」
「そう言えば言っとらんかったのう…いや先にマルスといったかなぜここへ?」
「私はここへ調査に来たのですよ、魔窟迷宮が消えるなんて数百年ぶりですからね」
「単身できたの?近衛騎士がわざわざ?」
ソレイユどのが疑問を投げかける、確かに単独で来るような地位の者ではない。
ポロン…手にしている楽器を鳴らすマルスは困った表情をする。
「…本当は部下を数名連れて来たのですが森に阻まれて来るに来れなくてですね…悲しいです」
クイーンズガーデンの効力は健在、このマルスだけがそれを突破してきた…近衛騎士を名乗るだけはある。
「まぁ…それは置いておきましょう、貴女方がいると言う事は魔窟迷宮を攻略したのですか?」
「そうじゃな…迷宮の主を倒したのはわしらじゃ」
「おお!それはすごい!」
ポロン、ポロロン…さっきの様な悲しげな音ではなく楽しげな嬉しそうな音が響く。
「よければ貴女とそこのお嬢様のお名前をお聞かせ願いますか?」
「ソレイユよ」
「ルシュエーラ〜」
「そうなれば──」
「あっ」
マルスの後ろその上空に黒い物体がこちらへ向かってくる、あれは──
んーにゃん!!
コイスケが鳴き声を上げる、その声からコイスケの緊張感が解けゆくのがわかる。
「おや?…あれは?」
「わしの旦那様じゃよ」
───フラウリンに到着するとそこには白い獣と白い鎧を着た男がいた。
「貴方がマルスさん?」
「私を知ってるのですか、ヨリツグさん」
「ゴルドーさんから聞きました。」
俺はマルスさんに近づき手を差し出す、するとすぐさま手を取り握手を交わした。
「私も同じです」
「ヤテンラ!ヤテンラ!ただいま!」
「おかえりじゃのう」
んにゃん!
「わー!」
ドロシーはすぐさま夜天羅のほうへ駆け寄ると
くるくると回る…がコイスケに嗜められる。
「それで…迷宮攻略はみなさんで?」
「いえ、実は──」
ゴルドーさんと同じ経緯の説明をするとやはり驚いた様子を見せるマルスさん。
「なんと…なんとも!そんなことがあったのですね…」
ポロン…小型のハープを弾く、それは今のマルスさんの感情を表す様な悲しい響きだった。
……いや、なんでハープ?
「個人的な感情としては是非とも国の再建を応援します…しかし私は近衛騎士、必要以上の肩入れはできません」
「気持ちだけでも嬉しいわ…まぁ貴方の事はわかったし城の会議室で話しましょう」




