第三十九録:再生 四節「人へ」
この日は城に帰りメディさんへクノイチと遭遇したことなどを報告した、驚いており安全を期してクイーンズガーデンの仕様を変更。
魔物以外…いや儀式が終わるまでは国への出入りを不能にする事になった、仕様変更をする前に食糧の確保だけを済ませる。
その日の夜は念の為に俺と夜天羅が交代で夜警に当たった。
───特段、襲撃などの問題はなく夜が終わり朝を迎えた、数時間交代で多少眠気はあるものの今日の儀式は俺たちに役割はない。
強いて言えばうまくいく様に応援することくらいだろう。
「うーーん!朝じゃなぁ!!」
「お疲れ様」
夜天羅は体を伸ばしてほぐす、部屋に明るい早朝の朝日が入ってくる。
「お前様もじゃ!」
夜天羅はいつも通りのスキンシップで抱きついてきた、俺はそれをいつも通り喜んで受け止めて抱きしめ返す。
んなぁーん…にゃんにゃにゃ…
「……zzz」
俺たちの声に釣られてコイスケも起きてきて大きく伸びをした、ドロシーだけはスヤスヤと深い眠りについている。
コンコン…ノック音が耳に入り扉が開かれる。
「どうぞ」
扉の外の人物に声をかけて入室を許可した、扉が開かれてメディさんが現れた。
「失礼します。ヨリツグさん、ヤテンラさん、夜警お疲れ様でした…それでお疲れのところ申し訳ありませんがステンノ様から伝言です、庭園の方へお越しください。」
ステンノ神からの収集ついに…受肉の準備が整った、俺たちに出来ることは見届けること。
「わかりましたすぐに向かいます。」
それだけ伝えるとメディさんは一礼をして去ってゆく、俺と夜天羅は装備を整えて立ち上がる、コイスケもベッドから降りて歩き出す。
「…しょうがないのう」
未だ眠るドロシーを夜天羅は優しく抱き上げで抱える、そうして部屋を後し朝日が差し込む静かな廊下を進み階段を降りる。
城の玄関扉を開けて外に出る、涼しい澄んだ空気が肺を満たす。
指定された庭園に到着するとそこには先に着いていたトリーナさん一行がいた。
「おはようございます」
「おはようなんじゃ」
「おはよう〜」
トリーナさんがこちらに気がつき挨拶を返し他の三人も挨拶を返してくれる。
「う、うーん、き、きき、緊張してきた!」
エバーリンデさんは杖をギュッ抱えて強張っている、しかしそれは他三人も同じだ表に出さないだけで内心はエバーリンデさんと同じだろうな…神に頼られしかも受肉の手伝いなんて責任重大だろう。
「…みんな集まったわね、まずはありがとう。」
ステンノ神が頭を下げて感謝を伝える、彼女の誠実さが伝わる。
「じゃあ…始めましょうか」
その一言にトリーナさんたちは真剣な顔になり気を引き締めて定位置についた。
広い庭園の広場、その中央に受肉する身体が静かに横たわりステンノ神が指を鳴らすと魔法陣が展開する。
「では…クイーンズガーデンを自己強化から他者への強化に切り替えます。」
少し離れた場所ではメディさんが杖を構える、するとステンノ神の魔法陣を覆う形で新たに魔法陣が展開される。
俺たちはそれを静かに見守る、夜天羅の側にはルシュエーラが不安そうに眺めていた。
「…大丈夫じゃよ」
「ルシュエーラ!大丈夫!大丈夫!」
いつの間にか起きていたドロシーは笑顔で言葉をかける、夜天羅もしゃがみルシュエーラの背に優しく触れる、小さな瞳が夜天羅を見つめる…その眼差しには安心した様子が見て取れる
年齢の割に落ち着いた子だが、この子だって年相応な面がある。
それに…恐らくは気がついている自身の家族がもうこの世にいないことを。
酷く、辛い現実だ。
「さぁ!魔法を起動するわ!!準備は!?」
「だ、大丈夫!!」
「いつでも。」
「同じく!」
「わたしも〜」
魔法陣の四隅で杖を構えるトリーナさん一行。
始まる、ステンノ神は神を捨て人に成る…
「汝、人に成り学びを得よ。そして願わくば舞い戻って正しさを遂行せよ」
ステンノ神の口から短い詠唱が唱えられる、迷いも淀みすらない…ただ、ただルシュエーラの為に───瞬間、晴天の空から光の柱が魔法陣に向かい降り注いだ。




