第三十七録:託されたもの 四節「関係」
「あ、あの!ちょ、ちょっといいですか」
自信なさげにおずおずと手を上げるエバーリンデさんは次の質問をステンノ神へ問う。
「あの、その、た、多分…ルシュエーラちゃんは次女ですよね?」
確かに気にはなっていた…この日誌には子供の名前は琉唯と記されていた。
つまりはこの日誌以降の日付にできた子供がルシュエーラちゃんと言う事になる。
…想像したくない予想が頭に浮かぶ、ルシュエーラちゃんの姉である琉唯ちゃんは…
「…そうね、琉唯はこの子の姉よ」
ステンノ神は優しくルシュエーラちゃんの頭を撫でる、さっきまで眠っていたというのにルシュエーラちゃんはうつらうつらと眠気に誘われていた。
「……zzz」
ついに睡魔に負けて眠り始めたルシュエーラちゃん
眠った事を確認したステンノ神は静かに畳へ寝かせた。
「…そしてトリーナ、貴女は琉唯の末裔よ」
「はい!?」
「は!?」
俺たちは大きい声を出すもすぐに口を押さえてルシュエーラの方へ視線を向けた。
…よかった、身じろぎしただけで起きる気配はない。
「ちょ!ちょっとちょっと!」
「あら〜?」
アルケイドさんたちは焦りまくっているが当の本人はマイペースでどこ吹く風。
「ルイ!なんで貴女が一番落ち着いてるのよ!」
トリーナさんの両肩を掴み揺さぶるアルケイドさん
クラシックさんとエバーリンデさんは理解に脳の処理が追いついてない。
「千年…私でさえ貴女が琉唯の子孫だなんて気が付かなかったわ…あの扉を開けるまではね」
「…地下の扉ですか?」
「えぇ、私が地下室に着いた時にはすでに開いていたようだけど…あの扉は一族の誰かが触れて解除が可能よ、魔法の痕跡から正規の手順で開けられた事はわかるわ」
「で、あの場で正規で解除できるとすれば…貴女しかいないのよトリーナ。」
「え〜?」
「えーじゃない!!」
「で、でも…ル、ルイって私たちと同じ孤児院育ちだから…両親がわからないんだよね」
「おぬしら…そうじゃったのか、仲が良いとは思っておったがのう」
「私達は姉妹同然に育ちましたからね…もうほんとに小さい頃から寝食を共にしました。」
アルケイドさんは過去を懐かしむように語る、
ただのチームメンバーで片付けられるような関係じゃない、血は繋がってないがこの4人は家族だ。
「…ではルイはステンノ様とルシュエーラちゃんは遠い親族…で、すよね?」
クラシックさんはあまりにも年月が開き疑問系になる、千年も開きがあれば仕方がない。
「血のつながりはかなり薄いけどそうなるわね」
「わ〜すごいです〜!!」
「はぁ…相変わらずマイペースね」
半分は呆れている様子で毒気を抜かれるアルケイドさん、当の本人はこの有様
ステンノ神の理屈は理解できる、あの場にいたのは俺、夜天羅、トリーナさん…それにドロシーとコイスケだ。
確かに可能性としてトリーナさんが濃厚だ…実際に解除の時触れていたのはトリーナさんだ。
いや…それも気にはなるが俺と夜天羅が一番気になっているのはドロシーだ。
なぜドロシーはあの部屋に誰かがいるとわかったのか?
「のう…ドロシーよ、なぜあの部屋にルシュエーラがいるとわかったのじゃ?」
「えーとね!誰かいる感じだしたの!それがエミリーに似ていたの!」
感じたか…ドロシーの身体は機械だもしかしたらなんらかのセンサーを積んでいる可能性が高い、それで検知したんだろう。
「エミリー?」
「ええと…ですね」
掻い摘んでディープホワイトの件やエミリーの件をステンノ神へ話す。
「なるほどね、神の御魂…その残滓から新たに魂を構築か、人に近いが魂は神…半神半人であるルシュエーラと重なるわね」
それでドロシーは間違えてしまった…というわけか、エミリーに会えるかもと。
「さて、色々と疑問は尽きないと思うけど」
そう言ってもう一冊の本を取り出す、それも表紙に題名はない…
「その疑問はこれが解決するわ、これはメデューサの日誌…ある意味ではこの国の終わりの書よ」
俺たちへその本を差し出す、代表して受け取ったトリーナさんは本を開きしおりの箇所を読んでいく。




