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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第三十五録:聖華の女王 二節「怒り」

あと、あともう少しでリネットに届く。

頭上に咲く巨大な蓮華の花は健在だが…動きがない、疑問に思いつつも刀を構え首目掛けて振りかぶったその時────蓮華の花が散る。

寸前、リネットの首寸前で刀が止まった…動かない。

水だ、水の羽衣が俺の斬撃を受け止めた。

「アプサラス」


リネットは魔法の名を口にする、俺とリネットの間に水の球体が出現したその瞬間だった。

レーザーの様な速度で水の球体を射出、即座に刀で防御をする。

「!!」

押される、野球ボールほどの水に俺が押されている、その勢いは止まる事をしらない。

飛ばされ続けて石化された家屋と背中が衝突その威力は家屋を破壊するほどの衝撃。


何軒もの家屋を破壊してやっと止めることができた…が、今度はこちらが満身創痍に近い。

家屋との衝突でかなりのダメージをもらった、

幸い、頑丈な身体はまだ動く早く行かなければ──そう思った、しかしその瞬間に水の球体が振動、そして────。


遠くの方で石化した街の一部が爆発、その威力は凄まじく最高硬度の石化の家屋が吹き飛ぶほど…これで、これであの男は再起不能。

あの爆発を生きて逃れるわけがない、万が一生きていたとしても動けるはずがない。

邪魔者が消えた。

私は真の自由を得た!こんなに嬉しいことはない!!人が繁栄している限り死の心配はない体!無尽蔵の魔力!!

千年…千年耐えた甲斐が────


視界の端に違和感、視線を向けた先から石が投擲、私目掛けて飛来してきた。

すぐさま魔法を使い石を破壊、まさか!あの男!!?いや…違う!!男のいる方向じゃない!まさか、まだいるのか!?

束の間の安心が終わる、正体不明の敵に警戒をする。


…最初の投擲から何もしてこない。

意味がわからない、なぜ仕掛けてこないのか?

「カハッ!?」

何処からともなく現れた赤い縄が首に巻かれて首が締め上げられてしまう。

反撃を試みようと行動しようとしたその瞬間には私の体は宙に舞っていた、敵に投げられた!?


一瞬の浮遊感が重力から解放させられた、がピンと張られ地面に引き寄せられる。

「グッ!カッ!」

引っ張られさらに首が締まる、このままでは地面に衝突する!!その前に手をかざして魔法を使用、落下のスピードを殺して相殺させた。

なんとか地面に激突せずに着地、だが依然として首には縄が、いや鞭だ。

首を締め上げていた鞭を掴み少し空気を肺に入れた。


身体に酸素が行き渡り思考に余裕ができるが私の頭は怒りで支配されていく、張られた赤い鞭の先に視線を向けた…目に入ってきたのは拳だった、眼前まで迫るそれを私はなにもできずに眺めているしかなかった。

スローモーションの様に迫る拳、目に映る映像は遅いが思考は異様に早く回り意識もクリア。

もうすぐ、なにもできず、この憤怒を感じさせる拳を受けなければならない。


───「ガァ!?」

わしの拳が、全身を乗せた拳がリネットへ直撃、鈍い音と感触が伝わる。

旦那様を傷つけに傷つけた…戦いだからしょうがない、互いに命がかかっているから…だがそれとわしの感情は別、許せない。

感情のままに拳を振り抜いた、衝撃で首の鞭が解けて吹っ飛んでいく。

初めて…初めて全身全霊で人を殴った、強く握り込みすぎた拳が震えた。

飛んで行ったリネットへ視線を向ける、まだ地面に伏している。


「ほら、はよう立たんか」

リネットへ煽る様に声を掛けてやる、するとムクリと静かに起き上がる。

そしてわしの方へ怒りを孕んだ目でコチラを睨んできた、エメラルドグリーンの瞳が妖しく光る…石化の魔眼だ。

「!!なぜ…お前といい、あの男といい魔眼が効かない!?」


「言うわけないじゃろ」

わしは一言そう言って鞭を振るってやった、超速の鞭が空気を裂きリネットへ襲いかかる。

「ッ!この!!」

流石に反応して防御魔法を展開して鞭を弾いた

…正面からの戦闘は厳しいか、神と融合さらにこの城を媒介にした領域支配術、たしか支配魔法とか言ったか…。

指定した領域内ではリネットは無敵に近い、無敵だがダメージは通るしさっきの様な不意打ちなら通用する面もある。

最悪なのは魔力が無尽蔵であることとあらゆる面強化されていること…さっきも殺すつもりで地面に衝突させようとした。

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