第三十三録:強襲 五節「不必要」
俺とリネットは巣を破壊しながら戦闘を続ける
巣の素材は上層、中層の石を素材に構築されているため破壊しやすい。
魔法使いらしく杖から魔法を繰り出すリネット
花や植物の魔法を使うと思いきや魔力を収束したビームの様な物が主体だ。
さらにその辺に転がっているエコーアントの死骸を石化して操り投擲してくる。
…英雄と呼ばれるだけあり強い、さらに神と同化、事前に聞いた弱体化を加味してこれか。
「このっ!しつこいわ!!」
苛立ちをぶつける様に魔法を放ち石を投擲、攻撃は単調だ…魔法を扱い慣れていないと言った印象を受ける、目覚めて覚醒したばかりだからだろうか?
それならまだ慣れていない内に決着をつけるしかない。
俺は攻撃のペースを上げていく。
「ガァッ!?」
蹴りが脇腹へヒット、リネットは壁を破壊しながら飛んでいく…3枚ほど壁を犠牲にして止まる、蹴りの手応えはそれなりにあったが致命打にはならない、間髪いれずに刀を構えて追撃。
「ッ!!」
だがそう簡単に追撃を許してはくれない、リネットはすぐに魔法を使い防御さらに魔法攻撃を仕掛けてきた。
俺はすぐに退避して攻撃を避けた。
…リネットは血を吐きゆっくりと立ち上がると杖をこちらに向ける。
睨み合いが続く、その間にリネットは傷を回復してゆく、俺もリネットも攻めあぐねている…
実のところこっちの攻撃はそこそこ通ってはいるしかし邪魔をするのはあの回復魔法、今の様に致命打以外はすぐに回復してしまう。
その最中、リネットは俺に問いかける
「貴様ッ!急に現れて…なにをッ!!」
「お前と問答する気はない」
会話などするつもりはない…確実にリネットとは相容れない、リネット視点から見た俺は理不尽の塊だろうな…だが自己中心的な理由で外道に堕ちた奴に同情などしない。
刀を構え直す…さてどうしたものか。
リネットの石化能力で石になったエコーアントの死骸は脅威ではある、斬れないことはないが無駄に体力を削られてしまう。
いや先に場を変えるか、ここは狭すぎるな…俺は一二もなくリネットへ突っ込む。
「ッ!!このッ!!」
杖に魔法陣が現れ光が収束し始める、その瞬間に俺は近くに投擲された石を全力で蹴り込む。
見事に杖に直撃して魔法が逸れる、驚愕の顔をするリネット、その眼前に立つ。
「!?なにを───」
言葉を言い切る前にその顔面を鷲掴みにして思い切り後頭部を壁へ打ちつけた。
一撃で破壊、そのまま走りさらに次の壁へ…2回繰り返して3枚目の壁を破壊する。
──冷たい空気が肌を撫でる、外に出た。
空中に放り出された俺とリネット、最上階からそこまで降ってなかった、上空300メートルくらいだろう…空中での一瞬での停止、次の瞬間俺たちは瓦礫と共に重力に引き寄せられた
降下が始まる。
先の攻撃でリネットは意識を失っていた、俺は瓦礫を足場にして刀を肩に構える。
狙うは首、回復魔法があっても首と胴体を両断してしまえば回復なんて関係ない。
足を力に込めたが──
「ガァァァァ!!!!」
リネットが叫び声を上げたかと思うと自身の周囲にいくつもの魔法陣を展開、ビームを放つ。
「なりふり構わずか!!」
俺は攻撃から防御に切り替えて対応、せっかくのチャンスが不意になってしまう。
…気を失っているがリネットは魔法を展開している、どういう原理かはよくわからないが無意識でがむしゃらな動き。
近づかないのがいいだろう何をしでかす変わらない。
わずか12秒ほどの攻防は落下の着地という形で終わりを告げた、俺は地面へ静かに着地したがリネットはそうはいかず地面に叩きつけられる
同じく降ってきた瓦礫が地面に当たり激しい音を立てて衝突、石が砕け砂塵が辺りを包む。




