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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第三十四録:継戦 四節「お互い様」

その場の生物全てを否定する死の雨が砂塵を撒き、石の雨が、魔法の霰がその一帯を破壊し尽くさんと降り注ぐ。

(死ね!死ね!!!)

リネットは怒りに願いを込めて魔法を放つ、石を降らせ続ける、自身の身を生命を守るためにただあの男を殺すしかない。


「ハァ…ハァ…」

魔力を消費して息切れを起こす、魔法と投石を止めた…巻き上がる砂塵に警戒しつつ辺りを警戒する、石化した首は自身の血で元に戻り血が滴るその斬られ血を流す首に手を当て回復魔法を施す。

(危なかった!ギリギリだった!!死が見えた!!あの男はわざと避けやすい踏み込んでの斬撃をして私の警戒をそれに集中する様に仕向けたのか!?)

男の術中にまんまと引っ掛かってしまった…回復が終わり手にはべったりと自身の手に付着していた。


自身の首が刎ねられる想像をして背筋が凍る、後一歩…対応が遅れていればそれは現実になっていた、手から視線をはずして目の前の未だ砂塵を上げる場所を見つめる。

あの男が出てこない…流石に死んだのか?

近づき確認したい気持ちはあるが恐ろしい…

起き上がってこないのも男の作戦なのかと疑心に駆られる、かといってこのまま城へ向かおうと背を向けたら斬られるかもしれない。

考えれば考えるほど身動きが取れなくなる、判断が鈍る…私は────「よう」


声がした、あの男の声が私に聞こえる範囲で聞こえる、急いで辺りを見渡すも誰もいない、砂塵もここまで来てはいない視界はクリアだ。

恐怖が私の感情を支配し始める。

焦りが募る、自分の周りにいると言う事実と視界では捉えられない事実。

こんなにも恐ろしいことはない。

壊れた杖を構えようとしたその時───


俺とコイスケはリネットの影から姿を現し即座に右腕を肩から両断する、本当は首を斬れればよかったんだろうが…警戒している状態ではそれができない、止められる可能性がある。

その事情を考慮して切り掛かりやすい右腕を斬り奪う、リネットは回復魔法を使用するそれがどのレベルで使用できるかはわからないが中級以上なのは確実だ。

上級なら腕を生やすことができるが…そんな暇を与えてやらない。


腕を切断され混乱しているリネットを畳み掛ける様にして攻撃を仕掛けていく。

苦しい表情をして俺の攻撃を捌く、その様子には焦りが見え防御の精度も低い。

切り傷が徐々に浅いものから深いものが増える

気が動転している、このまま有利なペースで決着をつける。


リネットも苦しい状態だが俺もかなりのダメージを受けた、血を流れるし打撲もひどい骨は折れてないがヒビは入っているだろう…あの猛攻を五体満足で切り抜けただけでも大したものだと自分を褒めてやりたい。

互いに攻撃の応酬が続く、血を撒き散らしながらの凄惨で泥臭い戦い…だがリネットは徐々に後退していく。


「ァァァァアァァアッ!!?」

焦り、怒り、痛み、色々な感情が限界を迎えたのかリネットは叫びを上げ発狂した。

瞬間、魔法を放たれ刀で受けたが数メートル後退させられる、斬り払いリネットへ視線を向けると───

「ッ!?またか!!」

リネットは自身の周りに数多の魔法陣を展開

これはエコーアントの巣から飛び出した時の空中で使用した方法だ。

無差別に魔法を撒く、俺を遠ざけたいのだろう

そうさせる訳にはいかない。


眩い閃光が辺りにばら撒かれる。

魔法の一つ一つが高威力、リネットの殺意が見て取れる…先ほどの逃げ回っていた奴とは別人の様だ。

…俺はこの攻撃を避けることはしない、避ければリネットを逃して回復される可能性がある。

それは面倒だならどうするか?

魔法を斬り伏せればいい、正面突破だ。


俺は魔力強化を刀に集中させる、足に力を込めて迫り来る死の閃光へと駆け出す。

両手で構えた刀を魔法へ振り下ろす、両断された魔法は空中に霧散して消えてゆく。

一歩、また一歩と確実にリネットに迫る。

「!?近づくなァァァァアァァ!!!」

俺が避けずに近づく事に気がついたリネットは発狂して無差別に撒いていた魔法を俺へ集中し始める。


「ぐっ!流石に重いな!!」

濁流の様な極光を刀で受け止める、歩みが止まる、踏ん張りを利かせないと後退させられてしまう…つまりは我慢比べだ。

リネットの魔力が尽きるのが先か俺が魔法に押し負けるかの勝負…まぁそれに最後まで付き合ってやることはない。


俺は身体を捻って回転させて右側に避ける、すぐさま地を蹴りリネットへ接近した。

「!!?!!!??」

まさか避けられとは思いもしなかったのか驚愕の表情のリネット、しかし俺の動きに反応して首を警戒して防御をするが…狙いはそこじゃない…刀を突きの構えを取り心臓目掛けて突き刺した、深々と刀が突き刺さり身体貫通した。

一瞬の静寂、互いに動きが止まる。

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