第三十四録:継戦 五節「激戦」
「ご、こん"どはぁ"!!わ"たしのばんよ!!」
血を吐きながら笑みを浮かべるリネット、わからない…なぜコイツは余裕そうにしている。
確かに刀は心臓を捉えて貫通、どう見ても致命傷に他ならない。
まさか…コイツは回復魔法を絶え間なく使用し続けているのか!無茶苦茶だ、魔力の消耗は激しいはずだしかしリネットはその気配を見せない、不気味に笑うリネットは何をしでかすかわからない、早くトドメを刺さないと───
「ッ!!なんだ!?」
魔法の眩い光が収まったリネットの後ろ、その城に異常ともとれる変化が見られた。
石化して灰色だった城は美しい白色、金碧輝煌な装飾、豪華絢爛な花の庭園。
リネットの石化が解除されている、どうやって解除をしたのかわからない。
もし遠隔で解除が可能ならもっと早くにしているはず、なにか…なにか条件があるはずだ。
いやそれより先にリネットが何かしでかす前に片をつける!!
突き刺した刀、刃の方向は上に向いているそのままは振り抜けば刀は心臓を斬り裂き、左肺、左肋骨、左鎖骨を両断できる。
これだけのダメージを与えれば回復に手間取るはずだ、そして再び猛攻を仕掛ける!
勝負を急く理由は直感だ、リネットを早く仕留めないと大変な事になる…そう俺の勘がうるさいくらいに警鐘を鳴らしていた。
刀に力を込めて引き切ろうと振り上げようとした…だがリネットにより阻止される。
「…また石化か!!」
自身に突き刺さった刀の周りの筋肉を石化して身動きが取れない様にされた。
ニヤリと嫌な笑みを浮かべ続けるリネット…なんだこの違和感は、戦闘中のリネットと今のコイツは明らかに雰囲気が違う。
立ち回りが好戦的でクレバー…あの怯えた様子はない、今のリネットが英雄と呼ばれるなら納得できる。
不気味なニヤケ顔のリネットに対して俺がとった行動、それは───
「おぉ!!」
「!!?!?」
短く気合いを入れて俺は体制を変えて刀の背を右肩に背負う、間髪入れずにリネットを持ち上げてリネットごと刀を地面に振り下ろす。
これでコイツはダメージ覚悟で石化を解除して逃げるか、このまま地面に叩きつけられるかの二択だ…さぁどうする?
「ぐぁッ!!アァァ!!」
苦痛な声をあげる…リネットが選んだ選択は脱出、地面に叩きつけらるダメージの方が深刻それにマウントを取られるのは不利と判断したんだろう、石化を解除して俺から距離を取る。
逃さない様にすぐさま刀を構えて接近、攻撃を仕掛けて畳み掛ける。
必死に避ける、残った左腕を犠牲に致命傷から身体を庇う…なんだこの猛烈な違和感は…。
痛みをもろともしない。
戦闘の最中リネットの視線が時折り城へ向けられる…何かの時間を稼いでいる?城にこの状況をひっくり返す隠し球があるに違いない。
それになぜ魔法を使用しない?回復魔法で手一杯なのか?疑問は尽きないが早く仕留めなければまずい、それだけ確信が持てる。
一際激しいぶつかり合いに俺とリネットの間に少し距離が空く、現状のリネットを分析する
息も絶え絶え、回復魔法も辛うじて使用できている満身創痍と言って差し支えない状態。
それと…一つだけ気がついたことがある。
「…石化解除の条件は"ソレ"か」
リネットの石化の魔眼…その解除方法はリネットの血を浴びる事だ。
戦いの最中、あらゆる場所に血液が飛び散り浴びた場所が元に戻っていくのを目撃。
城の近くで血液を多量に流したから元に戻ったのか?いや、おかしい気がする不可解だ…確かに大量出血ではあったが城との距離は近いと言っても数十メートルは離れていた大方、魔法で何かしたのだろう。
しかしまぁ…どうしたものか、リネットは文字通り身を削って時間を稼いでいる。
…正直、魔法防御を使っていた時よりも厄介になっているそれは技術、体捌きがまるで違う。
刀を構え直してリネットへ駆け出す、変わらず守りの姿勢は崩さないか…
幾つかの剣戟の後に俺たちは城の前に戻ってくる。
そして…リネットは白を背にして残った左手を広げる、あまりにも無防備な状態に一瞬だけ手が止まった…それがいけなかった。
「クイーンズガーデン!!起動!!」
「は!?」
俺とリネットが立つ広場その足元に巨大な魔法陣が現れ城から光輝く何かが飛び出しリネットを包み込む…どうやら攻撃系の魔法ではない様子、俺は無防備そうなリネットへ距離を詰める。




