第三十九録:再生 一節「錬成」
「すごいわねーまさか一日で素材を集めちゃうなんてね」
討伐したばかりの魔物が三体が広場に並べて置いた、ステンノ神はそれを目の当たりにして感嘆した様子で眺めている。
「……いっ、一体だけひ、干からびてない?」
バーサクノスフェラトゥのそばに近寄り観察していたエバーリンデさんがポツリと呟く。
「旦那様が首を刎ねて刻んだらこうなりおったのじゃ」
「あー…こいつは血が本体みたいなスライムでね
肉体に入れば乗っ取る事ができるのよね、まぁ乗っ取る前にあそこに封印したからこの個体はオリジナルだけど」
「…よく剣で倒しましたね」
「事前に核を壊せば倒せるのは聞いていました、運良く頭部に核があったみたいですね」
実際…知能が低くて助かった。
肉体への負担を無視した動きそれを回復させる事であの膂力を生み出していた、そして核以外はダメージにならない。
神代の人は何を想定してあんな怪物を作ったのか…狂気を垣間見る、理解に苦しむ。
「さてと…ルシュエーラ、トリーナ、ちょっと髪を貰うわよ。」
「は〜い」
二人は同じトーンで返事をする、ステンノ神は近づき髪を一本づつ抜いた。
「じゃあ、パパッと作っちゃうからちょっと離れていてね」
そう言われて俺たち全員はステンノ神と少し距離を空けて離れる。
ステンノ神は離れたのを確認すると指を鳴らした魔物を囲む様に現れた魔法陣。
二人の抜いた髪を握ったそしてゆっくりとその握った手を開くと小さな光る球体が現れる。
パチンッ…
指を再度鳴らす、光を放つ魔法陣…すると魔物の遺体が粒子になり渦巻き人の形を帯びてゆく最後にステンノ神の手にある小さな球体をその人の形に埋め込んだ瞬間、人の形から光が霧散してゆく…現れたのは───
「人…なの…か?」
見た目はステンノ神と瓜二つの全裸の女性だ、人と違う点は蛇の様な長くしなやかな尻尾。
「ギリギリ人よ、ヨリツグの世界と違って人族が多いからね…まぁそれでもかなり盛ったわよ」
ステンノ神が言う人族とは俺の世界のフィクションで語られる亜人の事だ、エルフ、ドワーフなどだな。
しかしまぁ…生きてるようにしか見えないが生きてないんだよな…
「………お前様?」
「ん?どうした?」
なんか、夜天羅が怒ってる?いや…妬いている?なんだ?理由がわからん。
「いつまで見ておるんじゃ!」
「え?」
「……まさか、なにも気づいておらんのか?」
「なになになんかいるのか?」
俺は夜天羅の若干不穏な言い回しに辺りを見回すも何もない、その様子を見た夜天羅は少し考えたあとに何故かニンマリ笑う。
「いやーすまんのうすまんのうわしの勘違いじゃ」
「???」
うにゃにゃにゃにゃうぅー!?
上機嫌になった夜天羅は足元にいたコイスケをおもむろに撫で回す、コイスケは驚きつつもゴロゴロと喉を鳴らしていた。
「わ〜ルシュも〜」
「ドロシー!ドロシーも!」
そこへルシュエーラとドロシーも参戦する、謎だけを抱えて取り残される俺。
(イチャついちゃってまぁ)
ステンノ神でさえなにか暖かい目をしてくる。
「今日は休みましょうか、肉体は出来立てだから私の魔力を馴染ませないとだめだからね」
「わかりました〜」
時間はもう夕日が落ち始める時間、夜はやはり動物や魔物が活発になる。
「じゃあ…夜間は俺が警備しますね」
「あぁそれなら大丈夫よ、クイーンズガーデンが起動してるから魔物は寄ってこないわ」
「そういえば…周囲に魔物の気配がありませんね」
確かに…アルケイドさんのいう通りだリネットを倒して石化が解除され国を覆っていた石が消えてから約1日経っているが壁もなくこれだけ開けているというのに魔物の気配が何もない、クイーンズガーデンにはそんな効果があるのか
「それじゃあ明後日まで自由に過ごしてて」
そう告げるとステンノ神は錬成した肉体を布に包み抱えて城に入ってゆく。




