第三十四録:継戦 一節「狙い」
───「なんじゃぁ!?」
天井まで伸びる大きな巣が見えもうすぐ到着しようとした時、巣の上層部その外壁が崩れた
いくらクラシックの魔術の光があっても詳細はわからない…だが確実にあそこで戦闘が起きている、つまりは…最悪の事態。
「……どうやら目論見がハズレたわね、あの外道が繭から出てきたわ」
ステンノどのは心底不愉快な顔をする、わしらの方は順調に終わったが旦那様の方はそうではなかった、リネットが繭から出てきた。
「な、なな、なんで!」
「不完全でも危険が迫れば覚醒できる様に仕込んでたんでしょうね…抜かりない奴だわ」
「そんな───」
閃光が会話を遮る、眩い光はリネットから発せられていた全員の視線が光に向けられた。
「ちょっとちょっと!!」
「なっ!?」
「ハッ!無茶苦茶やるわね!」
無差別に撒き散らされた熱線がわしたちにも降り注ぎ襲いかかってきたがステンノどのは右手を前にかざし魔法防御を展開、熱線は弾かれ地面に着弾して弾けた。
「たく…余計な力を使わせないでほしいわ」
右手を軽く払い気だるそうに嫌味を吐く、すると落下していたリネットや瓦礫が轟音を立てて地面へ激突、恐らく旦那様も地面へ着地したのだろう。
わしたちは旦那様が着地した場所へ到着、家屋の屋根に待機する、ステンノどの能力を使いリネットから見つからない様にする。
着地点には瓦礫のせいで砂塵が巻き上がり視界を遮る、旦那様とリネットが確認できない。
落下物の轟音その残響が止み静寂が場を支配する……その数秒後に再び戦闘音、剣戟が鳴り響き未だ晴れない砂塵から火花が散り魔法が飛び交う。
激しい戦闘が行われている、援護をしたいが…そうもいかないのが歯痒い。
もしも…最悪の事態としてリネットの復活は予想していた、その作戦としてステンノどのを存在が肝になる。
今、旦那様との戦闘で手一杯のリネットはステンノどのの存在には気が付いていない。
頃合いを見てステンノどのは奥の手を至近距離で叩き込む…このわしたちがこの魔法から出るには一度解除するしかない。
ステンノどのにはかなり余裕がないらしい全盛の四割ほどの力が戻っているとはいえ使えば残量が減少、魔法を解除、再展開をしてしまうと奥の手が使えなくなってしまう。
ステンノどの曰く奥の手は一撃で盤面をひっくり返すほどの魔法らしい…
「あっ!で、出てきたよ!!」
エバーリンデが指を指す先、そこへ視線を向けると砂塵から旦那様が出てきた、リネットもだ
変わらず激しい戦闘が繰り広げられている。
拮抗…している、リネットの動きはなにかぎこちないが旦那様の動きに対応できていた。
「……身体に適応できてないわね」
ステンノどのは口に手を当て注意深く動きを観察、ポツリと呟く。
「適応…?」
「"慈母の狂愛"使用前のリネットは普通の人間だったのよ?」
「!!なるほどのう…異形の身体についていけてないのじゃな」
「そう、でもあれだけ動けているのは流石ね…それに使用している魔法もおかしいわね」
戦闘を眺めていたトリーナがあっと短く声を上げた。
「あ〜植物系統じゃない〜?歴史が合っているならリネットは土魔法派生で聖魔法の掛け合わせである聖華魔法の使い手よね〜?」
「合っているわよそれ、恐らくだけど…属性や魔法は神であるメデューサに引っ張られているわね、まぁ…身体もだけど。」
確かに…リネットの見た目は半身が蛇の様な異形、人とは大きく外れている。
再びわしらは戦闘へ視線を向ける、今は旦那様が優勢…わしからすればこのまま優勢なまま終わってほしい、旦那様が傷付かない事が一番。
だが…相手は腐っても過去の英雄、一筋縄ではいかないだろう…今のわしは祈るしかできない
どうか…大きな怪我なくと。




