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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第三十九録:再生 五節「ソレイユ」

───目が眩むほどの光、天からの照射が続く

思わず目を細めてしまう。

思わず顔に手をやり影を作る、その最中ぼやけた視界で捉えたの苦悶の表情を浮かべてるステンノ神だった…時間が止まった様に感じる。

彼女は本来セフィロトは罰だと言っていただからこれはとても苦痛が伴うのだろう。

これも全てはルシュエーラの為にだ…


そして一際大きな光が辺りを支配して視界が白に染まった瞬間、光が弾けた。

俺は顔から手を下げてステンノ神が居るであろう煙が立ち込める場所へ視線を向ける。

…そこには人一人の影が立っている様子だった、トリーナさんたちは魔力を取られて疲れてしまったのかその場にへたり込み俺たちと同じくその煙に隠れた人物を注視している。


「…成功だよな?」

「わ、わからんのう?ステンノどのは失敗などしない儀式と言うとったが…」

未だ立ち込める煙がその答えを見えなくしている、全員に不安が募る…パチンッ……指を鳴らす音が聞こえてくる。

すると風が巻き起こり煙を全て霧散させた、そこに立っていたのは───

「ふふ、心配しなくても成功よ」


その蛇の様な尻尾を揺らめかせ、金色の瞳には生気が溢れている。

「ス、ステ──」

「あ、待って」

ステンノ神は手を向けてトリーナさんの言葉を遮る、一体どうしたのだろうか?

「"ステンノ"は神の名前、今のわたしにそれを名乗ることは許されないわ」

なるほど…神の座から降りた彼女にはその名を名乗り呼ばれる資格を剥奪された。

故に新しい名前がいる…新たな人生を歩む為の名が。


「そうね…ソレイユ、わたしはこれからソレイユと名乗るわ」

太陽を背にして名乗った名前は太陽を冠する名だった、堂々としたその様子のステンノ神…改めソレイユさんはその名に相応しい恥じぬ振る舞いだ。

「じゃあ〜ソレイユ様〜」

「様はいらないわよ」

アルケイドさん、エバーリンデさん、クラシックさんもソレイユさんを囲み和やかな雰囲気が流れる。


少し離れた位置にいた俺たちも安堵してソレイユさんに駆け寄る。

「…………」

「ふふ、どう?」

ソレイユさんはルシュエーラに自身の姿がどうか問いかけた、それをボーッと眺めるルシュエーラだったが途端に涙を目に浮かべソレイユさんに抱きついた。


「…そうよねこの姿あの子に似ているものね、あなたはまだ甘えたい盛りだもの、メデゥーサが恋しいはずよね」

ソレイユさんはルシュエーラを優しく抱きしめて頭を撫でてあげる。

この子は強い子だ、よくいままで我慢をしていた俺や夜天羅、トリーナさんたち…それにソレイユさんと知らない人たちに囲まれてもなお気丈に振る舞っていた。


だが…亡くなった自身の母に似た親族がいま目の前にいる、感情が溢れるのは仕方がない事だ

しばらくそのまま啜り泣く声だけが聞こえてくる、朝焼けに照らされたその光景は物悲しさがありつつも暖かさに溢れていた。

「スゥ…」

泣き疲れたのかルシュエーラはソレイユさんの腕の中で寝息を立てて眠る。


「さて…と」

ソレイユさんはルシュエーラを抱き抱えて立ち上がり俺と夜天羅ともトリーナさんたちとも違う方へ視線を向けた…メディさんだ。

「!?」

ソレイユさん以外の全員が驚愕する、メディさんの身体が薄くなっており光の粒子がまばらに飛んでゆく。


「おぬし!そんな早すぎじゃ!ルシュエーラにことばも残さず征くつもりか!?」

「そ、そうですよ〜!」

事前に聞いていたとはいえ早すぎる…それだけ魔法の負担が大きかったという事だろう。

「よいのですよ、ヤテンラ様、トリーナ様、わたしはメデゥーサ様の残滓の様なものです…そんな私の言葉はルシュエーラ様に対して呪いに成り得ます、どんな言葉であろうと。」

……言いたい事はわからなくもないがそれでもと言葉が出そうになる。


「…ありがとうね、長い間守ってくれて」

「ありがたいお言葉です、どうか…ルシュエーラ様をよろしくお願い致します。」

メディさんは抱えられ眠るルシュエーラを慈しむ様に眺める。

「…健やかに、私の願いはそれだけです」

そう言い残し消える様に霧散してゆくメディさん…最後に残した言葉は呪いなどではない純粋でささやかな願いだった。


風に乗り何処となく流れて消えてゆく光の粒子、メディさんとは会って間もないがそれでも込み上げてくるものがある。

「しんみりしちゃうわね」

「…本当にあっさり逝きおって」

トリーナさんたちはあまりに早い展開になにも言えない様子だった、その雰囲気を察したソレイユさんが声を上げる。


「さ!みんなはこの後どうする?」

「俺と夜天羅は元のトリーナさんたちの依頼が終われば旅に戻ります」

「じゃな!」

「私達はどうしよう〜?」

トリーナさんが三人へ今後の行動を問う。

彼女たちからすればここは完璧な状態で当時の物が残っている人類史の宝庫だ。


「正直な所…まだまだ調査をしたいところではあります」

「き、きき、奇跡だからね!」

「ギルドの馬車があるから一度は帰らないとね」

「……ねぇ、提案なんだけどトリーナたちここに住まない?」

トリーナさんたちは驚き視線が一斉にソレイユさんへ集まる。

「実は私ねこの国を再建するつもりよ」

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