第四十録:再建 三節「好都合」
──レーヴァテインのおかげで2時間半ほどで村へ到着、近くの森へ着陸する。
ゴーレムから出て来た四人はグロッキーな状態だった……しまった、調子に乗ってスピードを出しすぎた。
慣れてない四人には絶叫マシンそのものだったに違いない。
「…す、すみません」
「……….」
何も言わずに座り込むトリーナさんたち、するとアルケイドさんが顔をあげて一言だけ呟いた
「…………休憩」
十数分ほどその場で休憩をとり落ち着きを取り戻したトリーナさんたちはなんとか歩いて村のギルドに到着した。
全員でギルドに入り依頼完了の手続きを手短に済ませる……ギルドの受付嬢さんはは何か言いたげな表情をしていたが詳細を聞かれる事はなかった。
受付嬢さんの心情的には色々と聞きたいところだろうけど報告書以上の事は基本的に聞く事はない、よほどの不備がない限りはだ。
「すみません、彼方ノ鏡を貸してもらえませんか?相手は近衛騎士のゴルドーさんです。」
「は、はい!?少々お待ちを上司に確認をとってまいります!」
受付嬢さんは驚きながらも急いでバックヤードに下がり上司の元へ。
数分後に上司らしき中年の男性が俺の元に。
「ヨリツグさんですね…身分証から異邦者の方とお見受けいたします、彼方ノ鏡を使用したいとの事ですね…」
上司は受付嬢さんへ目配せをすると意図を汲み取った受付嬢さんはカウンターの扉を開ける。
上司から許可がおりて職員さんが奥の場所へ案内をしてくれる様だ。
「じゃあ…ここで別れましょうか」
「ですね〜」
「では…ヨリツグさんまたお会いしましょう」
「ま、また!」
「色々…ありがとうございました」
俺はアルケイドさんたちと握手を交わし別れる……もちろんトリーナさんのハプニングが起こらない様にアルケイドさんとクラシックさんが両脇に控えながらの握手だったが。
みなと分かれて俺は受付嬢さんの後へついてゆく、奥の部屋の鍵を開けてな彼方ノ鏡をこちらへ手渡してくれた。
受付嬢さんは外へ退室、会話を聞かない様に配慮してくれる。
彼方ノ鏡を操作してゴルドーさんへ魔術通話を試みる……………繋がった。
「ゴルドーさん、縁継です忙しいのにすみません」
[ヨリツグどの!大丈夫ですよ!私に何かご用事ですか?…と、その前"ウォッチウォーデン"]
なんだ…雰囲気が変わった気がするがその正体がわからないしかし原因はゴルドーさんのおそらく魔術か魔法を唱えた所為だろう。
「今のは?雰囲気が変わりましたけど…」
[協会の件がありますからね盗聴対策です、ヨリツグどのの魔眼に弾かれなくてよかったです]
「なるほど…ありがとうございます」
ありがたいこれで気にせずに詳細を伝えることができる。
「少し込み入った事なんですが…魔窟迷宮"敬虔なる望郷"の事なんです」
[………ヨリツグどの、まさか覆っていた石の壁が消えた件と関係ありますか?]
やはり…国の中央まで情報が回っていたか、なら話が早い俺は事の詳細をゴルドーさんへ伝える、迷宮の主を倒した事、ステンノ神の事、そして国を再建の事…その全てを話した。
[そのステンノ…いやソレイユが国をですか、事情はわかりましたしかし私の一存で了承はできません…私の所感を申しますと国を興すのは難しいかと]
まぁそうだよな…聞いた話だと数百年と存続している八重ノ島でさえまだ未認可らしい。
相当に困難なのだろう。
[ですが、領地としての運営はお任せすることができます]
「そうなんですか?」
[あの魔窟迷宮は国から迷宮の主討伐の依頼が出ていましてね、その報酬があの土地なのです]
「んん!?」
好都合な事この上ないが…土地を報酬にか国にとってあれだけの土地を個人へ渡すなんて…
[恥ずかしい話なのでさすが出せる報酬が土地しかなかったのです、国もあそこの調査は利益が少ない上に危険度が高いものでして]
「ま、まぁ事情はわかりましたでもこちらとしては好都合です、ではソレイユさんに譲渡したいのですが…」
[現状では無理ですね…ソレイユの身分証などがありません]
「あぁ…」
「ヨリツグどのの実情はわかりました、ちょうどそちらへ近衛騎士のマルス・フィルムーンが向かっていますし彼方ノ鏡を所持しているのでマルスを頼ってください。]
「わかりました…いつ頃こちらへ?」
[そうですね…早ければ今日の夕方には…]
早いな…情報が入ってすぐにこちらへ向かってきたのだろう。
「ありがとうございました」
[いえ!こちらこそ、ではお気をつけて!]
ゴルドーさんとの会話が終わり彼方ノ鏡を元の場所へ置き扉を開ける。
「もうよろしいので?」
「はい、ありがとうございました」
最後に受付嬢さんは部屋に入り彼方ノ鏡をチェックしてこちらへ戻ってくる。
「ではまたご案内させていただきます」
そして俺は再び受付嬢さんの後をついてゆきロビーへ戻り謝礼を払いギルドを退店。
村を出て森へ向かいレーヴァテインへ搭乗、フラウリンへの帰路に着く。




