第四十録:再建 一節「守るべき場所」
「国を再建!?」
俺たちは口を揃えて同じ言葉を声に出した。
まさかソレイユさんがそんな事を考えていたなんて…
「国ですか〜いいですね〜」
「ルイ!?ちょっとのほほんとしすぎよ!?」
「確かに…今ある建築物などは再利用できますが…」
「!!!?」
混乱しているトリーナさんたち…この反応も仕方がない、再建する国への定住を誘われている。
「………ソレイユさん問題が沢山あります」
「わかってるわよクラシック、それでも私はこの子の居場所を守る義務があるわ」
その目には硬い決意と意思が感じられる。
確か…この世界に国は五つ、そこへ加わるのは容易じゃない元神となればなおさら。
それに一番心配なのは教会だ…現行の教会はおそらく一神教、他の神がいることを認めるかどうか…。
「一番の問題は現在ここはフィリッツランド国の領地になっていることね〜」
「そう…ここを収めている国はフィリッツランドと言うのね」
あの王様のことだ…話は聞いてくれはするがすぐに国を興せるわけがない、大国が'はいそうですか'と認める事はできないだろう…この点なら俺と夜天羅は協力できかもしれない。
「この子が後を引き継ぐかどうかはわからないわ…それでも私はここをどうしてもね」
ソレイユさんからしてもここは自身が住んだ土地、妹が愛した場所…
「り、立地は悪くないかも…ど、独立できるかわからないけど…ひ、人は来ると思う…」
確かに…場所は悪くない、今は森に囲まれてはいるが道さえ作ることができれば人は来るだろう。
「今すぐに決めなくてもいいわ…また戻って来てもいいしその逆もね」
強制はしない…ソレイユさんはそれ以上はなにも言わない、全てをトリーナさんたちの意思の元に委ねる。
「今日は朝からありがとう感謝しても仕切れないわ、とりあえず城の中で休みましょうか」
城の借りている部屋に夜天羅、コイスケ、ドロシーと共に戻る。
コイスケとドロシーは朝が早かった事もあり再びベッドで横になって眠りに入った。
「わしらはどうしようかのう…」
「俺はゴルドーさんへ連絡をしようと思う、迷宮が消えた事はもう首都まで情報が回ってるかもしれないしな…近衛騎士を頼ればソレイユさんの話は通しやすいかもしれない」
「確かにのう…わしは賛成じゃ」
迷宮が消えて3日ほどが経っているあれだけ目立つ物が綺麗さっぱり無くなれば大事だ。
近隣の村からオーザンガールまでは既に伝わっているだろう、いつどこかの調査隊が来てもおかしくない状況だ。
「じゃあ…俺はソレイユさんに伝えてくるよ」
「わかったのじゃ」
部屋を後にして俺はソレイユさんの部屋に向かう時刻はまだ朝と呼べる時間、明るい廊下を進んでゆく。
一際豪華な扉の前に到着する…ここは王室、今はソレイユさんとルシュエーラが使っている。
俺は扉をノックする。
「ソレイユさーん、居ますか?」
「はいはーいどうぞー」
警戒な返事が返ってきたのを確認してドアノブに手を掛けて扉を開く。
部屋は白く清潔、金の装飾が生える煌びやかな室内が目に入ってくる。
「私に用事なんて…どうしたの?」
椅子に座って本を読んでいたのか膝には本があった、ルシュエーラは未だベッドで寝息を立てていた…よく寝る子だな。
「さっき言ってた国を再建するってやつなんだが
俺も協力出来るかもと思って」
「あらそれは嬉しいわね…ま、座りなさい」
ソレイユさんに促されティーテーブルを挟んだ反対の椅子に座る。
「お茶でも淹れましょうか」
パチンと指を鳴らすと遠くのテーブルに置かれたティーポットやティーカップが浮かびこちらにゆっくりと飛んできた。
静かにティーカップが俺の前に着地するとティーポットから暖かい紅茶が注がれる。
すごいな…なんかザ魔法だな。
「さ、どうぞ」
「ありがとうございます」
俺は紅茶を一口、口にしたふんわりと爽やかでスッキリした後味の美味しいお茶だ。
「ふぅ…協力してくれるのは嬉しいけど貴方たちは貴方たちの旅を優先していいのよ?」
「…急ぐ旅でもありませんし、それに俺が協力するのは紹介ですよ」
「紹介?」
「…俺は異邦者で最初はこのフィリッツランド国の城に召喚されました、だから近衛騎士に連絡が取りやすいんです」
「…なるほどね、それはこの上なくありがたい協力ね」
コンコン…ノック音が聞こえる。
「はいはーい、どうぞ」
扉が開くとそこにはトリーナさんたち一行が姿を現した。
「あらあら!みんなしてどうしたの?」




